ちょき☆ぱたん デジタルカメラの豆知識 (chokipatan.com)

4-3 白を白く、黒を黒く写す(18%のグレー)

 「記録写真の適正露出の決め方」でも言いましたが、普通にきれいに撮影するとは、作品の正しい色や形が分かるように撮影するということ、つまり「白が白く見えるように、黒が黒くみえるように撮る」ことです。
 ところで、カメラに内蔵されている露出計は、射光式露出計と言って、標準反射率「18%のグレー」を測光の基準にしています。これは普通の風景写真やポートレイトを撮るのに、最も適した反射率だと言われています。
 でも一面の雪景色だと、真っ白いはずの景色が全体的にグレーになってしまい、現実の景色よりかなり暗い感じに写ります。また真っ黒い編みこみセーターを大きく写すと、今度は黒がグレーっぽく写ってしまい、やはり実物と違うイメージになってしまいます。
 実は「自動」のまますべてをカメラ任せにすると、カメラはだいたい何でも「18%のグレー」に合わせようとするのです。画面の全体が白っぽい時には、カメラは「これは周囲が明るすぎるから、全体が白っぽくなってしまっているのだな」と判断し、全体が黒っぽい時には、「周囲が暗すぎるのだな」と判断して、細かなディテールがきちんと写るようにグレー気味に露出を調整してしまうのです。そのため被写体全体が本当に白っぽい時や黒っぽい時に、白を白と、黒を黒と写すためには、露出の調整を自分でしなければならなくなります。
 ところがこの露出の調整は、割と難しいのです。例えば、黒い毛糸の編みこみセーターを撮影する場合には、露出アンダー(露出が足りない)だと、黒く写った部分が黒一色になってしまい、毛糸素材感や編みこみ模様がわからなくなります(黒つぶれ)。逆に露出オーバー(露出が多すぎ)だと、セーターの模様ははっきり分かりますが、色が濃いグレーのように写ってしまいます。これがちゃんと肉眼で見た通りの黒い編みこみセーターに見えるのが「適正露出」になるわけですが、一発でちゃんと適正露出に取るのは、初心者にはなかなか困難でしょう。
 逆に言うと、一発では困難なので、設定値を変えてたくさん取れば良いのです。つまり、その写真(被写体)にとって最適な明るさになるよう、暗いと思ったら絞りとシャッタースピードを変えて明るく撮影し、明るすぎると思ったら逆の値に設定し直します。デジカメの場合は、撮影したものを画面でその場で確認できるという特長があるので、絞りとシャッタースピードの設定値をいくつか変えて同じ被写体を撮ってみて、ベストなものを選ぶのが、簡単で確実な方法だと思います。
 ……ところでこの項目は「絞りとシャッタースピードで適正露出」の流れからきたので、適正露出の設定は「絞りとシャッタースピードを変更しましょう」などと、初心者にとってはかなり面倒で難しいことを、今、さらっと書きましたが、他にもっと簡単な方法があります。もちろん絞りとシャッタースピードをそれぞれバランス良く設定することでも適正露出を取れるのですが、いったん「自動」か「P」モードでカメラに自動で適性露出をさせた後、「露出補正」をするという方法で、写真をもっと簡単に少し明るくしたり暗くしたり出来るのです。
 暗すぎると感じた時は露出をプラスに補正し、明るすぎる時にはマイナスに補正します。この露出補正の方法はカメラによって違いますので、詳細はカメラの説明書を見てください。
 またカメラによっては「オートブラケティング(AEB)」という機能がついているものがあります。これはなんと、適正露出の他に、自動的に明るめと暗めの写真を連続して3枚カメラが撮ってくれるという機能で、これを使えばすごく簡単にイメージ通りの露出を見つけられると思います。
 露出補正のやり方が分からないという方は、撮影モードを変更して撮ってみるという方法もあります。カメラのシーン別の撮影モード「スポーツ」「風景」「ポートレイト」「パーティ」等は、実はカメラ内で各シーンに合わせた「絞り」と「シャッタースピード」に自動で設定しているということを意味しています。もしも「室内」モードでうまく写らない時には、他のモード(例えば「スポーツ」)に変更して撮影してみると、うまく写ってしまう場合があります。いろいろ試し撮影して、一番良く写ったものを選んでみましょう。

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