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第1部 本
(しかけ絵本&技法、ペーパークラフト)

動く&錯視錯覚の本

錯視錯覚技法

だまし絵の描き方入門

『だまし絵の描き方入門―エッシャーの描法で不思議な絵が誰でも描ける』2008/07
杉原 厚吉 (著)


(感想)
 だまし絵の描き方を教えてくれる本です。「だまし絵」とは、目の錯覚を利用して、見る人に普通とは違った感覚を味わってもらうことを目的とした絵で、とても多くの種類があるのですが、この本では、その中から「不可能立体の絵」、「メタモルフォーシス」、「隠し絵」、「タイリングアート」の4種類の描き方を教えてくれます。
 まず「不可能立体の絵」、この説明が一番詳しくて、本の半分は、この絵の描き方の説明です(笑)。「不可能立体の絵」とは、例えば、エッシャーの建築物など、一見すると、ちゃんとした家の絵に見えるのに、よーく見ると「ありえない……」という不思議な感覚を抱かせる絵です。その描き方として、「正しい部品をでたらめに組み合わせる」、「前後を入れ替える」、「重力方向をかく乱する」など、なんと12種類もの技(ワザ)を教えてくれます。イラストと説明で詳しく技の紹介をしてくれているので、読んでいると目がくらくらしながらも、よし、これで単純なものなら描けるな……と妙な自信も芽生えてきます。そしてこの章の仕上げとして、これらの絵がなぜ「不可能立体」と言われるのか、だまし絵はどういう理由でだまし絵なのかについても、分類と説明があります。
 次に「メタモルフォーシス」。これは、普通に見るとよく分からないのに、ある特別な見方をした時にだけ、意味のある絵が見えてくるという性質をもつ絵のことを言います。最も単純な描き方としては、例えば、絵の上に格子を描き、その格子が横に二倍になるように絵を引き伸ばして描く……などの方法で、円筒状の鏡に映った時だけ正しく見える絵なども、この応用で描けます。また鏡に映らない部分に関係ない絵を付け足すことで、何が描いてあるかを分かりにくく隠すこともできます。
 三番目は「隠し絵」。実際には輪郭線がない場所に、目の錯覚で輪郭線があるかのように見えることがある、という錯視を利用して描いた絵や、反対に、多数の輪郭線がある中に、意図的にある輪郭線を隠す、という方法で描いた絵の二種類を教えてくれます。
 最後は「タイリングアート」。これは、同じ形のタイルを敷き詰めて描いたエッシャー風の絵などをいいます。この描法には、単純に同じ形のタイルを敷き詰めるだけでなく、菱形のタイルを飛ぶ鳥にしだいに変形させる「モーフィング」という手法との組み合わせでの説明があります。
 そしておまけ(?)の第5章として「だまし絵の立体化(へんな立体)」の簡単な説明があります。簡単なモデルの展開図がついていますので、完成図を参考に、これをコピーしたものを切り取って組み立てると、へんな立体を作ることも出来るでしょう。
 これらの描画方法を使って、実際に自分でだまし絵を描いてみたり、へんな立体を作ってみたりすると、錯視についての理解が、いっそう深められるのではないでしょうか☆
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 杉原厚吉さんの他の本『トリック迷路』、『タイリング描法の基本テクニック』、『だまし絵のトリック』、『わかっていても騙される 錯覚クイズ』、『へんな立体』、『超ふしぎ体験! 立体トリックアート工作』についての記事もごらんください。
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 杉原厚吉さんには、他にも、『錯視図鑑 脳がだまされる錯覚の世界』などの本があります。また、別の作家の本ですが、子供向けの錯視の学習本「なぜこう見える? どうしてそう見える? 錯視のひみつにせまる本」シリーズの『錯視と科学』、『錯視の技』、『錯視の歴史』などもあります。

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