ちょき☆ぱたん 写真補正の豆知識 (chokipatan.com)

第2部 実践1基礎編2加工処理

1 レイヤー

1-11 調整レイヤー、塗りつぶしレイヤー

 ビットマップ画像は、色の補正や拡大縮小などの加工をするたびに、画像が劣化してしまう(元画像とは違っていく)という性質をもっています。色の補正などの加工が一発でうまくいくと良いのですが、なかなかそううまくはいかないもので、試行錯誤で納得のいく補正をしていかなければなりません。こういう時に役に立つのが調整レイヤーや塗りつぶしレイヤーです。
 画像に直接補正を施すのではなく、調整レイヤーや塗りつぶしレイヤーを作って補正・加工すれば、画像を劣化させることなくトーンカーブなどの調整や補正、加工が行えます。この調整レイヤーは複数作成可能ですし、描画モードの適用や不透明度の設定など、多彩な表現も可能です。またレイヤーマスクも同時に作成されますので、塗りの適用の度合いなども自由に設定・変更できます。
 調整レイヤーと塗りつぶしレイヤーの不透明度および描画モードオプションは、画像レイヤーと同じです。また画像レイヤーと同様に、移動したり再配置したりすることができます。初期設定では、調整レイヤーと塗りつぶしレイヤーには、そのタイプに応じて名前が付けられます(べた塗りレイヤー、階調の反転調整レイヤーなど)。

(1) 調整レイヤー
 画像の色調やコントラストの補正をする時に、調整レイヤーを使うと作業を効率化できます。調整レイヤーを使用すると、画像内のピクセル自体を変更することなく、カラー調整や色調補正を自由に試すことができます。調整レイヤーというものは、それより下のレイヤーの色を調整するためのベールのようなものです。新規に作成すると、調整レイヤーは選択されているレイヤーの一つ上に出来ます。またスマートブラシツールの使用など、操作によっては自動的に調整レイヤーが作られる場合もあります。
 一つの画像に、調整レイヤーは、一つでも複数でも作ることが出来ます。調整レイヤーを使うと、画質調整や色調補正などのさまざまな効果を画像に与えることが出来ますが、一つの調整レイヤーには一つの効果しか作れないので、複数の色調補正を行いたい場合は、「レベル補正」用や「色相・彩度」用など、それぞれの調整レイヤーを作って重ねることになります。
 なお、調整レイヤーで選択範囲を作成せずに補正等を行うと、効果はレイヤー全体に適用されますが、選択範囲でマスクしてから行うと、選択範囲だけに効果を適用することができます。これは「レイヤーマスク」と言って、ブラシで塗るようにして調整範囲を指定できるものです。調整レイヤーのレイヤーマスクサムネイルを選んだ状態で、黒でペイントすると効果が削除され、白でペイントすると効果が適用されます。白と黒のグラデーションを利用して効果を及ぼすこともできます。
 例えば「レベル補正」を行う例をつかって、写真の一部を明るくする方法を具体的に説明すると、次のようになります。
(1)-1 「レイヤー」パネルの調整レイヤー作成ボタンをクリックして、「レベル補正」を選択。レベル補正用の調整レイヤーが出来る。
(1)-2 「調整レイヤー」の「レベル補正」機能で、まず写真全体を明るくする。
(1)-3 「ブラシツール」を選択し、明るくなりすぎた部分をブラシで黒くなぞっていく(描画色を黒に設定しておく)。この時、レイヤーの右のサムネイルを見ると、塗りつぶした部分が黒くなっているのが分かる。この黒い部分が、「補正効果が削除されたレイヤーマスク」部分。大きく表示させたい場合は、「Alt」キーを押しながらこのサムネイルをクリックすると、写真画像が消えて、このサムネイルが大きく表示される。もう一度「Alt」キーを押しながらこのサムネイルをクリックすると、元の写真画像に戻る。間違って黒くした部分を白く戻したい場合は、描画色を白に変えてブラシで白くなぞると、補正効果が適用されるようになる。このようにして補正効果を及ぼしたい部分だけを白く(及ぼしたくない部分を黒く)して、自分の思い通りに明るくしたい部分を選択することができる。

(2) 塗りつぶしレイヤー
 単色やグラデーション、パターン等で塗りつぶしたレイヤー(塗りつぶしレイヤー)を作成することが出来ます。レイヤーとして塗りを作成すると、表示や削除などの加工が簡単に何度でも行えます。
 調整レイヤーと違って、塗りつぶしレイヤーは下のレイヤーに影響を与えません。
 なお、塗りつぶしレイヤーにペイントするには、まず通常のレイヤー(画像レイヤー)に変換(ラスタライズ)する必要があります。

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