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第1部 本

ユーモア

鹿男あをによし(万城目学)

『鹿男あをによし』2010/04
万城目 学 (著)


(感想)
 奈良の女子高に、産休の教師の代わりとして、二学期限定で赴任した若い男の先生が、理不尽な神様の使いたちに、さんざん振り回されるユーモアたっぷりのファンタジー青春物語です☆
 今回の舞台は古都・奈良。京都同様の魔界都市のようです(くわばらくわばら)。
 さて、奈良ときたら神の使いは当然「鹿」ですよね。ちょっととぼけた可愛い顔と、すらっとした姿勢が素敵ですが……やっぱり神の使いらしく(?)、理不尽なところもあるようです(汗)。
「さあ、神無月だ――出番だよ、先生」。
 九月下旬に奈良にやってきた「おれ」は、十月に入った途端、いきなり話しかけてきた鹿に、「先生は『運び番』に選ばれた」とか告げられて、「目(神宝)」を受け取りにいかなければならなくなります。それはサンカクとかいう名前で呼ばれているとか、渡してくるのは「狐」だが、『使い番』として実際に先生に渡しに来るのは女の人だとか、鹿の言うことは無茶苦茶で要領を得ません。
 どうやらサンカクは、奈良・京都・大阪の三つの姉妹校で争奪される「大和杯」の優勝カップのことらしく、奈良の弱小剣道部は、京都・大阪の剣道部を相手に優勝しなければならなくなるのですが、京都の剣道部は59連勝中。しかも、なんと国体代表に選ばれた選手すらいるのです。
 絶望的な状況に頭を抱える「おれ」ですが、「鹿」は、「目(神宝)」を運ばないと、日本が滅びると脅してきます。どうやら「目(神宝)」の力で、大地震や富士山の噴火を抑えているらしいのです。
 そうこうするうちに、「おれ」自身にも大問題が発生し、なんとしてもサンカクを運ばなければならなくなります。果たして「おれ」は、サンカクを無事に「鹿」に渡すことができるのでしょうか……。
 というストーリーの、すごく楽しい青春物語☆ ちょっぴり恋愛成分もあります。
 また、歴史の先生に案内される奈良の描写も多く、奈良の各地を観光している気分も味わえます(少しだけ歴史の勉強にもなります)。
 そしてなんといっても圧巻は、「大和杯」の剣道の試合☆
 対峙する剣道着姿の女子高生二人が、竹刀を構えて蹲踞する姿、竹刀を打ち合わせて戦う姿の描写がすごく美しく躍動的で、まるで王道の少年スポーツ漫画を見ているかのようでした。
 神話の里・奈良で繰り広げられる、熱と謎と鹿にあふれた青春冒険物語です☆
   *   *   *
 万城目さんの他の本、『鴨川ホルモー』、『ホルモー六景』、『プリンセス・トヨトミ』、『偉大なる、しゅららぼん』、『とっぴんぱらりの風太郎』、『バベル九朔』に関する記事もごらんください。

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