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第1部 本
教育(学習)読書
ミライの授業(瀧本哲史)
『ミライの授業』2016/7/1
瀧本 哲史 (著)
(感想)
学校は、未来と希望の工場である。そしてきみたちは魔法を学んでいる……著者の瀧本さんが全国の中学校を訪れて開講した特別講義「未来をつくる5つの法則」のエッセンスを凝縮した本で、未来に生きる14歳のきみたちに送るメッセージです。
さて、子どもの頃、勉強は好きでしたか?と聞かれて「はい」と即答できる人は少ないと思います(汗)。なかには(本当は好きだったんだけど、そう言うと格好悪いから……)という理由で「いやー、そうでもない」なんて答えてしまう人もいるかもしれません。でも今では、「勉強が本当に好き」だった「意識高い系」の人でも、「勉強がただ好きなだけ」では、未来の社会には通用しない時代が訪れつつあるのです。なぜなら未来の社会で働いているのは、ロボットなのかもしれないから……。この本の冒頭で瀧本さんは、機械の導入で多くの仕事が「誰がやっても同じ」になってきたので、日本の企業が外国で製品を製造するようになるなど「安い人が選ばれる時代」になってきたこと、さらにこのまま進むと「ロボットに仕事を奪われる時代」になることを予想しています。
いきなりお先真っ暗のような現実がつきつけられますが、それにどう立ち向かえばいいのかの答えを大人たちは知らないそうです(汗)。
でも未来には、ひとつだけいいところがあるのだとか。それは、「未来は、つくることができる」ということ。この本は、未来に生きる人たちへ、「未来をつくる人になろう」と方向性を示し、勇気づけてくれる本です。
「本気で未来をつくろうと思うなら、過去を知る必要があります」と瀧本さんは言います。
そしてニュートンやナイチンゲールなどの過去の偉人が、いかに新しい世界へと導いてきたのか実例をあげて示してくれます。これらの話に、とても勇気づけられました。生まれながらの大天才としか思えなかったニュートンは、なんと中学時代の成績は学年で下から二番目で、勉強するようになった理由は、「ケンカした友達を見返したかった」からなのだとか! また天使のようなナイチンゲールは、クリミア戦争での戦死者たちの死因を「感染症」「負傷」「その他」の3つに分類して月別に集計し、負傷で死亡した死者の30倍以上が感染症で亡くなったことをデータで示し、戦地の衛生状態の改善を訴えたそうです。
この他にも、「当時の常識」にとらわれず、新しい道を切り開いた人々の偉業が次々に紹介されていきます。
でも、ニュートンの仕事だけでなく、コペルニクスの地動説、ダーウィンの進化論など、時代の常識を打ち破るような仕事は、すぐには受け入れられず、古い世代がこの世を去った後にようやく受け入れられたのだとか。つまり「変革者はいつも「新人」で、「世代交代」だけが世の中を変える」のだそうです。
しかも「みなさんが世界を変えようとするとき、自分の夢をかなえようとするとき、周囲の大人たちが応援してくれると思ったら大間違いです。大人たちが応援するのは、自分の地位を脅かさない若者だけ。つまり「世界を変えない若者」だけです。」
未来はそんな逆風の先にありますが、そこでくじけてはいけない!と瀧本さんは熱く語ります。
「未来をつくるのは、未来の担い手である14歳のきみたちです。そして学校は、未来と希望の工場、そこできみたちは「魔法」を学んでいるのです。」
……幻獣を呼び寄せるような魔法ではありませんが、今わたしたちの手のひらの上にあるスマホ、江戸時代の人から見たら、まさに魔法そのものだと思いませんか? 私たちは「魔法」を作ってきたのです。そして14歳のきみたちは、さらにその未来をつくっていくのです。
……とても勇気づけられる本でした。14歳だった時はとっくに過ぎ去り、「世の中を変えない若者」から「世の中を変える力のない古い世代の大人」へと成り下がった気がする私ですが(汗)、心はいつも「可能性に満ちた14歳」のままで、これから一歩一歩、未来をつくっていきたいと思います(笑)。
若い方はもちろん、心が若い大人の方も、そして若い方を育てている大人の方も是非読んでみて下さい。
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瀧本さんの本、『武器としての決断思考』、『武器としての交渉思考』に関する記事もごらんください。
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瀧本さんは、他にも『僕は君たちに武器を配りたい』、『僕は君たちに武器を配りたい エッセンシャル版』、『君に友だちはいらない』などの本を出しています。
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別の作家の本ですが、『君たちが知っておくべきこと: 未来のエリートとの対話』、『10代のための座右の銘』など、若者が今後の生き方を考える上で参考になる本はいろいろあります。
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