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第1部 本

健康&エクササイズ

医師が教える元気脳の作り方(米山公啓)

『医師が教える元気脳の作り方』2024/4/5
米山 公啓 (著)


(感想)
 脳神経内科医として40年以上、認知症、脳卒中などの患者さんの治療や予防に関わってきた米山さんが、脳の健康を保つための方法を、ご自身の経験からアドバイスしてくれる本です。脳や健康に関する情報を教えてくれるものですが、一つ一つの記事が短くてエッセイ風の本なので、本が苦手な方にも読みやすいと思います。
「はじめに」によると、脳の健康を保つためには生活習慣病の予防が最優先なのだとか。
 またタバコや深酒は、脳にも良くないようで……
・「タバコを吸うことにより、脳へ行く酸素も減るので、脳は常に低酸素にさらされることになり、長くこれが続けばダメージになっていきます。」
・「(前略)1日2合以上の飲酒によって、健康な人より脳委縮が進むことがわかっています。」
 ……と書いてありました。
 そして「よい睡眠」「栄養バランス」「適度な運動」という健康生活は、脳のためにも良いようです。
・「普段からよい睡眠をとることで、脳を守っていく必要があります。」
・「重要なことはむしろ脳の血管を若く保つことでしょう。つまり動脈硬化が進まないように、血圧、コレステロール、血糖値を基準値にしておくことが重要です。」
・「ウォーキングによって脳へ行く血流が増えることで、神経細胞に酸素と栄養源であるブドウ糖を十分に送り込むことができます。
 また神経栄養因子と呼ばれる神経細胞を刺激する物質も増えてくるので、神経細胞同士がネットワークを作りやすくなるのです。」
・「運動をすると、脳の神経を成長させるBDNF(脳由来神経栄養因子)というタンパク質が海馬で多く分泌されます。つまり運動で記憶に関係する海馬の機能が改善するのです。
 また運動をすると、海馬の血流量が改善して、脳を活性化させるのです。」
   *
 そして、ストレスは脳にも悪いのですが、その理由は……
「ストレスを受けると、体内ではそれに対抗するために、副腎からコルチゾールというホルモンが分泌されます。コルチゾールはからだに必要なものですが、慢性的なストレスによってコルチゾールに過剰に分泌されると、海馬の神経細胞が破壊され、委縮してしまうのです。(中略)
 海馬同様に、前頭前野にある神経回路は日常のストレスや不安で刺激を受けやすく、前頭前野でストレスホルモンなどの神経伝達物質の濃度が上がると、神経細胞間の活動が低下して機能不全に陥るのです。」
 ……ただし軽度のストレスはむしろ脳を活性化させることができるメリットもあるそうで、ストレスのすべてが悪いわけではなく、「慢性的なストレスを回避すること」が重要なようです。
 そしていつまでも「元気脳」でいるためには……
・「会話はもっとも手っ取り早い脳の刺激方法です。」
・「面白いドラマを見て驚き、感動していくというのは、脳に新しい回路を作っていく上で、非常に重要で有効な手段なのです。」
・「料理を作ることは、同時にいろいろやるので脳を刺激するにはいい方法です。」
 また「旅行は脳を活性化してくれる」ようで……
「(前略)単に旅で歩くことが健康にいいというだけでなく、免疫力がアップするとか、ストレス軽減が大きいという報告もあります。」
 ……さらにピアノなどの楽器の練習、新しい家具で生活すること、大工仕事などで立案・計画・実行することなど、いろんなことに楽しく取り組むことが「元気脳」作りに役立つようでした。
 ……要するに、ごく普通に健康生活をして、親しい人との会話を楽しんだり、旅行したり、趣味に打ち込んだりすることが「元気脳」作りにつながるようだったので、すでに実行している方法が、「元気脳」にも役立つようで安心しました(笑)。
 この他にも認知症に関する話や、60歳から打つべきワクチンなど、高齢者にとって参考になる話が満載でした。
 ただ、ちょっと驚いたのが特定検診に関する意見で……
「特定検診は、医療費削減のために始まった自治体が行っている検診ですが、これによって医療費が削減できた事実はありません。
 むしろ病気が早く見つかって、医療費が増える可能性が高いように思います。」
 ……うーん、確かにそうかもしれません。病院嫌いの私としては、特定検診も行きたくないなーと思いつつも、年に一度ぐらいは体のチェックをすべきなんだろうなーと覚悟して(?)受けていますが……まあ、たぶん今後もチェックのために行くと思います。
 ……ということで、すべてのアドバイスに従うつもりはありませんが、ほとんどのアドバスは、他の一般的な健康本でも「良い」と言われているものだったので、読む価値は高いと思います。
 さて、米山さんはピアノの練習で技能の向上を感じているようですが、私も楽器の練習では日々少しずつでも「上達している感じ」があってとても楽しいので、脳だけでなく身体も使う楽器の練習や工作(DIY)、そして旅行は、最高に楽しい「元気脳」の作り方だと思います。
 高齢者にとって参考になる情報が満載の『医師が教える元気脳の作り方』……年齢に関係なく、いつまでも脳も体も健康でいたいと思っている方は、ぜひ読んでみてください。
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 なお社会や科学、IT関連の本は変化のスピードが速いので、購入する場合は、対象の本が最新版であることを確認してください。

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『医師が教える元気脳の作り方』