ちょき☆ぱたん デジタルカメラの豆知識 (chokipatan.com)
2-3 被写界深度とカメラの関係
2-3-1 被写界深度と絞り値(F値)
絞り値と被写界深度には、「絞り値の数字が大きい(絞りを絞る)=被写界深度は深い」「絞り値の数字が小さい(絞りを開く)=被写界深度は浅い」という関係があります。
例えば、何列かに並んだボーリングのピンの写真を撮影するために、ピントを最前列に合わせるとします。この時、被写界深度が浅い(絞り値を小さくする)と最前列のピンにしかピントが合わず、後ろのピンはボヤけたようにしか写りません。ところが被写界深度を深く(絞り値を大きく)してみると、今度は、前から後まですべての列に、きれいにピントが合っているように見える写真が撮影できるようになるのです。つまり被写界深度が深いということは、写真画像として鮮明に撮影できる距離の範囲が広がるということになります。
絞り値を大きくすればピントが全体に合うなら、いつも大きい絞り値だけで良いんじゃないかとも思いますが、残念ながら絞り値を大きくすると、光の量が少なくなって写真が暗くなってしまうのです。この場合は、シャッターの速度を遅くしたり、露出を補正したりして、適正な光の量になるように加減します。このとき明るいレンズを使えば、少々絞り値を大きくしても写真が暗くなるということが少なくなります。ですから明るいレンズの方がうまく写真を撮れることが多いということになるのです。
またピントはいつも全体に合っていた方が良いというわけでもありません。被写界深度のこの性質をうまく利用する(ピント範囲をわざと狭くする)ことで、本当に取りたいものだけにピントが当たって、それ以外のものが適度にボケた幻想的な写真を撮ることや、遠近感のある写真を撮ることも出来るのです。「絞り値の数字が小さい=被写界深度は浅い」という関係がありますから、明るいレンズは被写界深度を浅くするという点でも有利です。
ところが逆に言うと「被写界深度が浅い=ピント範囲が狭い=ピンボケを起こしやすい」という関係があるので、明るいレンズは、意外にもポンボケを起こしやすいという側面があり、注意が必要です。
大口径(明るい)レンズのメリットは、何といってもその明るさです。それを最大限に活かすために絞り値を下げると、被写界深度が極端に浅くなってしまうことがあるのです。例えば女性の顔をアップで撮影する時、ふつうにAFで撮影すると顔の中心にある鼻先にピントが合いがちです。でも顔を写す時、一番見せたいのは瞳ですよね。この場合はAF測距点を瞳に固定して撮影するか、MFに変えて撮影する必要があります。せっかくの大口径レンズなのに、かえってピンボケが目立ってしまっては何にもなりませんから、大口径レンズを使う場合は特にピント合わせに注意しましょう。失敗を減らすために、絞りを1~2段絞った写真をもう一枚、一緒に撮影しておく癖をつけると良いでしょう。