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第1部 本
自己啓発・コミュニケーション
TED TALKS スーパープレゼンを学ぶTED公式ガイド(アンダーソン)
『TED TALKS スーパープレゼンを学ぶTED公式ガイド』2016/7/15
クリス・アンダーソン (著), 関 美和 (翻訳)
(感想)
世界中が注目するカンファレンス「TED」。忘れられないプレゼンを生み出す舞台裏とノウハウを、TED代表のアンダーソンさんが自ら解説する初めての公式ガイドです。
「TED」は、日本でもNHK教育で放送している(いた)ので、ご存じの方も多いと思います(インターネットでも公開されています)。あるテーマで登壇者が17分程度のスピーチを行うものですが、内容が充実しているので、見るたびに「ああ、今回も良いことを教えてもらった……」という気持ちにさせてもらえます。
中でも衝撃的だったのは、ジル・ボルト テイラーさんの「脳科学者の脳が壊れた」時のスピーチ(『奇跡の脳―脳科学者の脳が壊れたとき』にも綴られています)。このプレゼンは、いまでも鮮明に思い出せるほどです。
そして、この番組を見るたびに思うのが、「この人たちって、本当にプレゼンが上手だな!」ということ。この本を読んで、その秘密の一部を知ることが出来ました。
一番驚きだったのは、「彼らは生まれつきプレゼンが上手だったわけではない」ということ! NHK教育テレビで見るTEDの登壇者たちは、経歴的にはかなり「普通」の人でも(汗……失礼)、プレゼンがすごく上手なので、内心(やっぱり「外人」はプレゼンがうまいんだなー)と思っていたのですが、実はあのプレゼンは、相当な準備(原稿や練習)があってのものだったのです。
例えばTEDに登場したケニアの12歳のマサイ族の少年の場合。彼は独学で電気工学を学び、ゴミ捨て場に捨てられていた太陽光パネルやバッテリーなどの部品を使って、ライオンを追い払うための「動いているように見える照明装置」を作ったときの話をTEDでスピーチしたのですが、実はこのスピーチは、TEDのスタッフが彼と一緒に数か月かけて内容を練り上げたそうです。
もっとも普通の大人の場合には、ここまでサポートはしないのだと思いますが、「TEDの大ヒットトークのほとんどは、登壇者が準備に長時間を注ぎ込んだ結果、生まれたものだ」そうです。なかには練習に数百時間かけたという人もいるようです。
この本では、TEDでのプレゼンに関して「基本」、「ツール」、「準備」、「本番」、「考察」というカテゴリーで、事例をまじえて解説してくれます。
個人的に特に参考になったのは、「準備」と「本番」。
「準備」では、「大半の講演者にとって本当に言いたいことを力強く伝えるいちばん確かな方法は、まず原稿をつくって、それを自分の一部になるまで練習することだ。」と言っています。そして練習していくと、最初はうまくいくのですが、途中で機械的になり棒読みになってまうような期間が訪れるのだとか(これをアンダーソンさんは「不気味の谷」と呼んでいます)。それを乗り越えて、さらに練習していくと、内容が体に身について難なく思い出せるようになるのだそうです。……やっぱり、これぐらい練習しなければ、素晴らしいプレゼンは出来ないのですね(汗)。
また「本番」では、「服装」、「メンタルの準備(あがらないようにするには?)」、「ステージの設定(演台、隠しモニター、アンチョコ、それとも(ゴクリ)なにもなし?)」、「声と存在感(言葉に命を吹き込もう)」などを具体的に教えてもらえます。
TEDの使命は、力のあるアイデアを広め育むことで、本書の目的は、ありとあらゆる形のパブリックスピーキングを手助けすることだそうです。この本を読むと、プレゼンへの心構えをはじめ、いろいろなノウハウを知ることが出来ると思います。(ただ……正直に言うと、この本自体が「スピーチによるプレゼン」的な書き方をされているので、文章としての「ノウハウまとめ」を一覧として見ることが難しく、ビジネス書で売られている普通のプレゼンの教科書の方が、プレゼンの具体的ノウハウを「復習する」場合には使いやすいと思います……。)
TEDへの出演予定がなくても、プレゼン能力を向上させたい方は、ぜひ一度、読んでみてください。
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アンダーソンさんの他の本『MAKERS―21世紀の産業革命が始まる』に関する記事もごらんください。
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別の作家の本ですが、『TEDトーク 世界最高のプレゼン術』、『TEDトーク 世界最高のプレゼン術 【実践編】』、『TEDに学ぶ最強のプレゼン術』、『TED 驚異のプレゼン 人を惹きつけ、心を動かす9つの法則』、『世界最高のプレゼン教室(80分DVD付き)』、『社内プレゼンの資料作成術』、『社外プレゼンの資料作成術』、『これだけは知っておきたい「プレゼンテーション」の基本と常識【改訂新版】』など、プレゼン能力を向上させるのに参考になる本は多数あります。
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