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第1部 本

絵本づくり

明日も生きていこうと思える絵本101(赤木かん子)

『明日も生きていこうと思える絵本101』2024/2/27
赤木 かん子 (著)


(感想)
 あなたの日常に力をくれる名絵本を101冊、一挙紹介してくれる本です。
「はじめに」には次のように書いてありました。
「(前略)この本は、
・本は読むけど、絵本は、ほとんど読んだことがない。
・自分が全然知らないジャンルの知識を手早く得たい(子どもの本は基本、総括なので、全体を眺めたいときには最適です)
・ちょっと元気をもらいたい
という大人のかたへのエールとして、101冊の絵本を選んだブックガイドです。」
 ……ということで、大人も感動したり知識を学べたりする絵本がたくさん紹介されていました。
 まず「1章 新しい世界の扉を開く」の最初に紹介されていた本は、なんと『元素図鑑』(エイドリアン・ディングル)。
「この世界に比較的安定して存在している元素(なかには実験室でしか存在できないものもありますから)92個について、見開き一枚でひとつずつ、その元素が私たちの暮らしとどう結びついているのかを魅力的に解説してくれる一冊ですが、その説明とページ構成がすごく上手なのです。」
 ……こんな『元素図鑑』の絵本なら、子どもに読み聞かせているうちに、自分の知識もつきそうですね!
 この章では、次の本も気になりました。
・『「イグルー」をつくる』(ウーリ・ステルツァー)
 エスキモーの親子が、なにもない雪原に、どうやってイグルーをつくるかを見せてくれる絵本
・『オールド・ブルー』(メアリ・テイラー)
 チャタム諸島にしか生息しないブラックロビンという貴重な鳥を救うために力をつくした科学者と、1羽のたぐいまれな母鳥の物語
 続く「2章 親と子は、永遠のテーマ」では、『でっかいでっかいモヤモヤ袋』(ヴァージニア・アイアンサイド)が、次のように紹介されていました。
「これはイギリスの精神科医が悩みを解決する方法、を描いてくれた絵本です。」
モヤモヤ袋にモヤモヤ袋が溜まりすぎて絶望しているジェニーに、お隣のおばあちゃんが“袋から出してみよう”と言ってくれるのです。
「そんなことしたら大変なことになっちゃう、と怯えるジェニーにおばあちゃんは、そんなことないわよ、コツは、
“誰かと一緒に出すこと”
“ひとつずつ出すこと”
 と教えてくれ、一緒に整理してくれるのです。」
 ……とても大事なコツですね!
 さらに「3章 絵本てこういうものです」では、『まっくら、奇妙にしずか』(アイナール・トゥルコウスキィ)がすごく気になりました。
「(前略)シャープペンの芯、3000本を使って描かれた細密画で、つまりはモノクロなのですが、これが鬼気迫る絵なのです。(中略)
 というわけで、これは、はじめから子どもに向けて描かれた絵本ではありません。」
 ……これはタイトルもすごく気になったし、ブラティスラヴァ世界絵本原画展2007年グランプリなど多数の賞にも輝いたということで早速購入したくなったのですが……なんと2024年現在、すでに絶版になっているようでした……仕方なく中古を買うことにしました……実は本書で紹介されている本には、絶版のものがけっこう含まれているそうで、そういうものは図書館を活用することが勧められていました。
 えーと……さて、「4章 人生の使い方を考える」では、点字を発明した少年の話、野球のハンドサインが作られるきっかけになった聴覚障害のメジャーリーガーの話などを読むことができました。
 そしてこの本で紹介されていた本の中で一番感動したのが、「5章 本と図書館と学校と」の『トマスと図書館のおねえさん』(パット・モーラ)。
 メキシコからやってきた季節労働者の息子で、ほとんど学校にも通えず、図書館で本を借りることも出来なかった少年トマスに、自分のカードで図書館の本を貸してくれた司書のお姉さんが、トマスに負担をかけないように、英語を教えるかわりに、自分にスペイン語を教えてほしいと言ってくれた……という話で、なんとこの少年トマスは、後に大学を卒業して作家になり、カリフォルニア大学の学長にまでなったそうです。とても素敵な実話ですね……。
 ここでは、次のような問題を考えるために役に立つ本も紹介されていました。
・なぜ学校に行かなくてはならないのか?
『すごいね! みんなの通学路』(ローズマリー・マカニー)
『ぼくはひとりで』(フン・グエン・クアン)
『ぼくたちはなぜ、学校へ行くのか。』(石井光太)
   *
・いじめられてたらどうすればいいの?
『わたしはヴァネッサと歩く』(ケラスコエット)
『ウェズレーの国』(ポール・フライシュマン)
『ちっちゃなサリーはみていたよ』(ジャスティン・ロバーツ)
   *
 ……絵本はいろんなことを、考えさせてもくれるんですね……。
『明日も生きていこうと思える絵本101』……子ども向けの絵本には、大人が読めば、直球で心にズドンとくる本質的で核心を突くものが多い……そういう絵本を中心に紹介してくれる本でした。みなさんも、ぜひ読んで、気になる本を見つけてください☆

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『明日も生きていこうと思える絵本101』