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第1部 本
医学&薬学
Newton別冊『人体 完全ガイド』
『Newton別冊『人体 完全ガイド』 (ニュートン別冊)』2018/4/18
(感想)
豊富なイラストで分かりやすく解説してくれる『人体完全ガイド』です。
巧妙な「人体」のしくみが分かるだけでなく、主な病気や最先端の医療についての解説もあります。主な内容(章)は次の通りです。
1 消化と吸収
2 泌尿器と生殖器
3 肺と心臓
4 皮膚・骨・筋肉
5 感覚器官
6 脳と神経・ホルモン
7 血液と免疫
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冒頭、目次に続いて、ぎょっとするような大きな人体の全身図(前・後)があります。長い折り込みページになっています(ただし、一部がページにはみ出しているので、ポスターとしては使えません)。人体の全身図は、骨格・筋肉・血管網・臓器など、さまざまな視点から複数描かれているので、人体の構造を概観できます(各部の名称・簡単な説明付)。
そして専門家のインタビュー記事なども掲載されています。解剖学の坂井さんによると、実際の人体は、本書に描かれているような「整理された人体図」通りではないそうです。
「実物の体というのは、ノイズ、ゆらぎがあるというのでしょうか、少し分かりにくいところがあります。輪郭がクリアにみえるものでもありません。臓器には余分な結合組織、コラーゲンの細かな繊維が網の目のように張り付いているのです。解剖学の本にのっている人体の解剖写真は、そういうものを丁寧に取りのぞいて表面を綺麗にしたものです。」なのだとか。この本に「写真」ではなく「イラスト」が多用されているのは、そういうわけだったんですね。
人体の臓器や血管などの内部構造を、典型的な形で分かりやすく説明してくれるので、「人体」全体の概要をつかむことが出来ました。
また、いくつか最先端の医療についての解説もあり、それもとても興味深かったです。
例えば、骨肉腫の治療として、液体窒素で凍らせる(!)という方法があるそうです。
「骨を凍らせると、がん細胞とともに、骨芽細胞や破骨細胞も死んでしまう。しかし、骨の中にある、骨に血管をのばすタンパク質や、骨芽細胞などを呼び寄せるはたらきをもつタンパク質は、液体窒素で凍らせてもこわれない(活性が失われない)。」のだそうです。液体窒素でがんは「凍死」しますが、骨は生き返るんですね!
また、鼻の組織で脊髄を再生するという治療法(鼻の奥にある組織を脊髄に移植して、神経を再生させる)もあるのだとか。
「鼻の奥にある嗅粘膜の内部には、においの情報を脳に伝えるための「嗅神経」がはりめぐらさせている。一般的に神経は再生しづらいが、この嗅神経は例外的に再生をくりかえす神経である。それは嗅粘膜に次の三つの特徴があるためである。1)神経がのびるのに必要な栄養物質が豊富に存在する。2)新しい神経細胞を生み出す「神経幹細胞」を含む、3)神経が容易に内部に入りこむことが出来る。すなわち、嗅粘膜は神経の再生をうながす組織なのだ。」
……そうだったんですか。
人体の構造の理解を深めることが出来るだけでなく、最先端医療についても知ることが出来る本でした。医学に興味がある方は、ぜひ読んでみてください。
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Newton別冊の他の本、『錯視完全図解―脳はなぜだまされるのか?』、『錯視と錯覚の科学』、『筋肉と技の科学知識』、『完全図解 周期表』、『地震研究の最前線』、『くすりの科学知識』、『脳のしくみ』、『ゼロからわかる人工知能 仕事編』に関する記事もごらんください。
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