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第1部 本

しかけ絵本(海外の作家)
 ※日本語の本(翻訳版)もあります

その他の海外の作家

世界で一番美しい切り絵人体図鑑(ドゥルヴェール)

『世界で一番美しい切り絵人体図鑑』2017/12/2
エレーヌ・ドゥルヴェール (著)、ジャン=クロード・ドゥルヴェール (著)


(感想)
 世界で一番美しい切り絵人体図鑑です(笑)。図鑑の前半のイラストの一部が切り絵で表現されているという、とても珍しい人体図鑑で、図鑑の後半はめくりしかけで「人体の構造」が簡潔に分かりやすく解説されています。2017年「ボローニャ・ラガッツィ賞」ノンフィクション部門優秀賞受賞作品です。
 この本を最初に書店で見た時、いちばん驚かされたのは、人体の内部構造がすごく細かい切り絵で表現されていること! なんと「消化器系(食道・胃・腸)」、「循環器系(心臓・動脈・静脈)」、「呼吸器系(肺)」、「骨格系(骨)」、「神経系(脳・神経)」のそれぞれが、繊細な切り絵で表現されているのです。例えば表紙では、人体内部に通る動脈や静脈がイラストで表現されていますが、本の内部では、この血管部分が細かい切り絵になっているのです! 表紙では頭部はイラストですが、内部では、頭部の部分の血管もきちんと切り絵になっています。
 もちろん内蔵や骨や神経なども、それぞれ同じサイズの人体の切り絵になっていて、すべてを重ねた状態で眺めることが出来ます。だから、(なるほど……人体の内側はこんなふうになっているのかー)、と簡単に概観することが出来て、人体の複雑な構造を、直感的に理解できるような気がします。
 そして後半は、各器官の簡潔な解説+めくりしかけで内部構造が分かるイラストで構成されています。解説はあまり詳しくはなく簡単なものですが、それだけにむしろ読みやすい感じがあり、一般向けの医学図鑑として、大人でも子供でも読みやすいのではないかと思います。
 でも……なぜわざわざ「切り絵」にしたのかな? いくら細かくても切り絵だと本物の血管ほど細かくできないし、この本の他の人体内部構造イラストもけっこう大ざっぱだし……、写真やもっと精密なイラストで構成された人体図鑑がすでにたくさん出版されているのに……となんとなく不思議に思っているうちに、小中学生の頃、1学期の初めに新しい教科書が渡された時、あちこちで「うわー!」という叫び声があがったことを思い出しました。それは「生物系」の教科書の解剖写真を見たときで、「ぎゃー」と叫んで、そのページを、開かないようにセロテープで留めてしまう人まで、いたぐらいでした(笑)。(実は私自身は、解剖写真は生物のリアルな姿として当然なものだと思っていたので、あまり気持ち悪いとは思っていませんでしたが、みんなに合わせて、ちょっと眉をしかめて目を背けるよう心掛けていました(笑))。
 ……そうか。こんな風にむしろ「リアルではないイラストの人体図鑑」の方が、普通の人は安心して読めるのかも、と納得させられ、「切り絵による人体図鑑」の発想に感心させられました。切り絵の細かい細工に幻惑されて、へー、人体の内部構造って、こんな感じなんだーと興味津々でページをめくらされ、簡単な漫画風のイラストで描かれた人間の横顔をめくって、さらに脳の構造まで、うっかり(目を背けずに)眺めることが出来てしまいます。そういう意味で、すごくよく出来た「世界で一番美しい切り絵人体図鑑」だと思います(笑)。
 大きめの文字による解説も短くて、内容もあまり難しくないので、お子さんと一緒に読むのも良いと思います。ただし切り絵部分がすごく繊細なので、お子さんだけで読ませると、あっという間にボロボロにされてしまいそう。お子さんが読む場合は、大人と一緒に読むようにすることをお勧めします。

・1~4ページ目:裏表紙・タイトルなど
・5~6ページ目:筋肉系(人間をめくると、その筋肉系の図があります)
・7~17ページ目:7、17ページ目に解説、8ページ目以降の左側ページには、同じサイズの人体の消化器系などの臓器や血管、神経などが「切り絵」で描かれていて、すべてを重ねてみることが出来ます。(消化器系・循環器系・呼吸器系・骨格系・神経系)
・18ページ目:黒いページ(解説あり):この黒いページの上に、上記の8ページ目以降の切り絵の消化器系などが重なって見えます。
・19~20ページ目:頭蓋(脳):左ページは解説、右ページはしかけ付イラストで、人の横顔(頭蓋)をめくると脳や顔面の内部構造が見えます。
・21~22ページ目:骨格系:左ページは解説+イラスト、右ページは骨格系のイラスト
・23~24ページ目:呼吸器系:左ページは解説+イラスト、右ページはしかけ付イラストで、胸部骨格をめくると、肺の構造が見えます。
・25~26ページ目:循環器系:左ページは解説、右ページは循環器系のイラスト
・27~28ページ目:心臓:左ページは解説、右ページはしかけ付イラストで、心臓のイラストをめくると、心臓の内側の構造が見えます。
・29~30ページ目:消化器系:左ページは解説としかけ付イラストで、口の内部構造のイラストをめくると歯の内部構造が見えます。右ページは消化器系のイラスト
・31~32ページ目:泌尿器系:左ページは解説+イラスト、右ページは腎臓の内部構造のイラスト
・33~34ページ目:視覚:左ページは解説としかけ付イラストで、目のイラストをめくると眼球の外側の構造が、さらにめくると眼球の内側の構造が見えます。右ページは解説。
・35~36ページ目:嗅覚・味覚:左ページは解説としかけ付イラストで、横顔のイラストをめくると鼻や口、脳の構造が見えます。右ページは解説。
・37~38ページ目:聴覚:左ページは解説としかけ付イラストで、横顔のイラストをめくると耳や脳の構造が見えます。右ページは解説。
・39~40ページ目:触覚:左ページは解説としかけ付イラストで、手のイラストをめくると手の骨や筋肉・血管などの構造が見えます。右ページは解説。
・41~42ページ目:生殖器系(男性):左ページは解説、右ページはしかけ付イラストで、横向きの男性の下側をめくると男性の生殖器系の内部構造が見えます。
・43~44ページ目:生殖器系(女性):左ページは解説、右ページはしかけ付イラストで、女性の下側をめくると妊娠中の女性の生殖器系の内部構造が見えます。
・45~46ページ目:裏表紙
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 ドゥルヴェールさんがイラストを担当している他の本、『くるみ割り人形 (ぶたいしかけえほん)』や、別の作家の本ですが、医学の勉強などに役立つしかけ絵本『人体絵本―めくってわかる からだのしくみ』に関する記事もごらんください。
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 別の作家の本ですが、『どうなってるの? 人のからだ図鑑』、『からだのふしぎ (どんどんめくってはっけん)』というしかけ絵本もあります。また『360度全方位見られる! 世界一わかりやすいAR人体図鑑』、『DVD付 人体 (学研の図鑑LIVE)』、『世界で一番美しい人体図鑑』、『ぜんぶわかる人体解剖図―系統別・部位別にわかりやすくビジュアル解説』など、DVDや写真・イラストなどで人体について学べる図鑑は多数あります。

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