ちょき☆ぱたん お気に入り紹介 (chokipatan.com)
第1部 本
健康&エクササイズ
うつは運動で消える(ハイズ)
『うつは運動で消える ――神経科学が解き明かした「心の不調」のリセット法』2022/9/7
ジェニファー・ハイズ (著), 鹿田 昌美 (翻訳)
(感想)
最新科学のエビデンスに基づいた「心と脳の不調」に効く運動法を教えてくれる本で、内容は次の通りです。
第1章 なぜ私たちの脳は運動したがらないのか?
第2章 体を動かすと、「不安・パニック」から解放される
第3章 うつは運動で消える
第4章 さよなら依存症 ――飲酒、喫煙、薬物との決別
第5章 認知症を予防し、脳の若さを保つ
第6章 不眠は運動で解決できる
第7章 運動が「仕事」と「子どもの学力」にもたらす驚くべき効果
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「運動は健康にいいだけでなく脳にもいい」ということが科学的にも明らかになっていますが、それを知っていても、なかなか運動できないでいる人も多いのではないでしょうか。実は、それはごく自然なことだそうです(笑)本書の「第1章 なぜ私たちの脳は運動したがらないのか?」には、次のように書いてありました。
「脳は、自発的なすべての運動をとんでもない無駄遣いとみなします。命がかかっているときだけ動いてほしいのです。」
……なるほど、確かに。私たちの身体はとても賢いので、いつも「何かが起こったときのために」エネルギーを節約しようとしていますし、コマメに「必要のないものは削除する」活動もしています(これが「退化」と言われることもあります)。でもそれに打ち克って運動をすることは、健康や脳だけでなく、ストレスや不安・パニックにも打ち克てるようになるそうです☆
「第2章 体を動かすと、「不安・パニック」から解放される」には、「レジリエンス(回復力)因子の神経ペプチドYは運動で増やすことができる」とか、「週に3回、30分程度の軽度から中程度の強度の運動をするだけで、不安な気持ちを和らげるのに十分」ということが書いてありました。
そして本書のタイトルでもある「第3章 うつは運動で消える」では、次のようなことが……
・運動は抗うつ剤と同じくらい、うつ病を軽減する
・運動には抗炎症作用があり、心臓にダメージを与えたり、気分を落ち込ませたりする炎症を抑えることができる
・定期的な運動は副交感神経系を強化し、運動するたびに増強する
・「有酸素運動」と「筋力トレーニング」の両方に抗うつ効果がある
・週に1時間の運動は、強度にかかわらずうつ病を予防する
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また「第4章 さよなら依存症 ――飲酒、喫煙、薬物との決別」によると、運動は依存症からの回復にも効果的だそうです。
さらに「第5章 認知症を予防し、脳の若さを保つ」では、運動が認知症を予防するかもしれないということが! 高強度インターバル運動(乳酸を閾値以上に上昇させるのに十分な負荷のかかる運動)が、高齢者の記憶力を向上させ、認知症を予防するのに理想的な運動である可能性があるそうです。
これまでどちらかというと身体への害が懸念されてきた乳酸は、実は、次の2つの重要な影響によって、脳を認知症の害から守っているそうです。
1)乳酸は、新しい血管を作ることで、脳への血流を促進する
2)乳酸は、脳細胞の成長と機能を促すことで、神経可塑性を促進する
……えー! そうだったんだ……。
さらにさらに「第6章 不眠は運動で解決できる」なんてことも!
「不眠は精神疾患の「原因」にも「結果」にもなります。精神疾患を持つ人は不眠症になる可能性が高く、不眠症の人はうつ病になる確率が約10倍、不安神経症になる確率が17倍以上と言われています。」
ちなみに、長時間、ハードな運動をすればするほど、日中にアデノシンが蓄積され、夜に深く眠れるようになるそうです。
そして「第7章 運動が「仕事」と「子どもの学力」にもたらす驚くべき効果」では……
「ワーキングメモリが大きく、抑制制御が上手で、心の柔軟性が高い人は、思考、仕事、日常生活の管理がしやすくなります。運動は、これらの実行機能を高めます。つまり、トレーニングによって脳を磨くことができるのです。」
「ADHDの子どもや大人が集中するのが苦手なのは、前頭前野に必要な栄養が不足しているからです。血流とドーパミンが不足しているのです。運動には、リタリンやアデロールといった治療薬が働きかけるのと同じ神経系を変化させ、この不足を修正する力があります。しかも望まない副作用はありません。」
……これはもう「運動」しないわけにはいかないでしょう! ここで紹介した以外にも、参考になることがたくさん書いてありました。
本書では、各章の終わりに、「うつ」「不安・パニック」「不眠」「認知症」「依存症」などの悩み別に、具体的なエクササイズ方法が紹介されています。また巻末には、エクササイズの具体的なやり方の写真付の紹介もありますので、適切な運動法をすぐに始めることも出来ます。
私自身はすでに週に5回以上「運動」をしていて、その健康効果を実感しています。運動をすると気分が良くなるだけでなく、食べ物がおいしくなり、夜もよく眠れます。その上、認知症も予防できるとは! これからは認知症予防もしたいので、「ちょっとハード目」を心がけて運動を続けていきたいと思います。
いろんなことに効果抜群の「運動」、みなさんもぜひ始めてみてください。お勧めです☆
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なお社会や科学、IT関連の本は変化のスピードが速いので、購入する場合は、対象の本が最新版であることを確認してください。
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