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第1部 本
IT
最新 GIS[地理情報システム]のビジネス活用がよ~くわかる本(ESRIジャパン株式会社)
『図解入門ビジネス 最新 GIS[地理情報システム]のビジネス活用がよ~くわかる本』2022/10/28
ESRIジャパン株式会社 (著)
(感想)
電子地図上に各種情報を重ねて、位置と紐づけて可視化するGIS(地理情報システム:Geographic Information System)は、合理的な意思決定を支援するツールとして、多くの企業や業界で利用されています。ビジネス分野でのGISの利活用について、豊富な事例とともに分かりやすく解説してくれる本で、内容は次の通りです。
第1章 私たちの身近にあるGIS
第2章 GISの基礎知識
第3章 GISでできること
第4章 [GISの利活用例]経営企画・店舗開発
第5章 [GISの利活用例]マーケティング・営業
第6章 [GISの利活用例]リスク管理・生産/物流管理
第7章 [GISの利活用例]設計・施工・設備管理/保守
第8章 GIS導入のポイント
第9章 GISのトレンド・将来展望
「第2章 GISの基礎知識」によると、GISには次の特徴があるそうです。
「多種多様な地理情報をもとに、場所に関する課題解決や意思決定を支援するための最強ツールがGIS」
「GISの大きな特徴は、複数の異なるデータを位置に基づいて統合し、効率的かつ包括的な活用ができる点です。GISでは、現実世界にある情報を主題ごと(例:顧客、店舗、道路、人口統計)に分類したレイヤー(層)で管理します。これらには位置情報が含まれているため、同一の地図上に異なるデータを自由に重ね合わせることができます。これにより、データの比較、統合が容易にでき、地域的な傾向、データ間の関連性、条件に適合する場所などを新たに見出すことが可能になります。」
そして行政機関が提供するGISデータには、次のようなものがあります。
1)基盤地図情報(国土交通省 国土地理院)
2)国土数値情報(国土交通省 国土政策局)
3)政府統計の総合窓口(e-Stat)(総務省 統計局)
またGISで利用できる地図サービスには、次のようなものがあります。
1)インターネットで利用できる地図サービス(例:Google Mapsなど)
2)国土地理院が提供する地図サービス:地理院地図
3)ボランティアによって作られる地図:OpenStreetMap
4)世界中の地理コンテンツを公開:ArcGIS Living Atlas
……Google Mapはもちろん、身近なGISの代表格であるカーナビなどは、もう生活になくてはならないものになっています。
この他にも、商圏分析、出店の適地選定、テリトリー分析、売上予測、物流管理、BCP(事業継続計画)など、GISでできることは多岐にわたります。第4~7章では、業務ごとの活用例を具体的に紹介してもらえるので、GISを仕事で役立てるために、とても参考になると思います。
例えば「第4章 [GISの利活用例]経営企画・店舗開発」では、人流データ(スマートフォンのGPSデータや基地局から得られる位置情報をもとに作成された人口データ)を利用してお客様はどこから来たのかを計測するとか、屋内測位データで記録したモール内の顧客の移動状況データを利用することで、店舗経営の最適化につなげる、などの事例が紹介されていました。
また「第5章 [GISの利活用例]マーケティング・営業」では、クレジットカードやポイントカードでの購買履歴データをGISに活用して、より高度なエリアマーケティングを行うとか、輸送コスト最適化シミュレーション、物流倉庫(コスト最適化シミュレーション、既存顧客の割り当て分析、災害対策)などが紹介されています。
さらに「第6章 [GISの利活用例]リスク管理・生産/物流管理」では、GISデータとして使える災害情報には、気象情報、渋滞や通行規制などの道路交通情報、停電や断水などのインフラ情報、自治体が公開する避難所開設情報などのライブ情報があることが説明されていました。
……GISは本当にさまざまな活用ができるようです。
そして最後の「第9章 GISのトレンド・将来展望」では、GISでAIを活用する事例や、VR/AR/MRとの連携などの解説もありました。
GISについては、政府も「第4次地理空間情報活用推進基本計画」を2022年3月に閣議決定し、「G空間社会」の実現を目指して取り組んでいます。(なおG空間社会とは、誰もが、いつでも、どこでも、必要な地理空間情報を使うことができ、高度な分析に基づく的確な情報を入手し、行動できる社会だそうです)
参考までに、「第4次地理空間情報活用推進基本計画のシンボルプロジェクト」は次の通りです。
(自然災害・環境問題への対応)
1)統合型G空間防災・減災システムの構築の推進
2)地球観測衛星による気候変動などの地球規模課題解決への貢献
(産業・経済の活性化)
3)スマート農業の加速化などデジタル技術の利活用の推進
4)i-Constructionの推進による3次元データの利活用の促進(建設業)
5)衛星データ利活用促進事業
(豊かな暮らしの実現)
6)自動運転システムの開発・普及の促進
7)「空間ID」を含む3次元空間情報基盤の整備
(※空間ID:実空間をボックス状に分割し、位置情報を統一的な基準で一意に特定するID)
8)3D都市モデルの整備・活用・オープンデータ化プロジェクト
(地理空間情報基盤の継続的な整備・充実)
9)高精度測位時代に不可欠な位置情報の共通基盤「国家座標」の推進
10)準天頂衛星システムの開発・整備及び測位能力向上の推進)
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地理情報システムGISの基本知識と、ビジネス活用に関する総合的な入門書でした。ビジネス上の課題解決のために、これからGIS活用を検討したいと考えている方は、ぜひ読んでみてください。
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