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第1部 本

 IT

デジタル時代の 情報発信のリスクと対策(北田明子)

『デジタル時代の 情報発信のリスクと対策』2023/12/6
北田 明子 (著), 山本 一宗 (著), 弁護士法人レクシード (監修)


(感想)
 安易な情報管理が招いたトラブル事例と対策の詳しい紹介など、ソーシャルメディアを武器として使うための基礎知識を解説してくれる本で、内容は次の通りです。
はじめに
Chapter 1 「えっ、これもダメですか?」安易な情報管理がトラブルを招く
Chapter 2 「これは気がつかなかった!」動画配信に潜むリスク
Chapter 3 「組織全体で意識を共有し、体制を整える」情報発信リスクの防ぎ方
Chapter 4 それでも起こるトラブルにどう対応する?
おわりに
参考文献
用語一覧
   *
「Chapter1」では、次の12のトラブル事例について、情報管理にまつわるさまざまなリスクを具体的に知ることが出来ます(本書の半分以上を占めています)。簡単に一覧にして紹介すると……
・事例1:採用PRのHPやSNSに出た社員が退職し、出演箇所の削除を要求
 →削除しないと肖像権侵害、個人情報保護法に反する恐れあり
・事例2:会社の公式ツイートで担当者が総理大臣批判して大炎上
 →服務規程違反、懲戒解雇の恐れ
・事例3:アルバイト店員が飲食店の設備をふざけて不正使用しSNSに投稿
 →名誉棄損、威力業務妨害、器物損壊罪の恐れ
・事例4:新聞記事をスキャンして社内イントラで全社員が閲覧できるようにしている
 →著作権侵害の恐れ
・事例5:インフルエンサーに謝礼を払ってPR動画をしていたら、ステルス・マーケティングだとされ抗議殺到
 →景品表示法違反の恐れ
・事例6:商業施設で会社PRビデオを撮影しようとしたら警備員に阻止された
 →無許可撮影だと民事、刑事責任に問われる恐れ
・事例7:会社の内情を自分のSNSや掲示板に書いたら、会社にバレた
 →名誉棄損、会社からの処分の恐れ
・事例8:自社のPRのために、店内でスタッフが有名な歌手の歌と踊りの動画を配信
 →著作権侵害の恐れ
・事例9:社員の個人SNS動画で、「俺が映っている」と抗議された
 →社員が肖像権侵害に伴う責任に問われる恐れ
・事例10:媒体に扱われた映像や記事をスマホで「接写」し投稿した
 →著作権侵害となる
・事例11:ヒット曲の替え歌を会社のHPで公開した
 →著作権侵害の恐れ
・事例12:女性社員を「職場の華」とするWEB動画を公開
 →ハラスメント、性差別的表現として指弾される恐れ
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 よく起こりがちな事例なので、対処法なども含め、とても参考になると思います。
「Chapter2」では、動画配信に潜むリスクとその対策法、「Chapter3」では、コンテンツのチェック体制をつくることや、ポリシーをつくることなどが解説されていました。
 そして最後の「Chapter4」では、トラブルが起こったときになすべき3つのアクションとして次のことが書いてありました(もちろん本書では詳しい解説があります)。
1)とにかく冷静かつ迅速に事実確認
2)初動が命。外部に対して迅速な対応を
3)危機管理や法律の専門家の意見を聞く
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 2)には、とても大事なことが書いてあったので、以下に紹介します。
「最も手っ取り早く効果的なのは、全SNSや自社ホームページで、発生した事実内容と謝罪などを丁寧に書いたホールディングコメント(状況がよくわからない中でも、自社のスタンスや考え方などを伝える)を公開することです。これは、発生・発覚から、できるだけ早くアップする必要があります。未確認事項があれば、「ただいま確認中です。わかり次第、改めてご報告いたします」とうコメントを添えて、後からまたアップしても構いません。
 最も悪いケースは、事実の全容がわかるまで「何もしない」ことです。この何もしない間に、事態がさらに悪化するということを肝に銘じて、初動に全力を尽くしましょう。」
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 ……緊急事態が突然起こると、何をしていいか分からず、何かまずいことを言ってしまうよりは、どうすべきか対応策をきっちり考えてからにしよう……と思ってしまう方が普通だと思いますが、この「ホールディングコメント(状況がよくわからない中でも、自社のスタンスや考え方などを伝える)」をとにかく出しておくことは、とても重要だと思います。
『デジタル時代の 情報発信のリスクと対策』……まさにタイトル通りの本で、とても参考になりました。この他にも「訴訟になった場合には、まずやらなければならないことは証拠の保全(SNS上の投稿やメッセージ、画像のスクリーンショット(キャプチャ)保存)」など、知っておいたほうが良い情報がたくさんあります。みなさんも、ぜひ読んでみてください。
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 なお社会や科学、IT関連の本は変化のスピードが速いので、購入する場合は、対象の本が最新版であることを確認してください。

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『デジタル時代の 情報発信のリスクと対策』