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第1部 本
防犯防災&アウトドア
防災
人類滅亡の科学(ブレイン)
『人類滅亡の科学 「滅びのシナリオ」と「回避する方法」』2023/2/16
マーシャル・ブレイン (著), 竹花 秀春 (翻訳), ナショナル ジオグラフィック (編集)
(感想)
この先、実際に人類が直面するかもしれない破滅的な25篇のシナリオを紹介し、それぞれのシナリオごとに何が原因で何が起こり得るのかを考察している本で、内容は次の通りです。
<1章>人為的な災害
(国土が真っ二つになる、ドローン襲来、核爆弾、南極大陸の崩壊、電磁パルス攻撃、地球温暖化の暴走、パンデミックと生物兵器による攻撃、化学攻撃と化学事故、電力網攻撃、自動化経済、オピオイド中毒)
<2章>自然災害
(小惑星の衝突、スーパーボルケーノの噴火、大地震、巨大津波、コロナ質量放出、大量絶滅、熱帯雨林の崩壊、ハリケーンと台風、酸性化する海洋、メキシコ湾流の崩壊)
<3章>SFの世界が現実になったら
(ロボットによる世界征服、宇宙人の侵略、相対論的破壊飛翔体、ナノボット)
今の「当たり前」が根底から覆るような事態が発生し、人類や地球の生き物たちが絶滅の危機にさらされるという出来事はこれまで何度もありました。例えば、米国を大混乱に陥れ、世界じゅうに衝撃を与えた「9.11同時多発テロ」は、数千ドルの予算で、カッターナイフで武装したわずか19人の人間によって実施されたのです。
この本は、兵器や自然災害などによる「滅びのシナリオ(全25篇)」について、実際に起こりえる(または起こった)出来事のシナリオを紹介した上で、その科学的根拠や、回避方法についても語ってくれます。
読めば読むほど、これらの恐ろしいシナリオが、いつ起こっても不思議ではないものであることや、回避するには巨額の費用が掛かりすぎるという理由で回避をあきらめざるを得ないものが多いことを痛感させられ……悲しさと虚しさを感じてしまいました。
最初の滅びのシナリオは、「国土が真っ二つになる」。テロなどによって米国のフォートベック湖の巨大なアースダムがいきなり決壊すると、下流のダムも連鎖的に次々決壊し、オマハ、カンザスシティー、セントルイス、メンフィス、ニューオーリンズなどの川沿いの大都市が壊滅し、米国は大河を挟んで東西に分断される、というものです。……恐ろしいですね。
そしてその回避方法としては、「アースダムの設備にも、原子力発電所と同じような対策を施す」などのことが書いてありました。……なるほど。日本でもダムはかなり自由に見学可能ですが、人為的攻撃による決壊が引き起こす被害を考えると……何らかのセキュリティ対策を施すべきなのかもしれません。自然豊かなダム湖の見学は観光としても人気ですが、眺めるのは遠くからだけにしてもらったほうがいいのかも……。
次の「ドローン襲来」は、爆弾搭載の小型無人軍用機が石油精製所に攻撃をしかけというシナリオでしたが……最近の戦争ではまさに軍用ドローンが兵器として活用されているので、その脅威もリアルに感じられます。回避方法としては、「ショットガンで撃ち落とすなどのキネティックシステム」、「投網装置」、「指向性エネルギービームとレーザー」、「EMPによる反撃(電磁パルスでドローンの電子機器を機能停止に)」、「ドローンによる駆逐」などが紹介されていました。
また「人為的な災害」の一つとして「地球温暖化の暴走」もあげられていました。その回避方法としては……
1)アマゾンの熱帯雨林のような炭素を蓄えている生態系の人為的破壊や、森林の伐採、焼畑をやめさせる。
2)すべての化石燃料の使用をただちにやめさせる。
3)今すぐ、大気や海から二酸化炭素の除去を始める。
4)二酸化炭素を産業革命の水準(300ppm以下)に戻す。
などが、あげられていました。
この「地球温暖化」と同じ対策で回避できるものとしては他に、自然災害の「大量絶滅」、「熱帯雨林の崩壊」、「酸性化する海洋」、「メキシコ湾流の崩壊」などのシナリオもありました。
このうち「酸性化する海洋」では、空気中・海水中の二酸化炭素を利用する方法が次のように紹介されています。
「(前略)カナダのカーボン・エンジニアリングという会社は大気中から二酸化炭素を回収して合成する計画を進めており、米国海軍は海から取り出した二酸化炭素からジェット燃料を作る方法の実証実験を行っている。」
……ちょっと希望が感じられます。これらの方法がうまく働くと素晴らしいですね!
また毎年のようにさまざまな自然災害に襲われる日本にいると、本当に現実的な「滅びのシナリオ」が「地震」、「津波」、「台風」。これらについても、次のように書いてありました。
・大地震の回避方法としては、都市や構造物の設計改善(耐震・免振構造)など
・巨大津波の回避方法としては、津波警報システムや津波訓練など
・ハリケーンと台風の回避方法としては、襲われやすい地域の開発を止めるなど。
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そして最後の「<3章>SFの世界が現実になったら」の、「ロボットによる世界征服」、「宇宙人の侵略」、「相対論的破壊飛翔体」などは、すべて「人間を超える知性体」によるものなので、回避不可能という結論のようです(苦笑)。ちなみに「相対論的破壊飛翔体」というのはSF世界で生まれたもので、「太陽系外の勢力が、誰の仕業か分からないように遠距離から地球を破壊するのに相対論的破壊飛翔体を使うもの。」だそうです。ただ「ナノボット」だけは、「皮膚がん」と同じようなものなので、皮膚がんと同じような方法で治療できるようですが……。
『人類滅亡の科学 「滅びのシナリオ」と「回避する方法」』……国家レベルや全世界レベルで脅威となる「滅びのシナリオ」について、その根拠や回避方法を知ることが出来る本でした。
これらの脅威に対抗するには、巨額の費用がかかるなど、対処しきれないものがほとんどのように感じましたが、少なくとも私たち日本人は、「地震」、「津波」、「台風」で毎年のように戦争みたいな大被害を受けているので……これらの「回避方法」だけは実際に行っているだけでなく、「悲惨な災害現場」にも耐えて生き延びようとする精神力も培っているように思います。
この「滅びのシナリオ」を知っておくことで、災害への準備・対処をしておくことが大事なのでしょう。私自身もいつものように「地震」、「津波」、「台風」など防災への備えと、世界環境の悪化を促進させないよう、地球温暖化などへの対策として、できるだけ「二酸化炭素」を出さないような節約生活を心がけたいと思います。
『人類滅亡の科学 「滅びのシナリオ」と「回避する方法」』……ナショナル・ジオグラフィックらしい美しいフルカラー写真も満載で、とても見ごたえがあります。ちょっと恐ろしくなるような「滅びのシナリオ」ばかりでしたが、いろいろなことを考えさせられるので、みなさんもぜひ読んでみてください。
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『人類滅亡の科学』