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第1部 本

地質・地理・気象・地球環境

Newton大図鑑シリーズ 鉱物大図鑑(松原聰)

『Newton大図鑑シリーズ 鉱物大図鑑』2022/6/22
松原 聰 (監修)


(感想)
 鉱物の種類や名前のつけ方のルール、鉱物がどこから生まれてくるかなど、豊富な写真やイラストとともに、鉱物のあれこれを総合的に教えてくれる鉱物大図鑑です。
 地学は好きなのですが、きちんとした知識を体系的に覚えているわけではなかったので、「鉱物」と「岩石」は何が違うのかを聞かれると……うーん、なんだっけという感じでしたが、「鉱物はある特定の原子が規則正しく配列している結晶体」で、「岩石はさまざまな鉱物が集まってできているもの」だそうです。
 またルビーとサファイアは同じ鉱物で、不純物の違いで色が違って見えることは知っていましたが、詳しい仕組みは知らなかったので、その違いもとても勉強になりました。
 赤いルビーと青いサファイアは同じ「コランダム」という鉱物だそうです。純粋なコランダムは無色透明なのですが、クロムを数パーセント含むものは、紫色や黄緑色の光を吸収し、主に赤色の光だけを透過・反射させて赤く色づくのでルビー。鉄とチタンを含むものは、主に青色以外を吸収し、残った光で深い青色に色づくのでサファイアと呼ばれるそうです。ルビーとサファイアは98%以上の主成分が同じにもかかわらず、微量な不純物の違いで、劇的に違う色になるんですね……。
 同じように緑の緑柱石(ベリル)がエメラルドで、青い緑柱石はアクアマリンと呼ばれています。色の違いは、やっぱり不純物(クロムやバナジウムだと緑に、鉄だと水色になる)そうです。これは全然知りませんでした……。

 また「完璧」の故事成語で有名な中国の「玉」は、日本のヒスイと同じなのかなーと思っていましたが、違うそうです。硬玉のひすい輝石は輝石の一種で、軟玉のネフライトは角閃石の一種ですが、外見が緑色で似ていたため、かつてヨーロッパではどちらもジェードとされていたそうです。中国で古代から「玉」として珍重されてきたのはネフライトで、日本で古代から「ひすい」とされているのはひすい輝石なのだとか。ふーん、そうだったんだ。
 この他にも、「さまざまな鉱物の結晶(晶系)」として、立方晶系(等軸晶系)、正方晶系、直方晶系(斜方晶系)、単斜晶系、三斜晶系、三方・六方晶系、非晶質の形と実例の解説や、「宝石として愛される鉱物」として、ダイヤモンド、コランダム(鋼玉)、クリソベリル(金緑石)、スピネル(尖晶石)、トパーズ(黄玉)、ベリル(緑柱石)、電気石(トルマリン)、ガーネット(石榴石)、クオーツ(石英)、ジェダイト(ひすい輝石)、スポジュメン(リチア輝石)、ゾイサイト(灰簾石)、長石グループ、黒い宝石、オパール(蛋白石)、トルコ石/ソーダライト(方曹達石)、珊瑚、真珠、琥珀などの美しい宝石の解説は、眺めているだけで楽しくなります。
 さらに金属や、暮らしの鉱物、レアメタルなど、鉱物についてさまざまな解説を知ることが出来ました。鉱物は我々の暮らしに欠かせないものですね!
 とても参考になる大図鑑なのですが、ちょっと残念に感じたことも……。個人的に「鉱物大図鑑」に期待してしまうのは、「鉱物標本」みたいな小さい仕切りに鉱物とその名前がずらっと並んでいるページで、本は、ダイヤモンドやサファイアなどの高価な鉱物も展示できるはずだから充実した鉱物標本ページが出来るはず……と思っていたのですが、残念ながら、この鉱物大図鑑には、そういうページはなかったのでした……。
 それでも、鉱物に関して「知ってはいるけれど曖昧」だった情報が、すっきり分かるようになったので、とても参考になりました。地学や鉱物、宝石が好きな方は、ぜひ眺めてみてください。
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 なお社会や科学、IT関連の本は変化のスピードが速いので、購入する場合は、対象の本が最新版であることを確認してください。

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