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第1部 本

ユーモア

ホルモー六景(万城目学)

『ホルモー六景』2010/11/25
万城目 学 (著)


(感想)
 ベストセラー『鴨川ホルモー』の登場人物や、ホルモー絡みの人々が織りなすサイドストーリー短編集です。
 プロローグで、『鴨川ホルモー』の主人公、安倍と高村が、「ホルモー」についてユーモラスに概説してくれるので、『鴨川ホルモー』を読んでいない方でも、京都で妙なサークル活動(式神対戦)をやっている連中の話なんだな、ということが分かるようになっています。そのため、必ずしも『鴨川ホルモー』を読んでいなくても大丈夫ですが、読んでいた方がずっと楽しめると思います。
 短編は、「鴨川(小)ホルモー」「ローマ風の休日」「もっちゃん」「同志社大学黄竜陣」「丸の内サミット」「長持ちの恋」の6つ。『鴨川ホルモー』には出てこなかった人物が出てきたり、京都以外の場所や、別の時代が出てきたりと、とてもバラエティに富んでいて楽しめます。
 なかでも「鴨川(小)ホルモー」と「同志社大学黄竜陣」では、『鴨川ホルモー』の登場人物が、本編以外での活動を見せてくれて、へー、あの裏ではこんなことが、とか、あの時の詳しい状況って、そうだったんだー、と野次馬根性を満足させてくれるだけでなく、なんとこの2つの話に関連までつけてあって、すごく興味深かったです☆
 特に、「同志社大学黄竜陣」では、『鴨川ホルモー』の根拠となるらしい「陰陽五行説」は、本来、「木火土金水」の5つのはずなのに、現在では、なぜ、そのうちの4つ(木火金水)だけでホルモーっていたのかが分かるようになっていて、ぜひとも、この後日談を知りたいと思わされました。
 また「長持ちの恋」では、高村が、なぜいきなり「ちょんまげ」になったのかの理由が分かったような気がして、魔界都市・京都ではすべてが運命(縁)で宿命づけられているのか? それはちょっと嫌だな、と思わなくもなかったのですが……まあ、ほのぼのしているし、爽やかな終わり方だから、それでもいいか、と思いました(汗)。なお、この話の舞台となる伏見稲荷そばの料理旅館「狐のは」は、『鹿男あをによし』でも登場します。
 ラブコメ成分多めの楽しい短編集です。『鴨川ホルモー』が、より一層楽しめるという意味でもお得だと思います(笑)。
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 万城目さんの他の本、『鴨川ホルモー』、『鹿男あをによし』、『プリンセス・トヨトミ』、『偉大なる、しゅららぼん』、『とっぴんぱらりの風太郎』、『バベル九朔』に関する記事もごらんください。

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