ちょき☆ぱたん　紙の豆知識　(chokipatan.com)

10-9　紙に求められる特性

　紙はさまざまな用途に使われていますので、それに応じていろいろな性能が求められています。印刷に使われる紙にはインクを定着させる機能（吸水性）が必要とされますが、包装材料の中には、逆に防水や耐水性をもたせた紙が必要とされる場合もあります。ここでは、印刷時に求められる特性を中心に、紙に求められるさまざまな性能について紹介します。

10-9-1　印刷特性（印刷で求められる特性）

　紙は印刷目的に適した質感(白色度、不透明度、光沢、平滑性、手触り感など)を備えたうえで、各種の印刷方式で必要とされる性質を満たしている必要があります。
　なお平滑度は、一定間隔の溝がある測定ヘッドを一定の圧力で紙に押し当てて、溝と紙の隙間に空気圧をかけたときの空気の漏れ具合から紙の凸凹の程度を測定します。

(1)　印刷全般で求められる特性
・インクの定着性がよい
・印刷に適した表面硬度がある
・平滑性が高い
・チョーキングや裏抜けしない
・紙粉発生がしにくい（紙粉が発生すると、印刷時に白抜けのトラブルが起こりやすくなります）
・カールしたり波を打ったりシワなどが入っていない
・耐候性耐光性がある

※チョーキングとは、印刷面を軽くこすると顔料が粉状になって落ちることです。

(2)　オフセット印刷（平版印刷）で求められる特性
・適度な吸水性
・水濡れでも表面の強さが保たれる
・ブランケット剥ぎ取り時のインキの粘りに負けない表面強度
・膨脹する紙中の水蒸気を外へ逃がす通気性（印刷後に熱風乾燥される）

(3)　グラビア印刷（凹版印刷）で求められる特性
・凹部の転写を助ける平滑性と弾力性（通常はグラビア用紙を使用する）
・温度湿度変化があっても伸び縮みしない（寸法安定性）

(4)　凸版印刷（凸版印刷）で求められる特性
・他の印刷方式に比較して要求度は少ない
・裏抜けがしにくい不透明度の高さ