ちょき☆ぱたん 紙の豆知識 (chokipatan.com)

4-2 洋紙・和紙・再生紙・合成紙(原料による分類)

 紙は原料でも分類できます。
 洋紙は木材を原料としたパルプから機械を使って製造した紙です。
 和紙はコウゾなどの植物を原料として製造されています。和紙は手漉きで作られているイメージがあり、「洋紙=機械抄き、和紙=手漉き」と思われがちですが、現在では和紙も八割以上が機械抄きで作られています。このため製造方法で洋紙和紙を分類することはできません。
 再生紙は古紙を原料として製造した紙です。古紙は、実際にはパルプ原料に混ぜて洋紙を製造するのに利用されることが多いので、古紙原料の紙も再生紙ではなく洋紙の一種に分類すべきなのかもしれませんが、ここでは独立して分類してみました。
 合成紙は合成樹脂を薄いフィルム状にしたもので、海外では紙幣に使われることもある紙です。

※「抄く(すく)」と「漉く(すく)」の違い
 両方とも「水に溶かした紙料を簀の上に薄く敷きのばし、または抄紙機にかけて紙を製造する」という意味ですが、「抄く」の方は機械で、「漉く」の方は手ですくことを言います。(あまり厳密に使い分けなくても良いようですが……)

(1) 洋紙の特徴
 現在は紙全体の割合の大部分を、機械で製造された洋紙が占めていますので、身の回りの用紙のほとんどが、洋紙で作られています。機械で大量生産していますので、均質な品質のものを安価に製造することが出来ます。色々な厚さの紙を製造したり、薬品や染料によるコーティングなどで特殊な用途の紙を製造することも可能です。原料としては再生紙(別項目参照)の他、木材などを原料としたバージンパルプを利用しています。

(2) 和紙の特徴
 和紙は洋紙に比べて、丈夫で滑らかなことが特徴です。これは植物原料に「トロロ」という透明な液体を加えて「流しずき」をする、という和紙独特の製法により実現されています。「流しずき」をすることで原料の繊維どうしがよくからみ合って強い紙になり、また繊維がきれいに並ぶので、なめらかで美しい紙になるからです。

※「流しずき」とは、紙すきの時に道具(簀桁)を前後(左右)に揺り動かす手法を言います。これに対して洋紙はトロロを入れないので、揺り動かすことはできません。揺り動かさないすき方を「溜(た)めずき」とよびます。
 原料として使われているのは、主にコウゾ・ミツマタ・ガンピといった植物原料です。サイズ剤や填料を添加することが多い洋紙と違って、和紙には薬品はほとんど使われていません。

(3) 再生紙の特徴
 地球温暖化や環境破壊を防ぐため森林を守ろうという運動が活発化しているなか、古紙を原料として利用する再生紙は、地球環境に優しいというイメージがあります。しかし実際には古紙が少しでも入っていれば「再生紙」と呼ぶことができるので、古紙の再利用割合をわかりやすくしようと、「古紙配合率70%以上」「塗工量が両面で30g/㎡以下」「非塗工紙は白色度が70%以下」などの審査基準を満たすものにエコマークをつけることが出来ると定義されています。
 日本の古紙利用率は60%をこえ、世界でもトップクラスとなっています。再生紙は新聞紙、段ボール、トイレットペーパーへの利用の他、書籍や雑誌、OA用紙等へも利用されています。古紙は長期保存による変色が起こりやすいという難点がありますので、新聞や雑誌、段ボールなど短期的に利用されるものに使われることが多いのです。
 かなり身近な存在の再生紙ですが、実際に手元の白い紙が、パルプ原料100%で出来ているのか、再生紙で出来ているのかについては、なかなか見分けがつきません。そんな時はルーペで紙をよく見ると、再生紙の方には必ず何らかのインキの跡がありますので、見分け方の参考にしてください。
 地球環境に優しいと言われている再生紙ですが、古紙からパルプへの再生のためには脱墨(繊維から剥離されたインキを掻き取る)、漂白、加熱、乾燥などの過程を経るため、数回再生利用すると繊維が弱くなって、再生することができなくなります。このため、供給する紙をすべて古紙だけで作ることはできません。また木材パルプから紙を製造するよりも、古紙を再生して紙を製造する方が、より化石燃料を使用するため、CO2排出量が多くなるという生産過程上のデメリットもあり、必ずしも環境に優しいとは言えない部分があるのが実状です。
 紙にはさまざまな種類があり、使用目的に応じた白さや強さなどが求められています。美しさ白さが強く求められる紙(写真用紙など)には木材パルプの紙を、それほどでもない紙(トイレットペーパーなど)には再生紙を利用するなど、使い分けていくことが必要なのかもしれません。

(4) 合成紙の特徴
 合成紙は、合成樹脂を薄いフィルム状にしたもので、破れなくて耐水性があり、高度な印刷も可能という特徴がありますが、折り曲げにくく印刷に特殊インキが必要という弱点もあります。外観や風合いは木材パルプ紙に良く似ていますが、物性は紙や合成樹脂フィルムの特性を兼ねあわせたものが多く、海外では紙幣に使われることもある紙です。
 屋外ポスターや宅配伝票、管理用バーコードラベル、洗剤容器ラベルなどに広く利用されています。また折り曲げにくいという特性を逆に活用して、ひとりでに折り目が開く選挙投票用紙にも使用されています。


スポンサードリンク