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第1部 本
健康&エクササイズ
健やかな毎日のための栄養大全(上西一弘)
『NHK出版 健やかな毎日のための栄養大全』2022/11/17
上西 一弘 (監修), 藤井 義晴 (監修), 吉田 宗弘 (監修), NHK出版 (編集)
(感想)
六大栄養素と特殊な機能性成分を網羅し、「栄養」と「栄養素」に関する情報を総合的に解説してくれる本で、『NHK出版 からだのための食材大全』、『NHK出版 不調を食生活で見直すためのからだ大全』に続く、「栄養」の大全です。主な内容は次の通りです。
第一章 六大栄養素
(たんぱく質とアミノ酸、脂質と脂肪酸、炭水化物と糖質、食物繊維、ビタミン、ミネラル、水)
第二章 特殊な機能性成分
第三章 栄養成分表
索引
*
食べ物と体の相互作用を「栄養」といい、栄養活動に使う体に必須の成分が「栄養素」だそうです。そして「六大栄養素」は、摂取量が多くエネルギーとなる栄養素である糖質、脂質、タンパク質の三つに、生命維持に欠かすことのできないビタミンとミネラル、食物繊維を加えたものなのだとか。
ちょっと驚いたのが、生活習慣病では悪者のイメージがあるコレステロールが、脳にとってはとても重要なものだったこと! 次のように書いてありました。
「人間の体内には100~150gのコレステロールがあり、その1/4が脳に存在します。脳にある500億個~1兆個もの神経伝達細胞を構成し、情報を体の各部に伝達する重要な役割を担っています。コレステロールが不足すると、神経伝達細胞も不足し、情報が伝達できません。しかし、過剰になると、認知症のリスクが高くなるとの説もあります。」
……そうだったんだ。
肥満のもととして敵視されがちな「糖」も、次のように、体にも脳にも欠かせないものだそうです。
「小腸で消化吸収されたグルコースは肝臓で貯蔵されるほか、血液中で血糖となって全身をめぐります。グルコースが増えて血糖濃度(血糖値)が高くなると、濃度調整のため、血糖は筋肉や脂肪組織に取り込まれて貯蔵されます。グルコースは筋肉では高次多糖類のグリコーゲンとなり、脂肪組織では体脂肪となります。血糖はエネルギー源として常に必要なものであり、その濃度調整は自律神経が行っています。特に、脳や神経系は糖質由来のエネルギーのみを利用するため、血糖値の維持は大変重要なのです。」
ただし食べ過ぎは、やっぱり良くないようです。次のようにも書いてありました。
「トーストや肉などを焼くと褐色になり、香ばしい匂いがします。実は、これと同じことが体内でも起こっているのです。体の中で余ったたんぱく質や脂質と糖が結びつくと、体内の熱で変性し、老化物質を生成します。この物質をAGEs(たんぱく糖化最終生成物)と呼びます。(中略)「酸化」が体のさびだとすると、「糖化」は体の焦げ。どちらも老化を促進します。」
……うわー、そうなんだ……。
また、とても参考になったのが、冷凍野菜の栄養価は高いという話。
「冷凍野菜は旬の時期にたくさん収穫したものをメーカーが購入して冷凍しています。そのため、もともとの栄養価は高いと考えられます。収穫直後に急速冷凍するため、栄養的な劣化はほとんどありません。冷凍野菜の栄養分析を1年間行ったという研究論文によれば、ビタミン類の損失は少ないということでした。つまり、季節外れの野菜より、冷凍野菜のほうが栄養価は高いこともあります。」
……これからは冷凍野菜も大いに活用したいと思います。
また脱水症状の場合に、水を飲むだけではダメという話も覚えておきたいと思いました。脱水症状の時には、水を飲むだけでは電解質(ナトリウムや塩素、カリウム、カルシウム、マグネシウムなど)の濃度が薄められてしまうため、体はその濃度バランスを保とうとして水分を排出してしまうそうです。電解質を含んだ飲み物で、水分を補うことが大事なんですね……。
「第二章 特殊な機能性成分」では、多くの機能性成分について知ることが出来ました。
意外だったのは、昔は筋肉疲労の原因とされてきた「乳酸」が、現在ではむしろ疲労回復に寄与している物質であると考えられていること。カリウムイオンが筋肉疲労の鍵物質であることが判明したそうです。
またマニキュアの除光液として使われている「アセトン」は、完全に「化学物質」だと思っていたのですが、なんと、たまねぎ、ぶどう、カリフラワー、トマト、牛乳、チーズ、豆類、さやえんどう、母乳などに含まれているものだそうです! ……そうだったんだ。
……とは言っても、この本で詳しく教えてもらえる「栄養情報」は、とても多くて覚えきれません……とにかく六大栄養素がとれるようバランスに気をつけつつ、出来るだけ「いろんなもの(多種類の食べ物)」を摂取するよう心掛けていこうと考えています。なにしろたんぱく質、脂質、糖質だけでなく、各種ビタミン、ミネラル、食物繊維、そしてもちろん水も体に欠かせない栄養なのですから……。
とても勉強になる『栄養大全』でした。「栄養」に気を配りたい方にとって、とりわけ役に立ちそうに感じたのは、「第三章 栄養成分表」。トマトや米、和牛などの食品の可食部100gあたりの成分量(たんぱく質、脂質、炭水化物、各種ミネラル、各種ビタミンなど)の数値が、一覧表でびっしり掲載されています。トマトにも各種ビタミンだけでなく、炭水化物やミネラルなども含まれていることが分かります。米にもたんぱく質があるんだ……。
また索引も充実しているので、「亜鉛」や「アスタキサンチン」など調べたい成分の掲載ページをすぐに探すことが出来て、これもとても使えると思います。
まさに『健やかな毎日のための栄養大全』というタイトル通りの本でした。健康のために「栄養」に気を配りたい方は、ぜひ読んでみてください☆
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