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第1部 本
健康&エクササイズ
食の安全の落とし穴(小島正美)
『食の安全の落とし穴: 最強の専門家13人が解き明かす真実』2024/6/21
小島 正美 (著), 山﨑 毅 (著)
(感想)
食中毒から食品添加物、食物アレルギー、放射能まで、一般市民が抱く素朴な食品安全への疑問について、食品安全の各ジャンルのトップランナー13人が解説してくれる本で、内容は次の通りです。
1 食品添加物 畝山 智香子 国立医薬品食品衛生研究所 客員研究員
2 食品の残留農薬 原田 孝則 (一財)残留農薬研究所 理事長
3 遺伝子組換え食品 田部井 豊 東洋大学 食環境科学部 客員教授
4 食の放射能汚染 田内 広 茨城大学 理学部 教授
5 ノロウイルス 野田 衛 国立医薬品食品衛生研究所 客員研究員
6 カンピロバクター 中村 寛海 (地独)大阪健康安全基盤研究所 主幹研究員
7 リステリア 五十君 靜信 東京農業大学 食品安全研究センター長 教授
8 サルモネラ 大河内 美穂 キユーピー株式会社 品質保証本部食品安全科学センター 次長
9 アニサキス 杉山 広 国立感染症研究所 客員研究員
10 食物アレルギー 老澤 元宏 国立病院機構相模原病院 臨床研究センター長
11 トランス脂肪酸 後藤 直宏 東京海洋大学 海洋生命科学部学部長 教授
12 健康食品 宗林 さおり 岐阜医療科学大学 薬学部 教授
13 食品のリスクアセスメント 山本茂貴 内閣府食品安全委員会 委員長
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「1 食品添加物」の次のような文を読んだら、自分の抱いていた「常識」がちょっと偏っていたことに気づかされました。
・「(前略)たとえば、一般食品である「米」などは、法令で安全のための厳しい規格基準は設定されていません。そのため、リスクの観点では、たいへん厳しい規格基準が法令で定められた添加物のほうが、食品安全のエリートと言えるのです。」
・「(前略)保存料や、殺菌料などの添加物を使用することで、食中毒のリスク低減、賞味期限切れの延長による食品ロス削減、日持ち向上による流通範囲の拡大など、いろいろなメリットがあります。」
・「医薬品や食品添加物のような許認可制で管理されているものは、事業者が安全性を証明しなければ使用が認められませんが、食品は逆に、規制をしようとする場合には国が“安全でない”ことを立証する必要があります。つまり食品のほうがリスクの高いものが販売されている可能性が高く、消費者はそれを知ったうえで選択する必要があるのです。」
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……食品添加物よりも「天然のもの」のほうが、不純物が多いのでリスクが大きいケースがあるということで……うーん、なるほど……確かにそうなのかも。
アンチエイジングの本を読むと、「加工食品には添加物が多いので健康に良くない」ということがよく書いてあるので、加工食品を避けるようにしていましたが……そんな必要はなかったのかも……。でもまだ、積極的に食べようと思うほどではありませんが……。
続く「2 食品の残留農薬」でも、「国際がん研究機関」(IARC)が「ヒトに対しておそらく発がん性あり」と判定したグリホサート(除草剤)について、その後、欧州食品安全機関(EFSA)や米国環境保護庁(EPA)、日本の内閣府食品安全委員会など先進国の規制当局と公的評価機関によるより詳しい調査によって、「発がん性はない」とされたことが書いてありました。
「13 食品のリスクアセスメント」でも、残留農薬や食品添加物による健康被害は、意図的な犯罪や製造工程のミス以外では、ほとんど起きていないとありました……これらについては、一般に言われているほど危険なものではないようです。
さらに「3 遺伝子組換え食品」についても…‥
「(前略)GM(注:遺伝子組換え)作物は1996年に流通し始めてから30年近くたちますが、健康被害は起きていません。全米科学アカデミーも900以上の文献を調べ、安全だと宣言しています。」
……だそうです。でも日本ではGM作物への風当たりは強く、ごく一部を除いて、商業目的でGM作物が栽培されたことはないそうです。ただし油の材料や飼料として、大量のGM作物を輸入している(アメリカ、ブラジル、カナダなどからトウモロコシ、大豆、ナタネ、綿など)ようですが……。
GM作物には、農薬散布が減ることで、労働時間や動力機の使用減少(燃料節約、二酸化炭素排出減少)、生物の多様性保全が出来る、などのメリットの方が大きいようです。
そして「東京電力福島第一原子力発電所のタンクに貯蔵されている「トリチウム」を含む処理水の海洋放出が2023年8月に始まった」ことでクローズアップされた「4 食の放射能汚染」でも、実は、トリチウム(三重水素)は、自然界でも発生しているということが書いてありました。
宇宙からやってくる放射線(主に中性子)が地球の大気中の酸素や窒素と反応すると、放射性物質のトリチウムが生成されますが、大量に生まれたトリチウムはそのままの形で存在することはなく、すぐに大気中の酸素と反応し、トリチウム水として自然の大気・水循環に取り込まれるそうです。トリチウムの物理的半減期は約12年ですが、体内では平均10日程度で半分になるようですし、食物連鎖による生物濃縮も起こらないのだとか……。
……なーんだ、そうだったんだ。じゃあ日本で売られている食品には、危険はあまりないんだなーと、すっかり安心してしまいそうになりましたが……、食品添加物、残留農薬、遺伝子組み換え食品、放射能汚染に恐れる必要があるほどの危険性はなくても、「食中毒」には気を付けた方が良いようです。
「5 ノロウイルス」、「6 カンピロバクター」、「8 サルモネラ」、「9 アニサキス」では、感染を避けるためには「加熱」が大事だと書いてありました(アニサキスには「冷凍」も有効)。なおカンピロバクターは、もともと鶏が消化管に持っている菌で、汚染をなくすことは困難だそうです。
そして「7 リステリア」の場合は、低温に強いので、なんと冷蔵庫でも増殖してしまうことに注意が必要なのだとか。次のように書いてありました。
「(前略)一般消費者の中でも妊婦さんや高齢者ではリステリアに汚染する可能性のある生ハム・ソフトタイプのチーズ・魚卵・カットフルーツなどについて、リステリアを疑ってかかること、冷蔵保存を長期にしないことを心得ていただきたいところです。」
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『食の安全の落とし穴: 最強の専門家13人が解き明かす真実』……食の安全について詳しく解説してくれる本でした。次の情報も参考になると思います。
・アレルギーに関する情報サイト:「アレルギーポータル」(日本アレルギー学会+厚生労働省)。
・食品のリスクアセスメント情報:内閣府食品安全委員会のサイト
……この他にも、小林製薬の紅?サプリ問題でクローズアップされた健康食品(トクホや機能性表示食品など)なども取り上げられています。とても参考になると思うので、みなさんも、ぜひ読んでみてください。
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『食の安全の落とし穴』