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第1部 本

文学(絵本・児童文学・小説)

絵本・児童書(海外)

ケストナーの「ほらふき男爵」

『ケストナーの「ほらふき男爵」』2000/1
E. ケストナー (著)


(感想)
 ユーモアに富んだ児童文学で有名なケストナーさんが、「ほらふき男爵」などの、昔から広く知られたお話を、子供たちが読みやすいように書き直してくれた短編集です。
 書き直されたお話は、「ほらふき男爵」「ドン・キホーテ」「シルダの町の人びと」「オイレンシュピーゲルの愉快ないたずら」「ガリバー旅行記」「長靴をはいた猫」の全6話。「ドン・キホーテ」や「ガリバー旅行記」は、もともと大人向けの物語で、もっとずっと風刺性の強い、けっこう長いお話なのですが、すごく短くなって読みやすくなっています。
 また「オイレンシュピーゲルの愉快ないたずら」も、すごくたくさんの話から出来ているのですが、そこからケストナーさんがいくつか選んで書き直しています。
 このように、もともとの話のダイジェスト版になっているのが多いのですが、どの話もすごく面白いです☆
 なかでも最高に面白かったのは、やっぱり「ほらふき男爵」。
 例えば、冬のペテルスブルクで、正面衝突を避けるために郵便用そりの馭者が吹き鳴らそうとする角笛が、いくら頑張ってもさっぱり鳴らず、それでも無事に次の駅について、疲れ切った馭者が、食堂の台所にそばに角笛をかけておいたら、食事中に、突如、「トテ、チテ、ター!」と高々と響きだして……なんと、音が凍りついていた(!)なんていう摩訶不思議な馬鹿話がいっぱい(笑)。
 成長のいいトルコの大豆の種をまいて、その伸びる蔓を使って、月に梯子をかけ、自分が投げ上げた銀の斧を取り戻すとか……でたらめ話のくせに、まるで本当に起こったかのように、すごく具体的に話してくれるので、笑いながら頭が痛くなってきます。本当に面白い「ほら」は、こんな風に話すんですね☆ この「ほらふき男爵」の話を最初に考えた人って、絶対ものすごい天才だと思います。
 これらの話は、ユーモア話の代表的古典なので、読んでいない方は、「教養」としても読んでおくことをお勧めします(笑)。どの話も上手に短くまとめられていて、すごく楽しく読めます。
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 ケストナーさんの他の本、『エミールと探偵たち』、『飛ぶ教室』に関する記事もごらんください。
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 ケストナーさんの児童文学は、『エミールと探偵たち』など他の記事で紹介させていただきましたので、ここでは、大人向けの本『雪の中の三人男』、『消え失せた密画』、『一杯の珈琲から』などを以下の商品リンクで紹介します。

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