ちょき☆ぱたん お気に入り紹介 (chokipatan.com)
第1部 本
生物・進化
進化の存在証明(ドーキンス)
『進化の存在証明』2009/11/20
リチャード・ドーキンス (著), Richard Dawkins (著), 垂水 雄二 (翻訳)
(感想)
「進化論は単なる理論ではなく、進化は科学的事実なのだ」ということについて、ドーキンスさんがさまざまな事実をもとに証明してくれる本です。
すでに「進化論」を普通に学校で学んで育っている私たち日本人にとっては、どうして今更、こんなに攻撃的に力説しなければならないのか? とちょっと不思議に感じてしまうのですが、なんとアメリカでは40%以上もの人が「進化論」を否定しているとか(2007年の調査)。ヨーロッパでも同じような状況の国がたくさんあるようです(マジか……)。
ということで、「進化論」をすでに受け入れている人にとっては、当たり前のように感じていることについても、かなりぐいぐい押しこんでくる感じはありますが(汗)、「進化」を「科学的事実」として受け入れるべき理由について、すごく具体的に詳しく、分かりやすく説明してくれるので、全体としては、とても勉強になりました☆
この本の中で、ドーキンスさんは、地質学、分子遺伝学、進化発生学、分岐系統学、育種学、生物地理学など、さまざまな学問分野の知見を使って、進化が事実であるという状況証拠を積み上げていきます。その博識ぶりに驚かされるとともに、なるほど、進化論は、このような各分野でも検証されてきたんだなーと、とても興味深かったです。
また進化論だけでなく、大陸移動説(プレートテクトニクス理論)についても、その地形的な証拠、生物的な証拠、そして磁場の縦縞模様の証拠まで教えてくれるので、進化論以外の理論の勉強にもなります。
すごく意外だったのは、生物の身体の中は、神がつくったと思えるほど美しくも精緻でもないということ。例えばキリンの喉頭神経の迂回路は、設計の不完全さの証拠のようなものだそうですが、それが生き延びるための「やっつけ仕事」の結果だと思うと……なるほどなーと納得できました。古いプログラムに、必要にせまられて新しい機能を継ぎ当て継ぎ当てして使い続けていくと、最終的には、ごちゃごちゃこんがらがったプログラムになってしまうみたいな感じ(笑)。ちなみに、キリンだけでなく、人体内部にも同じような不完全さが多数あるそうです。
すごく長い上に、豊富な知識をこれでもかと盛り込んであるので、読むのはかなり大変な本です(汗)が、とても勉強になるので、進化だけでなく科学一般に興味のある方にもお勧めします。
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ドーキンスさんの他の本、『利己的な遺伝子<増補新装版>』、『進化とは何か:ドーキンス博士の特別講義』に関する記事もごらんください。
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なお社会や科学、IT関連の本は変化のスピードが速いので、購入する場合は、対象の本が最新版であることを確認してください。
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