ちょき☆ぱたん お気に入り紹介 (chokipatan.com)
第1部 本
生物・進化
植物はすごい(田中修)
『植物はすごい - 生き残りをかけたしくみと工夫 (中公新書)』2012/7/24
田中 修 (著)
(感想)
身近な植物にも不思議がいっぱい……植物のもつさまざまなパワーを「渋みと辛みでからだを守る」「食べられる植物も毒をもつ」などのテーマで分かりやすく解説してくれる本で、内容は次の通りです。
第1章:自分のからだは、自分で守る
第2章:味は、防衛手段!
第3章:病気になりたくない!
第4章:食べつくされたくない!
第5章:やさしくない太陽に抗して、生きる
第6章:逆境に生きるしくみ
第7章:次の世代へ命をつなぐしくみ
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「第1章:自分のからだは、自分で守る」には、人間には真似ができない植物の偉大な力が書いてありました。ちょっと長いですが、以下に紹介します。
「植物たちは、水と二酸化炭素からブドウ糖をつくりますが、そのとき、光のエネルギーを使います。その結果、ブドウ糖の中に、光のエネルギーが取り込まれ、蓄えられます。」
「タンパク質というのは、アミノ酸が連なって並んだものです。だから、タンパク質をつくるためには、アミノ酸が必要です。私たち人間は、アミノ酸を作り出すことができません。だから、タンパク質を食べて、それを消化してアミノ酸を作り出すのです。私たちは、そのアミノ酸を並べ直して、自分に必要なタンパク質をつくっているのです。
ところが、植物たちは、自分でアミノ酸をつくることができます。だから、植物たちは肉を食べる必要はないのです。(中略)
ただ、植物たちがアミノ酸をつくるためには、窒素という養分が特別に必要です。(中略)そのために、自然の中で自力で生きる植物たちは根によって、養分として窒素を地中から取り込みます。(中略)
植物たちは、アミノ酸をつくるしくみをもっているので、からだのそれぞれの部分が正常にはたらくために必要なタンパク質を自分でつくります。同様に、植物たちは、成長のためにも健康に生きていくためにも必要な脂肪やビタミンなどもつくり出すことができます。そのため、何も食べずにすくすく成長することができるのです。」
……私たちは必要なエネルギーや物質を、植物に依存しているんですね……。
また「第5章:やさしくない太陽に抗して、生きる」では、植物が有害な紫外線から身を守る方法が、次のように詳しく解説されていました。
「(前略)紫外線は、植物であろうと人間であろうと、からだに当たると、「活性酸素」という物質を発生させるのです。(中略)活性酸素は、「老化を急速に進める」、「成人病、ガンの引き金になる」、「病気全体の九〇パーセントの原因である」などといわれます。」
「葉っぱに当たる光は、葉っぱに吸収されます。二酸化炭素が十分にあれば、吸収された光のエネルギーを使って、葉っぱでブドウ糖やデンプンをつくる光合成という反応が進みます。そのため、葉っぱに当たった光で発生するエネルギーは、消費されずに、植物たちのからだにたまります。
ところが、二酸化炭素が不足してくると、二酸化炭素を使ってブドウ糖やデンプンを作る反応が進みません。そのため、葉っぱに当たった光で発生するエネルギーは、消費されずに、植物たちのからだにたまります。
たまったエネルギーは、はたらく場がなく、行き場を失い、活性酸素という害をもたらす物質をつくり出すのです。(中略)
植物たちは、活性酸素を消去しなければ、生きていけません。そこで、ビタミンCやビタミンEなどの抗酸化物質をつくり出し、活性酸素の害を消すというしくみを発達させました。」
……なんと「多くの植物は、太陽光の約三分の一以下の強さの光しか、光合成に使いこなせない」そうです。そんな多すぎるエネルギーの処理方法も、植物は自ら行っているんですね……そして私たちは、植物からそれらをもらって生きているんですね……。
「植物はすごい」ということを……人間は植物なしに生きていけないことを……教えてくれる本でした。
この他にも、植物が感染症から身を守る仕組み、毒などで動物に食べ尽くされるのを防ぐ仕組みなど、いろいろな「植物のすごさ」を教えてくれます。
ちなみに柿の渋を抜く方法も、次のように書いてありました。
「(前略)カキが呼吸をしているヘタの部分をアルコールや焼酎につけてから、ビニール袋に入れて密封しておきます。すると、呼吸ができなくなるとともに、アルコールや焼酎を吸ったカキには、アセトアルデヒドが発生しやすくなり、渋が抜けます。」
……この他に「お湯につける、二酸化炭素を充満させた袋に入れる、干し柿にする」という方法もあるようです。お庭の渋柿の実をおいしく食べてみたい方は、試してみるといいかもしれません。
植物の素晴らしい力を、科学的な解説とともに分かりやすく教えてくれる本で、とても勉強になりました。みなさんも、ぜひ読んでみてください☆
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なお社会や科学、IT関連の本は変化のスピードが速いので、購入する場合は、対象の本が最新版であることを確認してください。
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