ちょき☆ぱたん 紙の豆知識 (chokipatan.com)
2-2 ペーパークラフトに向く紙(1)インクジェット紙
2-2-1 インクジェット紙の選び方
現在、ペーパークラフトで最も良く使われているのは、インクジェット紙だと思いますが、インクジェット紙のすべてが、ペーパークラフトに向くわけではありません。インクジェット紙には、通常、発色をきれいにするためなどの「コート層」がありますので、切り折りするときに、ここから粉(紙や顔料やコート剤から剥がれるもの)が発生する場合がありますし、接着剤(木工ボンド等)と相性が悪い場合もあります。
通常の場合は、ペーパークラフトに使えるという記載のある、普通紙のインクジェット用紙を選ぶのが最適だと思います(普通紙はコート層がとても薄いからです)。また普通紙の印刷滲みが気になる場合は、マット紙を選ぶのが良いでしょう。マット紙にもコート層がありますが、光沢紙より層が薄いので、光沢紙よりはペーパークラフト向きだと思います。
名刺用のインクジェット紙もペーパークラフトに向いているそうです。名刺は0.20mmぐらいの厚さのものが多く、一般の洋紙と違って、多層抄きの紙が使われているために紙にコシがあり、写真を印刷しないことが多いので、インクジェット層が薄めになっていて接着しやすいそうです。ただ問題は、一般販売用の名刺用インクジェット用紙には、名刺サイズのミシン目が入っているものがほとんどで、ミシン目のないものは、プロ用の紙を取り扱っているお店でしか手に入らないことです。またこれとほぼ同じ特徴を持つITマルチ用紙もペーパークラフトに向くと言われていますが、同様にプロ向けのお店でしか手に入らないそうです。興味のある方は、プロ向けの用紙を一般向けにも販売しているネットショップなどを調べてみてはいかがでしょうか。
発色がきれいな作品を作りたいときには、どうしても光沢紙を選びたくなりますが、この場合は粉の発生や接着剤に及ぼす悪影響が少ないものを試行錯誤で選ぶ必要があると思います。そうでない場合は、接着剤をつける部分のコート剤をセロハンテープで剥がしてから接着するとか、コート剤の悪影響をそれほど受けずに接着できる両面テープ等で接着する、などの工夫をしてもいいかもしれません。もちろん一番良いのは「ペーパークラフト用という記載のある光沢紙のインクジェット用紙」を使うことだと思いますが、種類が少ないのが現状です。
なお紙の価格は一般的に、「化学パルプを多く使用する高密度の紙ほど高価」「非常に薄い紙や非常に厚い紙は高価」「塗工量の多い(コートの厚い)紙ほど高価」という傾向があります。また再生紙は、古紙からの製紙に手間がかかるので、化学パルプの紙よりも安いということはありません。
インクジェット用紙には、いろいろなサイズのものが売られていますので、自分の作りたい作品に合わせて選びましょう。一般販売されている主なサイズは、(A4、A3、A5、A6、B4、B5、ハガキ、L、2L)です。
また厚みは0.20mm(中厚口から厚口)前後、0.15mmから0.25mmが良いと思います。ペーパークラフト用と書いてある紙は、ほぼこの厚みのものです(インクジェット用紙は、一般の人が買いやすいよう、紙の厚みは「坪量」ではなく、ミリ単位で書いてあります)。
ペーパークラフト用のインクジェット用紙を選ぶときの参考になるよう、以下にインクジェット用紙とプリンタ用インクに関する基礎知識を紹介します。