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第1部 本

ビジネス・仕事力向上

なぜかミスをしない人の思考法(中尾政之)

『なぜかミスをしない人の思考法 (知的生きかた文庫)』2013/11/22
中尾 政之 (著)


(感想)
 ミスをしないための心構えなどを総合的・網羅的に教えてくれる本です。
「完璧な仕事を実践する「20の黄金ルール」」を教えてくれるのですが……正直言って、この20の黄金ルールを実行しても、「ミスを完璧に防ぐ」ことが出来るとは思いませんでした(汗)。そもそも「黄金ルール」すべてを常に完璧に実行することが、人間に可能だと思えなかったこともありますが(汗)、社会環境が激変している現在、ミスにつながる原因をすべて予測・把握しえないと思うからです。
 それでもこの本を読んで、常に心に留めておくことで、ミスの発生する可能性をかなり減らすことは出来るような気もします。さまざまなミスや事故は、ある共通の原因・状況で発生することが多いので、それを知ることで、将来の失敗や事故を未然に防ぐ可能性が増えるからです。
 20のルールは、一部をあげると、以下のようなものです。
「1 教訓の法則:人の失敗は「最高の教科書」になる」
「2 油断の法則:「大丈夫」と思ったときこそ、丁寧に動く」
「3 隠蔽の法則:失敗は隠すと10倍返しを食らう」などなど。
 なかでも「6 徹底解決の法則:小さなクレーム無視が「地雷原」になる」の中にあった、「お店のサービスなどに不満のある客の96%は、直接クレームしない(全米レストラン協会の統計による)」という話には、なるほど、と考えさせられました。ということは、つまり、1つのクレームの裏には、その25倍の不満があるということです。また、クレームを示さない96%のうちの91%は二度と来店しないとのことで……クレームが来たら、その場限りの対策ではなく、原因や背景など、さまざまなことを考えて対処する必要があるのだなと思いました。
 また面白かった(?)のは、「13 慣性の法則:「引き際」を見極めなければ、取り返しがつかない」の中の、「誰も失敗と言わないから失敗自体が存在しない」という話で、経営者などの偉い人がメンツや責任回避で「失敗を認めない」態度でいると、「失敗自体が存在しない」ことに出来るのですね(うん、これなら「失敗を完全に回避」出来ますね☆)……冗談はともかく、こういう態度でいると、失敗はどんどん積み上がってしまうことが多いようです……(汗)。
 ところで「失敗」は、時には「成功」につながることもあります。「16 偶然性の法則:今日のミスが明日の大成功に変わる」にあるような、白川博士の電気を通すプラスチックの発見(2000年のノーベル化学賞)ほどの素晴らしい「失敗」ではなくても、身近な失敗も、なにか新しい発見・考え方を見つけるきっかけになるかもしれません。
 また小さな「失敗」を見つけることで、「大きな失敗」を防ぐことが出来ることもあります。「失敗&問題解決の経験」は全社的に共有する仕組みを作り活かしていけば、むしろ資産になるのではないでしょうか。失敗について総合的に考えるのに、役に立つ本だと思います。
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 中尾さんの他の本、『知っておくべき家電製品事故50選』、『「つい、うっかり」から「まさか」の失敗学へ』、『続・失敗百選』、『続々・失敗百選』、『失敗の研究』に関する記事もごらんください。
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 中尾さんは、他にも『わかる! 使える! 仕事のミスが99%なくなる思考法』、『東大で生まれた究極のエントリーシート』などの本を出しています。
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 別の作家の本ですが、『仕事のミスが絶対なくなる頭の使い方』、『ヒューマンエラーを防ぐ知恵 ミスはなくなるか』など、仕事力を向上させるのに参考になる本は多数あります。

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