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第1部 本

生物・進化

LIFE ON OUR PLANET 地球生命大全史(フレッチャー)

『LIFE ON OUR PLANET 地球生命大全史』2023/10/26
トム・フレッチャー (著), 竹花 秀春 (翻訳), 片神 貴子 (翻訳), & 3 その他


(感想)
 太古の海の世界から、生命の初めての陸地への進出、そして恐竜が誕生して滅亡し、最後の氷河期が到来するまでの、生き物たちの興隆と凋落を描いたNetflixのシリーズ番組「私たちの地球の生命(LIFE ON OUR PLANET)」を、312ページに200枚以上のビジュアルとともに完全書籍化した大型本です。
 世界中の専門家からの協力や、綿密なリサーチ、絶滅動物を再現するためのツール「系統ブラケッティング法」などを活用して制作されたNetflixの番組が元になっているので、とても読み応え見ごたえのある素晴らしい本でした。

 フルカラーの高精細写真やイラストが素晴らしいのはもちろん、文章での解説もとても詳しくて、地球生命の進化をじっくり読むことが出来ます。
 例えば「Part1 はじまり」の「生命の分岐点」では……
「地球の地殻変動、いわゆるプレートテクトニクスはまだ完全ではなく、約18億年前に何らかの理由で突然停止した。それに伴って火山活動も停滞し、地表に栄養分が供給されなくなると、光合成を行う生物はこれまでのように酸素を作りだすことができなくなった。地殻変動がなくなったことで、海の中の栄養塩と酸素は乏しくなり、海は息のできない乳白色をした硫化物のスープになった。海が一面錆色に染まって以来、初めて海の酸素濃度が下がり、深海に追いやられていた原核生物が故郷の浅瀬に帰ってくることができた。(中略)
酸素濃度が現代の1~2パーセント程度だったことで、真核生物は古株の原核生物と立場が完全に逆転し、原核生物に比べてずいぶんと日陰の存在になった。しかしこの逆境が、新たな進化へ向かうよう、日陰者に追いやられた真核生物の背中を押したのかもしれない。約14億年前に真核生物の多様化が始まり、それとともに構造は複雑になり、生息域も広がっていった。植物の系統が動物や菌類の共通祖先から分かれ、それぞれの独自の進化を歩み始める。」
 ……というような解説があり、地球の生命進化は、地球の地殻変動や隕石落下などの環境・気候変動に大きく影響されて進んでしてきたことがよく分かります。
「地表に露出した岩石と二酸化炭素の化学反応は、地球の最も大きな温度自動調節システムの一つ(露出する火山岩が増えると、二酸化炭素が大気中から取り除かれる)」とか、「二酸化炭素を糧として酸素を生み出すシアノバクテリアが繁殖すると気温が低下し、数が減ると気温が上がる」とか、「プレートテクトニクスが火山活動を起こし、海に栄養塩をもたらす」とか……この他にも、さまざまな要素が地球環境・気候を変動させ、生命を進化(絶滅も)させてきたんですね……。
 まさに『LIFE ON OUR PLANET 地球生命大全史』、生き物たちが、激変する地球環境のなかで、いかに生き残ってきたかを、豊富なビジュアルで分かりやすく説明してくれる本で、とても勉強になりました。
 また巻末には「制作の舞台裏」の章もあり、番組スタッフが太古の世界をどう再現させたのかに関する詳しい解説も読むことも出来ました。
 いろんな意味で、とても読み応えがあり勉強になった素晴らしい本なのですが……、ビジュアルが素晴らしすぎて、「どれが復元モデルで、どれが現実の写真なのか」が分かりにくいという問題もありました(苦笑)。
 沼地に多くの首長竜がいる写真(?)や、ケナガマンモスの写真(?)には、説明に「復元モデル」とまったく書いていないので、これらが「絶滅している生物」だという知識がない人が見ると、今もどこかで生きているのかも……と誤解してしまいそうなのです。復元モデルには、それを明記して欲しかったなあ、と思ってしまいました。
 それでも眺めて楽しく、読んで勉強になる素晴らしい本なので、みなさんもぜひ読んで(眺めて)みてください☆
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 なお社会や科学、IT関連の本は変化のスピードが速いので、購入する場合は、対象の本が最新版であることを確認してください。

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『LIFE ON OUR PLANET 地球生命大全史』