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第1部 本
社会
深掘り! IT時事ニュース(三上洋)
『深掘り! IT時事ニュース ──読み方・基本が面白いほどよくわかる本』2024/7/31
三上 洋 (著)
(感想)
「SNSで炎上が頻繁に起こるのはなぜ?」、「ネット犯罪はどんなしくみで起こるの?」、「生成AIってなにが問題なの?」……技術の発達がめざましくて、ついていくのが大変なIT関連のニュースを、分かりやすく解説してくれる本で、内容は次の通りです。
第1章 IT時事ニュースがますます世の中を騒がせる?
01 テレビ番組におけるIT時事ニュースの扱い
02 「バイトテロ」事件が繰り返し起きる原因は?
03 バイトテロ大炎上で閲覧数を稼ぐサイト・動画
04 ネット炎上参加は少数・事後対応が重要
第2章 個人を狙い撃ちするネット詐欺・サイバー犯罪
05 宅配便やアマゾン偽装のSMS=スミッシングの特徴
06 不正アプリでSMS再送信・情報盗み取り
07 偽サイト巧妙化・ネット広告まで利用
08 高額通話料の国際ワン切り詐欺とは
09 クレジットカード不正利用が巧妙化
10 ウェブスキミングとクレジットマスター
11 クレジットカード利用の安全対策
12 SNSで「捨て駒」を集める闇バイト
第3章 社会・経済に影響を与えるITトラブル・インフラ障害
13 「やらせレビュー」が氾濫する理由
14 ランサムウェアが企業・病院で被害拡大
15 バックアップも暗号化? ランサム被害傾向
16 VPNなどの脆弱性が攻撃されて侵入被害
17 続発する内部不正事件の手口と背景
18 内部不正の動機は「給与待遇の不満」
19 スマホ決済で障害が多発する理由
20 スマホデータを捜査・裁判に使う時代
21 巨大災害におけるスマホ・携帯電話の障害
22 続発する携帯電話障害の理由
23 続発するクラウド・IT基盤の大規模障害
第4章 ビッグテックと国家が描く巨大なIT展望
24 世界はビッグテック=GAFAMが支配
25 GAFAMの売上構成比でわかるITニュース
26 グローバルIT企業と国家の衝突
27 日本は本当にデジタル後進国なのか
28 コロナ対策で見えたデジタル後進国・日本の課題
29 デジタル庁の要・ガバメントクラウド
30 カード自体の安全性は高いマイナンバーカード
31 頻発したマイナカード関連トラブルの原因
32 企業のあり方を変えるDXとは
33 IT技術による新しい文明「Society 5.0」
34 野心的目標に挑戦「ムーンショット」
第5章 私たちの生活を大きく変えるITサービス・最新技術
35 スマホ料金の多様化とパターン別お勧め
36 スマホ動画の勝者は? ショート動画の戦い
37 Web3(ウェブスリー)が夢見る新しいネット
38 生成AIの急速進化と基本技術
39 主要3社のマルチモーダルAIの特徴比較
40 生成AIの問題点と「使わないリスク」
*
IT時事ニュースのテーマごとに、5~10ページ程度で、とても分かりやすく解説されています。手元において隙間時間に1項目ずつ読んでいくうちに、着実にIT時事ニュースへの理解を進めていけると思います。
私たちが知っておくべき情報も満載です。例えば「第2章 個人を狙い撃ちするネット詐欺・サイバー犯罪」では、メールやSMS、サイトに本物情報の偽メール、サイトが数多くあるとして、事例が紹介されていましたが……あまりにも本物そっくりなので、恐ろしさに震え上がってしまいました。
「07 偽サイト巧妙化・ネット広告まで利用」では、ニトリの公式サイト「nitori-net.jp」に、そっくりな偽サイト「mitori-net.jp」ができたとか、「えきねっと」でも同じような事例があって、「えきねっと」の偽物はドメイン名だけでなく、実際にえきねっとが送っているのと同じ文面の偽メールを送っていたり、なんとGoogleの検索で本物よりも偽サイトの方が上位に(トップ表示に!)されたりしたこともあるそうです……うわー、怖い!!
