ちょき☆ぱたん お気に入り紹介 (chokipatan.com)

第1部 本

しかけ絵本(日本の作家)

旅の絵本

『旅の絵本1~8』(安野光雅の絵本) 1977/4
安野 光雅 (イラスト)


(感想)
 『旅の絵本』は、心を落ち着かせてくれる不思議な絵本です。穏やかな色合いで、美しい都市や田園風景や、そこに生きる人々の姿が、細かく丁寧に描かれています。ページをただぼーっと眺めるだけでも心が癒されるのですが、様々な格好で動いたり働いたり休んだりしている人々を真剣に見つめてみるのも、『ウォーリーを探せ』や『ミッケ!』などの視覚探索絵本に通じる楽しさがあります(童話の登場人物なども、さりげなく描かれていたりするんですよ☆)。
 普通の旅行スケッチや風景画には、こんなに細かくいろんな人々が描きこまれることは少ないと思いますが、旅する安野さんは、美しい風景より、むしろ、その土地の人々を優しく見つめているのでしょう。この美しい風景を作っているのは、こういう風に生きている人間たちなんですよ、と教えてくれているようです。
 そしてこの絵本には、本当に色々なもの(歴史的なもの、地理的なもの、童話を素材にしたもの、名画等)が丁寧に描きこまれているので、子供の頃、一度見たことがあった人でも、大人になってもう一度見ると、新しい発見が出来ることがあります。以前にはただの情景の一部として見逃していたものに、実は歴史的背景があったことや、有名な名画だったことなどに気づくと「えっ?」とびっくりして、なんだか得した気分になり、他の人に教えたくなります(もちろん、ちょっと自慢げに)。
 知識や経験を積むごとに楽しめるものが増えていく、本当の意味で、大人も子供も楽しめる、不思議な、心の『旅の絵本』です。
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 安野光雅さんのその他の本、『きつねがひろったイソップものがたり (1)』、『きつねがひろったイソップものがたり (2)』、『ふしぎなたね』、『ふしぎなえ』、『空想の絵本』、『安野光雅の世界―1974→2001』に関する記事もごらんください。
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 旅の絵本は全8巻でています。

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