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第1部 本

社会

プラットフォーム学(原田博司)

『プラットフォーム学』2024/6/27
原田 博司 (編集)


(感想)
 京都大学の大学院プログラムで進められている新しい学問体系「プラットフォーム学」のカリキュラムとともに、プラットフォームに求められる基盤技術、応用技術を紹介。国内企業のプラットフォーム利活用事例や340社以上の取材、同プログラム修了生・履修生の取り組み例を通して、プラットフォームの構築に必要な知識が得られるだけでなく、日本におけるプラットフォームの課題と展望も教えてくれる本で、国内・主要プラットフォームを図解したものも掲載されています。
「京都大学総長特別インタビュー」には、次のように書いてありました。
・「プラットフォームというと、最近はコンピューティングプラットフォームを指すことが多いようですが、広義のプラットフォームの意味は「場」であり、端的に言えば、多種多様なプレイヤーが集まって活動する舞台を意味します。」
・「プラットフォームを大きくしていく過程では「どんな社会にしたいのか」という議論ができる仕組みをしっかりとつくっておかなければならないと思います。」
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 そして「第1章 プラットフォーム学とは何か」によると……
「(前略)情報(データ)のやり取りや解析に必要な情報通信技術の基礎的な手法を学ぶとともに、課題解決につながるさまざまなアプリケーションへの具体的な実装方法、プラットフォーム存続に求められる経済的規模の拡大や倫理・法律・政治的な制約の解決、プラットフォーム間の効果的な連携などを研究する(第2章参照)。この過程を通じて、日本を起点に世界に通用するプラットフォームの構築ができる人材を育んでいくのが主眼である。」
 ……だそうで、「第2章 プラットフォームの要素技術」によると……
「プラットフォームとは、広義では「さまざまなアプリケーションが依存共存する共通基盤」であるが、現在、世の中で多くの市場を獲得しているプラットフォーマーが構築するプラットフォームは、基本的には、「現実世界からセンサー、メーター、モニターを通じて情報を情報通信システムを用いて収集し、その情報をデータベース化し、機械学習、統計、数理工学を用いて解析・分析し、その結果を、情報通信システムを介して現実世界にフィードバックし、さまざまな社会課題を解決する」情報通信技術(ICT)を用いたプラットフォームである。」
 ……なのだとか。
 また「第3章 プラットフォーム利活用の現状」には、「プラットフォーム学で扱う領域の分類とカテゴリーの整理」という図があり、領域には次のようなものがあるようです。
・知的財産保護(映像配信、電子書籍、動画配信・共有)
・次世代通信規格(オールフォトニクス・ネットワーク、6G、近距離無線)
・防災DX(ディザスタリカバリー、災害情報・危機管理、BCP、災害予測)
・AI Ethics(説明可能なAI、AI規制、人間中心のAI)
・医療ビッグデータ/ゲノム解析(オンライン診療、医師交流・マッチング、遠隔画像診断、医療画像・情報管理、ゲノム情報解析、電子カルテ)
・スマート行政(シビックエンゲージメント、電子政府・自治体サービス、スマートインフラ)
・サイバーセキュリティ対策(ネットワークセキュリティ、データセキュリティ、セキュリティソフト)
・カーボンニュートラル(気象予測、生態系保全、次世代発電・自然エネルギー、モビリティインフラ)
・地理空間情報、スマートシティ(GIS、位置情報ゲーム、都市OS、観光・旅行DX)
・製造業の生産性向上(向上IoT、産業ロボット・AI化による省力化、画像解析による検品・工程管理、デジタルツインによる生産効率化)
・農林水産のスマート化(環境情報把握、経営・販売支援、収穫・採集等作業データ管理、ロボティクス・ドローン化による省力化)
・STEM教育(GIGAスクール構想、スーパーサイエンス・ハイスクール)
・アクティブラーニング(オンライン教育システム、アクティブラーニング)
・金融のブロックチェーン(NFT、DAO、仮想通貨)
・国際関係のコミュニケーション(スマートアシスタント、SNS、機械翻訳、シェアリングサービス)
 医療現場での電子カルテや、農業現場でのIoT利用など、プラットフォーム構築能力が必要とされる状況は、今後も増える一方だと思うので、それを担う人材を育成する「プラットフォーム学」には、とても期待したいと思います。
 ところでプラットフォームでは、「標準化」が根幹となるルールとなるので、プラットフォームを構築する領域については、それを担う人材に、少なくともその領域の概要レベルの知識が必要だと思います。だからこの「プラットフォーム学」は、学生だけでなく、すでにその領域で働いている人や、実際に構築する場合に必要になるはずのIT技術者などの社会人にも、ぜひ学んで欲しいと思います。今後、各地の大学に夜間講座などが出来ることも期待したいです。
『プラットフォーム学』……京都大学発の「プラットフォーム学」の概要と活用事例を紹介している本で、とても参考になりました。「プラットフォーム学」に興味のある学生の方はもちろん、会社でDXを担当している方や社員教育を担当している方、IT技術者の方もぜひ読んでみてください。
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 なお社会や科学、IT関連の本は変化のスピードが速いので、購入する場合は、対象の本が最新版であることを確認してください。

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『プラットフォーム学』