個人的にセキュリティには注意している方なので、検索で表示されたサイト名もnitori-net.jpという名前も軽く確認してからクリックしていますが、mitori-net.jpを見破る自信はあまりありません……。
また最近は、堂々とAmazonや東京電力、ヤマト運輸などの実名を騙る偽メールが大量に来ていて、これも怖いと感じます。内容もどんどん洗練されていて、かつては「これは間違いなく中国からの偽メール」とすぐに見破ることができたのに、最近はそれもできなくなっています。
これについて本書では、「偽メール/SMSと偽サイトの対策」として次のアドバイスをしています。
1)本物と確認できない場合はリンクを押さない
2)よく使うサイトはブックマークして、そこから利用する
3)可能ならプロバイダ等の偽メッセージ対策を利用する
……なるほどよく使うサイトは「ブックマーク」の方が安全ですね!
また私は絶対に必要ということがない限り、「メール/SMSのリンクは押さない」ことを徹底しています。たとえ「本物」のような気がしても、メール/SMSからではなく、Amazonやヤマト運輸、各銀行の正式サイトを、まず確認にいくのです。その方が安全だと思います。偽メールかも、と疑った時には、そのメールのタイトルや文面でGoogle検索すると、すでに注意喚起がなされていたことも何度もありました。
「クレジットカード利用の安全対策」としても、次のアドバイスがありました。
1)利用明細を毎月必ずチェックする
2)メールやSMSリンクは押さずに大手サイト利用
3)ナンバーレス、利用のたびにメールが通知される、等のカードを使う
……「利用のたびに来るメール」には、「あー、はいはい」としか思いませんでしたが……とてもありがたいものだったんですね……確かに、そうだ……クレジット会社さん、今後もよろしくお願いします。
この他、個人として知っておくべき情報としては他にも……
スマホ決済では障害が多発しているので、「スマホ決済で利用者が準備すべきこと」は、
1)利用明細を月に1度は確認
2)ネットを使わないICカードタイプも持つ(Suicaカードなど)
3)災害対策として現金をある程度持つ
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「災害に備えたスマホの準備」としては、モバイルバッテリーを持っておく、複数の連絡手段を持っておく、安否情報登録の練習をする、できれば防水スマホを使う、などでした。
また実際に災害が発生してしまったら、SNSやメッセンジャーで、無事であることを全体公開でアナウンスし、スマホ電池の節約を心掛ける(バッテリーセーバー機能、画面をできるだけ暗く、アプリの通知オフ・ロック時間を短く、機内モードやwifiを使う)などのアドバイスがありました。「機内モードにする」ことは気がつかなかったので、とても参考になりました。災害になると圏外になってしまうことが多く、そうなるとスマホが電波を出して基地局を探しまくるから、「電源を切る」か「機内モードにする」ことは大事ですね!
また「20 スマホデータを捜査・裁判に使う時代」で紹介されていた、iPhoneのヘルスケアの「階段を上がった段数」の記録が、犯罪の証拠になった事例には、へー、そんなことが……と興味津々でした。
この他にも高額通話料の国際ワン切り詐欺(これへの対策は「一切折り返さない」)とか、闇バイトとか、ランサムウェア対策とか、マイナンバーカード、ブロックチェーンとスマートコントラクト、生成AIとか、一般人も知っておくべきIT時事の解説情報が満載です。……とは言ってもITに詳しい人間にとっては常識の情報ばかりではありましたが、それでも他の人に分かりやすく説明したいときには、とても役に立つと思います。
とても参考になるので、みなさんも、ぜひ読んでみてください☆
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なお社会や科学、IT関連の本は変化のスピードが速いので、購入する場合は、対象の本が最新版であることを確認してください。
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『深掘り! IT時事ニュース』