ちょき☆ぱたん 紙の豆知識 (chokipatan.com)
5-1-1 代表的な洋紙 (1)上質紙、(2)中質紙
(1) 上質紙(非塗工紙・印刷用紙A)
上質紙は、非塗工紙の一種で、化学パルプだけ(100%)で製造したものを指します(古紙を含んだものは、上質紙ではなく、再生上質紙と言います)。
一般のコピー用紙の他、書籍、雑誌、事務用伝票やノート、さらには商業用印刷に使用される最も一般的な用紙です。厚みのある上質紙は、ハガキや名刺にも使われます。
紙の表面にコートなどの加工をしていない(非塗工)ので、ざらざらしていますが、表面加工していない紙の中ではもっとも白色度が高く、印刷に適しています。やさしい質感があるので、目を疲れさせにくいという長所もあります。また平滑性が高くて表裏差が少なく、用紙のこしがあるため、印刷にも筆記にも適した汎用紙です。
上質紙はパルプ繊維を製造する段階で、繊維に含まれる松ヤニのようなリグニン(木材繊維同士をくっつける接着剤のようなもの)という成分を取り除く工程があります。リグニンが取り除かれた物が上質紙で、残っている物が中質紙になります。なお、ここで取り除かれたリグニンは燃料として再利用されます。
上質紙は表面は滑らかですが、裏も表もコートされていない(非塗工紙)ため、コート紙に比べて平滑性は落ちます。その一方、パルプの比率が高いので、コート紙よりも紙の腰や紙の強度、不透明さの点では優れています。
※なおコピー用紙は、コピー機の熱によるカール防止加工が施されています。
(2) 中質紙(非塗工紙・印刷用紙B、C、グラビア用紙などの総称)
中質紙は、非塗工紙の一種で、化学パルプ100%でない機械パルプを少しでも含むものを言います。化学パルプ70%以上、機械パルプ30%以下の割合で混入したものが最も多く、書籍、雑誌のグラビア、教科書によく使われます。
機械パルプは、不透明性、吸油性、クッション性が高く、出来上がった用紙は嵩高になります。機械パルプを含む中質紙の紙は、光が当たると少しずつ白さが低下していきます。
化学パルプ70%以上100%未満の印刷用紙B、化学パルプ40%以上70%未満の印刷用紙C、グラビア用紙を総称したものが中質紙です。中質紙の一種のセミ上質紙は、晒化学パルプ90%以上の比率で配合した用紙で、上質紙に近い白さで、白色度72~78%前後を示します。