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第1部 本

防犯防災&アウトドア

防災

地震研究の最前線(ニュートン別冊)

『地震研究の最前線 (ニュートン別冊) 』2016/10/18


(感想)
 最新の知見にもとづいて、東北地方太平洋沖地震や熊本地震の詳報、そして危険な活断層や地震予測の可能性など、地震研究の最前線を紹介してくれる本です。
 2011年3月に発生した東北地方太平洋沖地震のマグニチュード9は、研究者ですら想定していない規模のものだったそうです。また2016年の4月に発生した熊本の地震は、震度7が連続して発生するという異例のもので、2回目が発生したという報道を聞いた時には、あれだけの大地震があったのに、エネルギーは解放されていなかったのかと、本当に驚愕してしまいました。大地震には余震がつきものとはいえ、1回目より大きい地震が来るとまでは予想もしていませんでしたから……。被災者の方を気の毒に思うと同時に、他人事ではないと強く感じさせられました。
 日本周辺では、東側から「太平洋プレート」が年間約8センチ(!)のペースで動いていて、日本の北半分をのせている陸側プレートの下へと沈み込んでいるそうです。プレートどうしの接着が耐え切れなくなったとき、陸側のプレートが一気にはね上がり、激しい揺れや津波が発生します(プレート境界地震)。2011年3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震も、このプレート境界地震だったのだとか。
 これらの想定外の大地震の発生を受けて、地震研究はこれまでの常識にとらわれない再検証や見直しを迫られているそうです。
 そして地震への対策の一つが「ずれ」の観測で、陸地だけでなく、海底にもGPS観測網が設置されつつあるようです。大地震が頻発してきた日本ですが、それでも地震予測のために十分なデータが蓄積されているとは言えず、残念ながら今後も当分の間、地震予知は困難なままなのでしょう。それでもデータを蓄積し、観測技術を進歩させていくことが、地震発生サイクルの解明、速やかな避難勧告などにつながっていくのだと思います。
 この本は、最近発生した巨大地震の詳しい状況や、日本列島の活断層について教えてくれるだけでなく、今後発生するかもしれないと言われている南海トラフや首都圏の大地震についても、そのメカニズムや被害予測を、イラストでくわしく解説してくれます。あまりにも厳しい被害の予測に、背筋が寒くなりました。ちなみに首都圏で大地震が発生した時は、データセンターが使えなくなって銀行ATMが使えなくなり、お金がおろせなくなる可能性が高いようです……それに備えて、日頃から現金や小銭を準備しておくべきなのでしょう(汗)。
 東北地方太平洋沖地震や熊本地震、そして兵庫県南部地震の被害を撮影した写真も掲載されていて、大地震の怖ろしい現実をまざまざと見せてくれるので、この本はぜひ家族と一緒に読んでください。大人向け科学雑誌(ムック)なので、小さなお子さんにはまだ理解できない記事が多いかもしれませんが、これらの写真を見ることで、防災への意識が高まるのではないでしょうか。
 本の最後には、数ページだけですが、大地震への対応の方法も掲載されています。巨大地震が発生してしまったら、最初の3分は緊急避難すること(トイレに駆け込みドアを開けたままにする、など)、強い揺れがおさまったら避難経路を確保することが重要なようです。
 そして地震に備えて、建物を耐震化しておくことや、いざというときの食料や生活必需品を備蓄しておくことも大切です。本の最後には、ヘルメットや懐中電灯、携帯ラジオや非常食、飲料水などの備蓄品リストもありますので、可能な限り準備しておきましょう。
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 Newton別冊の他の本、『錯視完全図解―脳はなぜだまされるのか?』、『錯視と錯覚の科学』、『筋肉と技の科学知識』、『完全図解 周期表』、『くすりの科学知識』、『人体 完全ガイド』、『脳のしくみ』、『ゼロからわかる人工知能 仕事編』に関する記事もごらんください。
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 Newton別冊には他にも『火山のしくみと超巨大噴火の脅威』などの特集があります。
 別の作家の本ですが、『絵でわかる地震の科学』、『科学の目で見る 日本列島の地震・津波・噴火の歴史』、『巨大地震はなぜ連鎖するのか―活断層と日本列島』、『大地震と大噴火 (別冊日経サイエンス)』、『日本列島100万年史 大地に刻まれた壮大な物語』、『日本の地震予知研究130年史: 明治期から東日本大震災まで』、『日本の火山図鑑: 110すべての活火山の噴火と特徴がわかる』など、地震や火山について学べる本は、多数あります。
 なお社会や脳科学、IT関連の本は変化のスピードが速いので、購入する場合は、対象の本が最新版であることを確認してください。

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