ちょき☆ぱたん 写真補正の豆知識 (chokipatan.com)

第4部 画像データと印刷の基礎知識

3 プリンタ

3-4 インクジェット・プリンタ用インク

(1) 染料インクと顔料インク
 インクジェット・プリンタ用のインクとしては、一般的に水性のインクが使われていますが、染料系と顔料系の二種類があり、その特徴は次の通りです。なお最近では、黒色のみ顔料系で、それ以外のカラーは染料系という複合的な使い分けをするプリンタも登場しています。

・染料インク
 染料は水や油に溶けやすく、布や紙の繊維間にしみこんで染まる性質があります。染料インクは、色再現性が高く光沢が出やすいので、写真印刷に向いています。その一方で、耐水性が低く(水に濡らすと滲みやすい)、普通紙に印刷すると滲んだり裏写りしたりすることがある他、耐光性が低い(直射日光で色褪せを起こしやすい)という欠点もあります。
 家庭用のプリンタは、発色が良くて、ノズルが目詰まりしにくい染料インクのものが主流のようですが、最近は黒色のみ顔料で、それ以外のカラーは染料という複合的使用をする機種も多いようです。

・顔料インク
 顔料は水や油、アルコールなどに溶けずに細かな粒子として分散する性質があり、繊維に染着する力がないので、適当な固着成分を加えなければなりませんが、一般的に染料よりも耐水性が高く、耐光性もあります。その一方で、耐摩擦性が低い(顔料粒子が紙内部に浸透しないため印刷面をこすると色落ちしやすい)、光沢が出にくい、粒子であるため比較的ノズルの目詰まりを起こしやすいという欠点もあります。
 プロ写真家向けのプリンタは、多くが顔料インクのプリンタです。顔料インクは耐水性や耐光性が高いという利点がある上に、印刷後の色定着が早いため調整がしやすく、自分が望む思い通りの作品を作り出ことが出来るからです。顔料インクだと光沢感がでにくいという短所を補うため、顔料粒子に樹脂コートが施されたインクや、光沢を出すための透明インク(グロスインク)を導入している機種もあります。


(2) インクの色数
 インクジェット・プリンタでカラー印刷を行う場合は、シアン(C)・マゼンタ(M)・イエロー(Y)を混ぜて他の色を表現する減色法(減法混色)が使われています。黒色はこの三色を混ぜることで理論的には表現できるのですが、完全な黒色にすることが難しいことと、使われることの多い黒色を出すために三色のインクを同時に使用することはインクの使用量を増やすことになってしまうため、黒色用のブラック(K)インクを搭載しています。
 本来、カラーはこれらC+M+Y+Kの4色のインクで表現できるはずなのですが、淡い色(人肌など)の粒状感を低減するために、高級機種では通常より薄いシアンとマゼンタを持つ物が多いようです(インクジェット方式では、淡い色の表現はインク滴の密度を下げることで表現されるので、色が薄いと、ザラザラした感じに印刷されてしまうのです)。
 また文字の滲みを少なくするために、染料インクとは別に顔料の黒インクを追加している機種や、黒インクだけ顔料にしている機種もあります。
 更にプロ向けの機種では、より鮮やかな色を表現するために、追加のインクを搭載しているものもあります。色数が多いほど、滑らかで美しい印刷が可能になります。写真が趣味の方は、6色以上のインクを使用するプリンタを選んだ方が良いでしょう。

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