ちょき☆ぱたん お気に入り紹介 (chokipatan.com)

第1部 本

ユーモア

鴨川ホルモー(万城目学)

『鴨川ホルモー』2009/2/25
万城目 学 (著)


(感想)
 呆れるほど面白い物語です☆ 京都の大学に入学した主人公が、妙な仲間たちと、妙なサークル活動に励む日常を描いたものですが、その「妙っぷり」が半端ない! なにしろ彼らがやっている(やらされている)のは、四大学のオニ(鬼)対抗戦なのですから!
 頭だいじょうぶか(汗)という感じの設定にまみれていますが、場所が「京都」で、描写にもリアル感があるので、ひょっとしてあの葵祭で、祇園祭で……一般人には見えなかった場所で、そんなことが? と思わせてくれます(笑)。
 大学生たちのアホな頑張りと、ちょっぴりせつない恋……まさにいま大学生の方はもちろん、すっかりトウがたった大人の方でも、青春時代を思い出して楽しめるのではないかと思います。
(※ここから先は、物語の核心にふれるネタバレを含みますので、結末を知りたくない方は読み飛ばしてください)
 タイトルの『鴨川ホルモー』。「鴨川」は京都の川だと分かるけど、「ホルモー」とは何? と誰でも疑問に思うのではないでしょうか。ホルモーとは、一種の対戦型競技の名前です。対戦型といっても、自らが戦うのではなく、小さいオニ(鬼)の兵隊を戦わせるのです。パーティを組んで戦うオンライン・ゲームに近い感じですが……これは京都の街を舞台にした、リアル(?)「式神」対戦なのです(笑)。
 この設定だけでも面白い小説になることが確約されている感じですが、この物語の一番面白い所は、主人公(安倍)とその友人(高村)の、会話や心の声の部分。すごく率直に、かなりダメっぽいところが、ありのままに描かれているので、まるで自分の大学時代を見ているような気がします(汗)。特に、アメリカ生まれ(帰国子女)の高村に、京都や日本の歴史や観光地を解説されている安倍の情けない感じには、他県出身の友人に地元の観光地を案内されていた学生時代を思い出して、つい笑ってしまいました(その友人には、いまだに頭があがらない感じがします……汗)。
 まあ、それはともかく、新入生のサークル勧誘、空腹で汗臭い貧乏生活、わけのわからない先輩に振り回されるサークル活動……懐かしい青春時代が甦ります。京都の街や神社、祭が具体的に描写されるので、京都に行ったことがある方は、より一層楽しめると思います☆
 片思い、恋敵との確執、そして魑魅魍魎の跋扈、疾風怒涛の狂乱絵巻……物語はどんどん盛り上がっていき、読み始めたら止まらなくなります。楽しくて、ちょっぴり切ないところもある、とても爽やかな青春物語です(あれ? 主人公の安倍は京都大学なのに、勉強の描写はほとんどなかったような……まあ、そんなもんか(笑))。
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 万城目さんの他の本『ホルモー六景』、『鹿男あをによし』、『プリンセス・トヨトミ』、『偉大なる、しゅららぼん』、『とっぴんぱらりの風太郎』、『バベル九朔』に関する記事もごらんください。

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