ちょき☆ぱたん 紙の豆知識 (chokipatan.com)

3-1-1 機械パルプと化学パルプ

 木材パルプは製法によって、機械パルプと化学パルプに大別されます

(1) 機械パルプ(Mechanical Pulp)
 機械パルプは、木材をそこに含まれているリグニン(木材繊維同士をくっつける接着剤のようなもの)ごと一緒に粉砕したもので、主に新聞用紙が作られます。機械パルプは、パルプ繊維が剛直なのが特徴ですが、繊維中にリグニンなどを大量に含むので、長時間保存すると紫外線などで褪色しやすい紙ができます。その代わり、木材からのパルプ収率は80~90%と、かなり高くなっています。繊維の長い針葉樹材が使われています。

※リグニン:根・茎・葉を持つ高等植物(種子植物等)の導管・繊維などの細胞壁間に蓄積される高分子化合物のこと。松ヤニに似た成分をもち、日光に当たると茶色く変色する性質があります。リグニンの合成により細胞の木化(木質化)が進行し、細胞間に強固な構造をつくります。木材中の20~30%を占め、セルロースと結合した状態で存在します。

(2) 化学パルプ(Chemical Pulp)
 化学パルプは、硫酸塩などの薬品や熱を使ってリグニンを溶かし(蒸解)、木材チップから繊維だけを取り出したものです。高純度のセルロース繊維は、しなやかに絡み合うため、紙にすると強度が上がります。ただし、セルロース純度を高くするために、木材からのパルプ収率は50%程度になってしまいます。針葉樹も広葉樹も使われています。
 パルプはこの時点ではまだ色が茶色なので、セメント袋などの用途以外には、漂白処理をして紙にします。情報・印刷用紙は、ほとんどこの漂白された化学パルプから作られます。この漂白工程では、以前は塩素系漂白剤を多く使っていたので、環境汚染が問題になったこともありましたが、酸素、オゾン、過酸化水素などを用いる酸素系漂白の技術が進んで、現在では酸素系漂白が主流になっています。
 木材チップを分解・分離した残りの50%は、木材繊維を固めているリグニンや樹脂成分なのですが、この黒液(硫酸塩などの薬品を含む木材廃液を濃縮したもの)は、製紙プラントのエネルギーとして再利用されています。


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