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第1部 本
科学
知れば世の中が見えてくる!元素の教科書(左巻健男)
『知れば世の中が見えてくる!元素の教科書』2023/9/20
左巻 健男 (監修)
(感想)
物質はすべて、さまざまな元素の組み合わせによってできています。
「ビッグバン」までさかのぼる元素の登場の物語から、元素にまつわる研究や実験の歴史、元素をわかりやすく分類し、整理する「周期表」の登場まで、わかりやすく解説してくれる本で、内容は次の通りです。
周期表
第1章 元素の基本
第2章 タテに読む周期表
第3章 身近な元素たち
地殻濃度/日本周辺の海底の鉱物資源
「第1章 元素の基本」では、「元素はいかなる手段によっても成分に分けられない物質であり、単体の物質そのものや物質を構成している「原子」の種類を表す概念」で、「元素の性質を決めるのは、陽子と電子の数」だと書いてありました。
そして「周期表の見方」では、「横の列「周期」は電子殻の数」で、「縦の列「族」は電子殻(最外殻)に存在する電子の数が同じになるように並ぶ」ことに続いて、次のように書いてありました。
「(前略)一部を除き「最外殻の電子の数」というのは元素の性質を決めるのに重要で、具体的にはほかの元素と接触したときの結び付きやすさや、原子同士の結び付きの強さ、液体や気体になりやすさなどの特徴に大きく関わってくる。そのため、縦に並ぶ元素=同じ族の元素は、性質が似ているのだ。」
そして「第2章 タテに読む周期表」では、「族」ごとの性質を分かりやすく説明してもらえます。元素には次のような性質があるそうです。
「元素は「電子殻を電子で満たして安定しようとする」性質を持つ。電子殻に定員いっぱいまで電子が入っていることを「閉殻」といい、この状態が最も安定する。」
「同じ族の元素の性質が似ているとはいえ、もちろん性質がまったく同じというわけではない。同族内の元素の違いを生み出しているのは、原子核と最外殻の距離である。(中略)
電子が原子核の周りを回るのは、原子核の中にある陽子のプラスの電気に引きつけられているからだ。引きつける力は原子核から離れるほど弱くなるので、最外殻の電子が原子核から遠いと影響力が弱く電子が「外れやすくなる」。同族内の元素では、原子番号が大きい(=重い元素)ほど殻数が多くなるので、重い元素ほど電子を放出しやすくなるのだ。」
そして「第3章 身近な元素たち」では、各元素が説明されていました。
中でも個人的に興味深かったのが「ホウ素」。なんとホウ素は、農作物の肥料や害虫駆除に利用されている他に、ガラスに酸化ホウ素を混ぜて耐熱ガラスを作るのにも使われています。さらにホウ素は融点が高く、単体でも化合物でも耐火性に優れているので、ロケットの耐熱コーティングとして使われますし、高温・高圧で加工された立方晶窒化ホウ素はダイヤモンドに次いで硬いため、金属の加工に用いられる掘削工具の素材などに使われているのだとか……いろんなことに活用されているんですね!
また本書には、ところどころにコラムがあり、そのうちの「人体と元素」には、次のような記述がありました。
「私たちの体の約99.8%は、たった11種類の元素でできている。その中で最も多く存在している元素は酸素で、質量比でみると実に全体の65%も占めている。以下、1%以上のものに炭素、水素、窒素、カルシウム、リンの6種があり、これらの元素がアミノ酸やタンパク質、脂肪、骨などを構成する。これに硫黄、カリウム、ナトリウム、塩素、マグネシウムを加えた11種の元素が「常量元素」と呼ばれている。」
人体には、この他に「必須微量元素」があり、これが不足すると生命維持に支障が出るようです。例えば……
「(前略)コバルトは人体にわずか1.5mgしか存在しないが、不足すると貧血や手足のしびれ、記憶力の低下などを引き起こす。」
……私たちの体内でも、さまざまな元素がいろんな働きをしているんですね!
また私たちにとって身近な「ステンレス鋼」は、さびないのではなく、実は、すでにさびていることも知りました(笑)。
「(前略)ステンレス鋼がさびにくいのは、実はすでに表面がさびているから。さびとは、酸素と金属が結合してできる化合物(酸化物)であり、クロムは酸素と結合して、ステンレス鋼の表面に非常に薄くて緻密な強い酸化被膜を作る。この被膜が酸素や水の腐食を防ぐため、さびないのだ。」
……こんな感じで、周期表の読み方や、元素番号1の水素から118のオガネソンまで、一つひとつの元素について、イラストや図を添えて解説してくれる『知れば世の中が見えてくる!元素の教科書』で、とても参考になりました。興味のある方は、ぜひ読んでみてください☆
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