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第1部 本
地質・地理・気象・地球環境
地球の中身(廣瀬敬)
『地球の中身 何があるのか、何が起きているのか』2022/1/20
廣瀬 敬 (著)
(感想)
マントルには色とりどりの鉱物があり、その下には液体の鉄の層があります。それらは沈み、浮かび、動き回っているのです。そして地球深部の現象が、地表環境――海があり、生命が活動する場所――に大きな影響を与えていることが分かってきました。地球の中身に何があるのか、何が起きているのかをじっくり解説してくれる本で、内容は次の通りです。
序章 地球の中に潜る前に
第1部 現在――地球は何でできているのか? どんな活動をしているのか?
第1章 地球を覆うもの――大気、海、地殻
第2章 地球の白身――マントルは何でできているのか?
第3章 地球の白身は動き回る――プレートテクトニクスとマントルの対流
第4章 地球の黄身――コアの構造と運動
第5章 白身と黄身が殻の外側を決める――地球の表層と内部の相互作用
第2部 過去――「生命の惑星」はどうやってできたのか? どのように進化してきたのか?
第6章 はじまり――地球誕生からマグマオーシャン、生命の誕生まで
第7章 進化――地球の過去を復元する
第8章 謎――地球はどうして生命を宿すことができたのか
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私たちはまだ地球の中身を目視する手段を持っていませんが、推定することはできるようです。「序章 地球の中に潜る前に」には、次のように書いてありました。
「目視できない地球の中身のことを知るには、地震を利用するのが有効です。(中略)地震が起こす振動(すなわち地震波)を観測することで、地球の中身の情報が得られます。」
「地球の中身は大きく3つの層――地殻・マントル・コア(核)――に分けられます。この3層構造はゆで卵にそっくりです。表面の薄い地殻は卵の殻、その下のマントルは白身、中心のコアは黄身に相当します。」
そして「第1章 地球を覆うもの――大気、海、地殻」によると……
「(前略)地球の近くを代表する岩石は、花崗岩と玄武岩です。花崗岩は、水がないとできない、水惑星(いまのところ地球のみ)を特徴づける岩石。そして玄武岩は、地球だけでなくいろいろな天体に普遍的にある岩石。」だそうです。
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とても興味深かったのが。「第3章 地球の白身は動き回る――プレートテクトニクスとマントルの対流」。ここには、次のようなことが書いてありました。ちょっと長いですが、以下にそのごく一部を紹介します。
「「それぞれのプレートは固有の回転軸のまわりを回転運動している」――これが、プレートテクトニクス理論の明らかにしたことです。地球は北極と南極を通る軸(地軸)のまわりを自転していますが、同じように各プレートにも地球の中心を貫く回転軸があるというのです。プレートの回転軸をオイラー軸と呼びます。オイラー軸の向きはプレートごとにまちまちです。(中略)
プレートが変形せずにオイラー軸のまわりを回転しているということは、プレートの移動速度は場所によって異なるはずです。同じ1枚のプレートでありながら、オイラー軸から遠い場所ほど移動速度が速くて、軸に近い場所ほど遅くなります。」
「さて、プレート運動の原動力は何でしょう? (中略)
なぜ海洋プレートが沈み込むかというと、それは、海洋底を移動している間に海水で冷やされて重くなるからです。(中略)
海がなければプレート運動は起こらないことになります。」
……プレート運動の原動力が「海水の冷たさ」だったとは!
さらに「第5章 白身と黄身が殻の外側を決める――地球の表層と内部の相互作用」では……
「(前略)海の存在→プレート運動→外核の対流→磁場の形成→大気の保持→海の維持という形のぐるぐる回るシステムが、地球ができたばかりの頃から現在にいたるまで、ずっと働いてきたと考えられます。」
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もう一つ、「へー」と思ったのが、カリウムについて。「第6章 はじまり――地球誕生からマグマオーシャン、生命の誕生まで」には、次のように書いてありました。
「生物が使っている元素とわたしたちの身の回りにある元素を比較したとき、もうひとつの事実が見つかります。それは生命がナトリウムよりもカリウムを多く使っていることです。(中略)
それは、生命の誕生した場所が海ではなく、陸上だったからかもしれません。」
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そして驚かされたのが、マントルの温度のこと。「第7章 進化――地球の過去を復元する」には、マントルの温度は時代によって違う(太古代のマグマはもっと熱かった)ことに続いて、次のように書いてありました。
「現在も、マントルは冷え続けています。マントルが現在の温度からさらに300度冷えたらと考えるとただごとではありません。まず、地球上の火山活動のおよそ6割を占める中央海嶺で、マグマはできなくなります。(中略)つまり、マントルの温度がいまより300℃下がれば、地球上の多くの火山が活動をやめてしまうのです。
これは非常に大きな変化です。中央海嶺でマグマができなくなれば、新しい海洋プレートはつくられなくなります。つまり、プレート運動が止まってしまうのです。地球は冷え続けて、将来、火星のような惑星になるのかもしれません。」
……えー、そんなことが……。
この他にも「太陽系における惑星の形成」など、興味津々な記事が満載☆ 冒頭には4ページのカラーページがあり、地殻を代表する岩石やマントルの主要鉱物などの写真を見ることもできます。
理科好きには、たまらなく面白い内容がぎっしり詰まった、とても勉強になる『地球の中身 何があるのか、何が起きているのか』でした。みなさんも、ぜひ読んでみてください。お勧めです☆
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『地球の中身 何があるのか、何が起きているのか』