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第1部 本

防犯防災&アウトドア

防犯

最新リスク管理マニュアル(松丸俊彦)

『元公安、テロ&スパイ対策のプロが教える! 最新リスク管理マニュアル 激増する国際型犯罪から身を守るために』2024/5/30
松丸俊彦 (著)


(感想)
 警視庁に20年以上勤務。主に公安部外事課で防諜対策や各国の日本大使館のセキュリティアドバイザーを務めてきた松丸さんが、「特殊詐欺・強盗」「SNSに蔓延するニセ情報」「ストーカー」「狙われる機密情報」「忍び寄るハニートラップ」「チャイナ・リスク」など、現実の犯罪事例を分析、解説するとともに防犯対策法を教えてくれるリスク管理術の本で、主な内容は次の通りです。
〈セキュリティ1〉進化する最新犯罪の手口と防犯
〈セキュリティ2〉実際の事件・犯罪から、身を守る術を学ぶ
〈セキュリティ3〉最新犯罪に巻き込まれないために
〈セキュリティ4〉日本はスパイ天国。知らないと、あなたも巻き込まれる
〈セキュリティ5〉海外だからこそ油断大敵! 警戒レベルを引き上げろ!
〈セキュリティ6〉海外で事故やトラブルに巻き込まれたら!
   *
「〈セキュリティ1〉進化する最新犯罪の手口と防犯」では、特殊詐欺や、高級車盗難、強盗に利用されている「闇名簿」について、次のように書いてありました。
「「闇名簿」とは、悪事を働こうと考えている人たちに流れている名簿で、卒業名簿や納税額上位者リストなど、一般にながれていた複数の名簿と、企業などから漏洩した顧客リストなどから、あらかじめどのくらいの資産があるのか、その家に貴金属や金庫があるかという情報をまとめたものです。」
 こういう闇名簿をもとにした強盗犯は、1~2回の下見で盗みに入るケースがほとんどだそうです。また高級車を狙う手口にも闇名簿が使われて……
「(前略)日本の実行犯が盗み出し、GPSがついていないか確認した後で盗難車を解体し、東南アジア系の運び屋が「車の鉄くず」扱いでドバイなどの海外へ運びます。解体した車の部品を組み合わせて復元させれば、盗難車とはバレずに高く売ることができるのです。」
 ……えええ! いったん解体して海外へ移送するんですか……高級車をお持ちの方は、「GPSを車につける」「駐車場に防犯カメラをつける」「盗難保険に入る」などの対策をどうぞ!
 そして「電話による「振り込み詐欺」から身を守る」には……
1)知らない人からの電話には出ないこと(留守電にして、知っている人だけに返信)
2)国際電話は受信拒否に
3)電話口の相手が「息子や市役所職員、銀行員」などを名乗っても鵜呑みにしないこと
4)お金をすぐに振り込んだり、手渡したりしないこと
5)自宅に警察官や銀行員が来て、キャッシュカードやクレジットカードの提示を求めることはありません。
 ……ということでした。
 防犯には結構気をつかっている方なので、これらのことは知っていましたが、実際に自分に怪しい「国際電話」が来た時には、かなりビビッてしまいました。幸い(?)「自動音声」風の中国語だったので、何を言っているのか分からないまま(笑)、まったく無視して、そのままに……後で調べたら、これが正しい対応だったようです(苦笑)。
 ところで最近は、振り込め詐欺のグループは海外に拠点を置いているようで、「海外で日本人から声をかけられても、連絡先は教えない。関わらないように」とも書いてありました。
 また振り込め詐欺グループは犯罪の実行犯として使う「使い捨てのアルバイト」を募集しているようで、それにも気をつけなければならないようです。次のようなことも……
「私の防犯講座では、インスタグラムやXなどで募集をしていても、途中からやりとりを「テレブラム(Telegram、SNSの1つ)」に誘導するような仕事は、まともな会社ではない」とお伝えしています。
 テレグラム自体が悪いわけではないのですが、ルフィを名乗る特殊詐欺集団がテレグラムを使用したことで、詐欺集団が悪用するアプリとして有名になりました。」
 ……テレグラムというSNSは秘匿性が高いので、犯罪者に悪用されやすいそうです。気をつけましょう。
 また最近ニュースでも話題の「有名人の写真などを勝手に使うニセ広告」ですが、このような「有名人をオトリ広告に使う投資詐欺(投資セミナーや広告)」で気をつけることは……
1)安易にお問い合わせメールに個人情報を書き込まないこと
2)「詳細は説明会にご参加ください」と書かれていても、安易に参加しない
3)著名人が広告塔になっている場合は、必ずその著名人の所属事務所に確認すること
 ……だそうです。有名人の写真を勝手に利用する行為自体が許せませんね……。
 さらにストーカーに関する具体的なアドバイスもありましたし、次のサイト情報も活用できそうに感じました。
・警視庁ホームページの「ストーカーに対する防犯アドバイス」
 本書では、この他にも、さまざまなリスク管理の方法を教えてくれます。
 実は、先進国の中で日本だけが「スパイ禁止法」がないので、日本はスパイ大国になっているようです。SNSによるスパイ活動や、なりすまし企業、詐欺集団から身を守るには……
「現在、もっとも気をつけなければならないのが、SNSを使ったスパイ活動に関するリクルートです。
 とくにスパイが活用しているのが、「リンクトイン(LinkedIn)」というアメリカ型のビジネス特化型SNSです。」
 ……リンクトインは、自分の経歴や実績をプロフィール登録・公開して、積極的に人脈づくりに活用するSNSですが、スパイ活動リクルートにも使われているので、注意が必要なのだとか。
 またLINEは情報流出の危険性が高いので、仕事の重要情報のやりとりでは使わないほうが無難だそうです。
 盲点だったと感じたのが、海外からのお土産について。
「(前略)気をつけて欲しいのが、大麻が合法な国からお土産で買ってきたお菓子に大麻成分が入っているケースがあることです。
 例えば、オランダやカナダは大麻が合法で、アメリカも多くの州で合法になっています。日本人が気をつけなければいけないのは、そういう国からお土産として買ってくるお菓子の中に大麻成分が含まれていた場合」
……こういうお菓子を日本に持ち込もうとすると、空港で尿検査させられることがある他に、持ち込めた場合でも、国内で健康被害を起こしたり大麻利用者にされてしまったりする恐れがあるのだとか。……よく知らない人からもらったお土産は、うっかり食べてはいけないんですね……(怖っ)。
 また海外の犯罪については、次のような情報も役に立ちそうです。
・外務省の海外安全ホームページ(各国の危険情報や渡航情報などをタイムリーに伝えている)
・「たびレジ」(外務省が行っているサービス。調べたい国や地域、期間を指定すると、その地域のリアルタイムに近い情報を得ることができる(指定した7日間だけ))
『元公安、テロ&スパイ対策のプロが教える! 最新リスク管理マニュアル』……国際型犯罪、ますます巧妙になる特殊詐欺、忍び寄るハニートラップやスパイの最新手口……リスクに遭わないようにするためにも、ぜひ読んでみてください。
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 なお社会や科学、IT関連の本は変化のスピードが速いので、購入する場合は、対象の本が最新版であることを確認してください。

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『最新リスク管理マニュアル』