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第1部 本
生物・進化
カラー図説 生命の大進化40億年史 新生代編(土屋健)
『カラー図説 生命の大進化40億年史 新生代編 哺乳類の時代--多様化、氷河の時代、そして人類の誕生 (ブルーバックス)』2023/10/19
土屋 健 (著), 群馬県立自然史博物館 (監修)
(感想)
40億年にわたる生命の進化史を綴る全3巻にわたる三冊目、新生代編です。白亜紀末の大量絶滅により恐竜がいなくなった後に繁栄した哺乳類の多様化と進化を中心に、さまざまな分類群の特徴的な種を取り上げながら、豊富な化石写真と復元画とともに解説してくれる本で、内容は次の通りです。
第1章 始まりの時代 古第三紀
第2章 冷えていく時代 新第三紀
第3章 氷河とともにある時代 第四紀
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前巻同様、今回もフルカラー写真やイラストが豊富で、眺めるだけでもわくわくしてしまいます。章の初めにその時代の地球の状況が地図で描かれているので、それもとても参考になりました。
さて、「はじめに」には次のように書いてありました。
「新生代は、今から約6600万年前に始まって、現在まで続きます。マンモスやサーベルタイガーなど、多くの哺乳類が登場した時代です。」
「約6600万年前に落下した巨大隕石によって大量絶滅事件が勃発し、生態系が崩壊しました。古第三世紀の生態系は、その大量絶滅事件からの「急激な回復」によって特徴づけられます。大量絶滅時代を生き延びた哺乳類が、温暖な気候のもとで世界中に広がった森林地帯を舞台に瞬く間に多様化し、そして、大型化を開始。生態系の上位にまで駆け上がっていきました。この時代に、現在まで続く哺乳類雄各グループの始祖が登場しました。」
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そして「第1章 始まりの時代 古第三紀」には……
「約6600万年前の大量絶滅事件で幕を閉じることになったのは、約2億5200万年前から連綿と続いてきた「中生代」という時代だ。衝突の冬による寒冷化は、中生代の間に動物たちが経験したことのない「平均気温約15℃」という世界を地球に現出したのである。ちなみに、蛇足かもしれないが、現在の地球の平均気温が約15℃である。中生代がいかに温暖だったのかがよくわかる。
ただし、この「衝突の冬」は、長くは続かなかった。正確な期間は議論が続いているものの、ほどなく平均気温は約24℃にまで回復する。その後、約1000万年間にわたって、平均気温は約24℃から約21℃の間を変動する温暖な時代となる。」
……ええ? 約6600万年前の大量絶滅事件を引き起こしたのは、現在と同じ「平均気温約15℃」だったんですか! それ以前は長い間ずっとかなり温暖だったんですね……こうしてみると……「地球温暖化」は大問題ではないのかも? なんて気がしてしまうほどです……。でも……「急速な変化」が絶滅などの大問題を引き起こしてしまうってことですよね……。
この時代、恐竜類からは鳥類だけが生き残ったそうです。
また最初期のイヌ類、ウマ類が登場、クジラ類が海洋進出して進化していったようです。
「第2章 冷えていく時代 新第三紀」では、世界が寒冷化していき、生物も変わっていくことが書いてありました。約2303万年前から新第三紀が始まり、平均気温は18.5℃から16℃前後まで下がる(極地に常に氷床が存在する)ようになったそうです。
寒冷化に伴う乾燥化で世界に草原域が広がり、ウマ類がいっきに進化してウマらしくなり、最も原始的なゾウが出現し、飛べない大型鳥類、大型ワニ、大型カメ、巨大サメも現れました。
そして中新世の終わりが近づいたアフリカで、ついに人類(サヘラントロプス)が登場! 見つかっているのは、頭骨といくつかの部分化石のみのようで、次のように書いてありました。
「全体像を復元するためには情報が足りず、サヘラントロプスがどのような人類だったのかは、身長情報を含めて謎に包まれている。サヘラントロプスの化石の年代は約720万~約600万年前とされ、この値をもとに「人類の歴史は700万年」という言い回しがよく使われる。」
この後、中新世と漸新世の境界に、新たな人類(アルディピテクスなど)も現れていて、彼らは地上を二足歩行し、樹上生活にも適応していたようです。
そして最後の「第3章 氷河とともにある時代 第四紀」。地球はさらに冷えてきたようです。
「さて、新第三紀の後半で急激に冷え込んだ地球は、第四紀に入って“寒さの底”に到達した。現在でこそ、平均気温は約15℃にまで“回復”しているけれども、(中略)更新世末にあたる約2万年前の平均気温は約11℃でしかなかった。」
「この時代、大陸配置そのものは、現在とほとんど変わりない。ただし、氷期の地球では、海水準低下によって、各地の連結があったことが特徴だ。これは、動物にとって「歩いていくことができる」エリアが増えたことを意味している。」
……現在よりも寒い時代もあったんですね。氷期を代表する古生物の「ケナガマンモス」は「冷凍マンモス」が残っているようです。
またホラアナライオンの化石も見つかっているようで、ホラアナライオンには髭がなかったようです。実は軟組織の髭は化石に残りにくいので、化石の証拠はないようですが、この時代になると「人間が教えてくれること」があるようで、なんと「ラスコー洞窟の壁画で、ホラアナライオンとみられる動物が複数描かれていて、そのすべてに髭がないことから、ホラアナライオンには髭がなかったらしいと判断されている」のだとか! ラスコー壁画には巨大なツノのあるシカも描かれているようです。
また中新世の日本は長鼻類大国で、ナウマンゾウなどゾウの化石がたくさん残されているなど、日本の状況も説明されていました。当時の日本には、大きなシカや巨大ワニ、さらにサイもいたようです。
『カラー図説 生命の大進化40億年史 新生代編』……豊富な化石写真や復元画(想像イラスト)をフルカラーで見ることが出きて、とても見ごたえがありました。新生代は現代まで続いているので、生き物たちの進化がどんどん進んで、身体の構造が複雑化・多様化していくこと、現代の姿に近づいていくことを実感させられました。激しい気候変動の中、生物たちは、こんなふうに進化・絶滅してきたんですね……。
眺めて楽しく、読んで勉強になる、まさに自分だけの自然史博物館でした。みなさんも、ぜひ読んで(眺めて)みてください☆
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『カラー図説 生命の大進化40億年史 新生代編』