ちょき☆ぱたん お気に入り紹介 (chokipatan.com)
第1部 本
描画参考資料
いのちの惑星、地球。Beneath the Waves(ドリマー)
『いのちの惑星、地球。Beneath the Waves ~素晴らしい海の世界~ (ナショナルジオグラフィック)』2023/3/3
ステファニー・ウォーレン・ドリマー (著), 西尾香苗 (翻訳)
(感想)
不思議に満ちた海の世界を、素晴らしい写真、素敵な海の詩や物語で紹介してくれるナショナルジオグラフィックの動物写真図鑑、第2弾で、内容は次の通りです。
はじめに 海の惑星
深さによる海の区分
Chapter 1 浜辺にて
Chapter 2 2つの世界の狭間で
Chapter 3 波打ち際
Chapter 4 サンゴ礁の生きものたち
Chapter 5 海の森
Chapter 6 外洋
Chapter 7 海中の大移動
Chapter 8 氷の海に生きる
Chapter 9 深海の世界
Chapter 10 海底という異世界
Chapter 11 海と人間
あとがき
学名・分類群
索引
表紙写真でも分かるように、この本もとにかく写真が素晴らしく美しくて、眺めているだけで、わくわくしてしまいます。もちろんそれだけでなく、分かりやすい解説で、それまで知らなかった未知の海の世界のことを知ることも出来ました。
例えば「Chapter 1 浜辺にて」では……
「ウミガメの性別は巣穴の温度で決まる。砂の温度が低いと雄が多く生まれ、高いと雌が多く生まれる」
そして「Chapter 2 2つの世界の狭間で」では……
「河口付近の泥には塩分が含まれる一方、酸素はあまり含まれていません。普通の植物は根から酸素を吸収するため、河口付近では生きていけません。でもマングローブには土壌から上に突き出している呼吸根があり、空気中の酸素を吸収できるのです。塩分をある程度濾過して水分を吸収することもできます。濾過しきれなかった塩分は葉の塩類腺から排出したり、葉に蓄積して葉ごと捨てたりします。」
そして「Chapter 3 波打ち際」では……
「二枚貝は一般に濾過摂取者です。水中で水を吸い込み、特殊な鰓で食物を濾し取って砂などの食べられないものは水とともに出します。水を吸い込んでは出し、吸い込んでは出し、海の水をきれいにするという重要な役割を果たしているのです。例えばカキ1匹は24時間で190リットル近くの水を濾過することができるのです。」
さらに「Chapter 4 サンゴ礁の生きものたち」では……
「サンゴといえば鮮やかな色彩ですが、世界のいたる所で、色が完全に抜けて白っぽくなったサンゴが観察されています。これは白化と呼ばれる現象で、サンゴのポリプが環境の変化に対してとても弱いために起こります。
海水温がある程度高くなると、共生している褐虫藻がポリプから出て行ってしまい、その結果、サンゴが白くなってしまうのです。もし水温の上昇ストレスがそれほど深刻でない場合は回復することもできますが、褐虫藻が長い間戻ってこなければサンゴは死んでしまいます。」
……などなど。この他にも、いろんな情報をたくさん知ることが出来ました。
そして、この本で一番驚いたのは、次の「Chapter 6 外洋」のクラゲの話!
「クラゲには脳はありません。血液も骨もありません。感覚器もあまり発達していません。でもクラゲたちは数億年前から海流にのって海を漂っています。恐竜が地球を支配していた時代よりもずっと前から、ほとんど姿が変わっていないのです。」
……えええ! そうなんですか! クラゲ……なんて不思議な生き物だったんだ……。
また「Chapter 11 海と人間」では、海の環境が悪化しているという話も知ることができました。
「ハワイ諸島とカリフォルニア州沖の間には、ごみが蓄積した海域があります。面積は日本の4倍ほどもあり、太平洋ごみベルトと呼ばれています。ごみベルト(あるいは「ごみパッチ」)と呼ばれるごみの集積した海域のなかでは世界最大です。」
このような場所は他にもあって、例えばサルガッソー海では、4つの海流が周囲を大きな円を描いて循環しているので、海の生き物だけでなく海のゴミも集まってくるそうです。 この本の、美しくて、ちょっと不思議なところもある海の世界(美麗写真)に癒されていたので、このような話に心が痛みました……。
……ナショナルジオグラフィックらしい超絶に美しい動物・風景写真に癒され、海の生きものたちの不思議な生き方を知ることが出来る素晴らしい本でした。生物好きの方は、ぜひ読んで(眺めて)みてください☆
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