ちょき☆ぱたん デジタルカメラの豆知識 (chokipatan.com)
5-5-2 蛍光灯
光源の色や値段、手に入れやすさ、照明としての汎用性などの観点から、蛍光灯はとても現実的なライティング機材です。
蛍光灯には「クールな色」「ナチュラルな色(昼白色)」「あたたかい色(電球色)」など三つぐらいの種類があります。このうち最も写真向きなのは、太陽光に近い「ナチュラルな色(昼白色)」です。「クールな色(昼光色)」も太陽光に近いのですが、正午ごろの太陽の色なので少し白過ぎます。
さらに詳しく言うと、「3波長形の蛍光灯」が良いでしょう。これは普通の蛍光灯とは違って、光の三原色(R,G,B)の3波長域をブレンドして発光する蛍光灯で、明るくて色の見え方が良いという特徴があります。また「平均演色評価数(Ra)」は80以上あるものが良いと思います。これは代表的な8色の再現性の高さを示す数値で、太陽光を100(上限)として値が高いほど色の再現性も高くなっています。なお「3波長形」や「Ra」の表記のない蛍光灯もありますが、それは色の再現性に気を使って製造されてはいませんので、あまり写真向きではありません。
日光とストロボ以外に使用する光源すべてを統一した方がライティングの調整をしやすいので、蛍光灯を選んだ場合は、すべて同じ「3波長形の蛍光灯・ナチュラルな色(昼白色)・Ra80以上」にした方が良いでしょう。もっとも「3波長形の蛍光灯」は高いので、個人で作品を楽しむだけなら蛍光灯の色を「昼白色」に統一するだけでも良いかもしれません。
さらに上を目指す方の参考までに、写真を処理するのに最もふさわしいと思われる蛍光灯は、「色評価用蛍光灯(高演色蛍光灯)」です。これは色を正確に再現するために開発された蛍光灯で、Raが90以上あり、三菱電機オスラム、東芝ライテック、松下電工などから発売されています。蛍光灯の色温度は昼白色(5000K)のものが良いでしょう。ただし色評価蛍光灯には、20W形と40W形の直管タイプしかないので、家庭の天井照明には少し使いにくいのが難点です。デスクスタンドには、20W形を使用できるタイプのものがありますので、これをメインライトとして使用するのが良いかもしれません。(20Wでは少し暗いので、複数台必要になるかもしれませんが……。)とはいえ、色評価用蛍光灯は価格も高めで、家電販売店でも入手しにくいので、個人で作品を楽しむだけの方は、これを使うまでのことはないと思います。
<参考:蛍光灯の色温度の種類>
蛍光灯の色は、暖色系(低色温度)か寒色系(高色温度)かで、以下の3種類に分類されることが多いようです。
・昼光色(晴天の正午の日光の色。最も白く明るい)
色温度:JISでは5700 - 7100K、通常は6500K
・昼白色(晴天の正午をはさんだ時間帯の日光の色。優しい白さで最も一般的)
色温度:JISでは4600 - 5400K、通常は5000K
・電球色(白熱電球の色。最も赤っぽく、食べ物の色をきれいに見せる)
色温度:JISでは2600 - 3150K、通常は2800Kまたは3000K
なお、これらの色は、蛍光灯のメーカーによって同じ「昼白色」でも色温度が違いますので、厳密に合わせたい方は、蛍光灯の色温度の数値を確認して選んでください。