ちょき☆ぱたん デジタルカメラの豆知識 (chokipatan.com)

第5部 基礎知識編(2)写真撮影

1 絞り(F値)

 「絞り」とは、レンズに入ってくる光の量を調整する仕組みのことです。これは明暗で開き方を変える目の瞳孔のような働きをするもので、その値は、F値(焦点距離:focal length)で表記します。
 絞り値(F値)とは、レンズの焦点距離を、レンズの絞りの穴の直径で割った値です。例えば、50㎜のレンズで、絞りの穴の直径が50㎜の時には「F1」で、絞りの穴の直径が25㎜の時には「F2」になります。
 光はレンズを通して、CCD/CMOS面に像を結びます(CCD/CMOS面というのは、昔のカメラのフィルム面のようなものです)。レンズの形や屈折率によって、レンズから像を結ぶ間の距離(焦点距離)の長さが変わってきます。
 レンズに光を通す量を加減するために絞りという仕組みを使います。絞り値はレンズ内の絞り羽を開閉することで、光量を何段階にも調整が可能です。F値の数字が大きいほど光を通す量は少なく、F値の数字が小さいほど光を通す量は多いということになります(レンズの穴の直径が大きいほどF値は小さくなります)。
 限界まで絞り羽を開けた状態を開放値(かいほうち)と言います。一般的な一眼レフカメラのズームレンズの開放値のF値はF3.5-5.6ぐらいです。高級カメラのレンズだとF1.4くらいのレンズもあります。一般的には、F=2.0台や1.0台のレンズが明るいレンズ、F=5.0以上のレンズが暗めのレンズといわれることが多いようです。開放値の数値が小さいレンズほど、明るいレンズとして重宝されます。
 F値が小さいほど、明るくて鮮明な写真が撮影できますが、撮影状況によっては、明るすぎて真っ白な画像になってしまったりします。このようなときには、レンズに照射される光の量を少なくする必要がでてきます。それで光の量は、「絞り」によって調整できるようになっているのです。つまり絞りは、穴を小さくすることによって光の入射を少なくする方法です。
 絞りをうまく使うことで、明るさの調整を行うこと以外に、ピントがぼやけた写真を少なくするということができます。これは、絞りを使うことによって、焦点深度を深く(大きく)することができるためです。カメラレンズの焦点距離は、物理的には極小の1点だけになりますが、人間の目はそれほど厳密ではないので、少しくらい前後のものもピントがぼやけたようには感じません。この違和感なく見える焦点位置の許容範囲を焦点深度といいます。
 そして、この焦点深度は、鮮明に撮影できるカメラからの距離の範囲(被写界深度)にも関係してきます(次の「絞り値と被写界深度」を参照してください)。
 なお、焦点深度と被写界深度はとても似ているように思えますが、焦点深度は写真のピントが合っているように見えるフィルム面の位置の(前後)範囲のことで、被写界深度は写真のピントが合っているように見える領域の広さのことです。

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