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第1部 本
社会
情報の選球眼(山本康正)
『情報の選球眼 真実の収集・分析・発信 (幻冬舎新書)』2021/11/25
山本 康正 (著)
(感想)
ビジネスでは正しい情報が10あっても、大成功に結び付くのはたった1つ。トッププレイヤーでも1割以上の成功率を得るのは困難だが、彼らはその10の好機を見逃さずにバットを振り続けている……投資家の山本さんが、自ら実践する情報の収集・活用法を指南。真実を見極める眼と、利益を最大化する思考力の養い方を教えてくれる本です。
「第1章 情報の価値は「どこ」にあるのか」では、最も価値の高い情報はどこで得られるのかが語られます。それは「源泉の一次情報」。私たちに伝わる情報は加工されているので、情報の上流に遡り最も価値の高い源泉の一次情報を得る努力をしなければいけないそうです。……うーん、確かにそうですが、これはなかなかハードルが高そう……。
その具体的方法としては、「多くの場合、著名人・見識者は連絡が取れるアドレスや連絡先をオープンにしているので、そこから接触を図る」、「知人の紹介やコミュニティ、交流の場でつながる」といいそうです。ここで大事なことは、「一次情報を持つ人と関係性を構築するためには、お互いがウィンウィンの関係を作る、礼節をわきまえた上で動きを起こすことが大切」なのだとか。
そして「第2章 価値ある情報をどう見極めるのか」には、次のように書いてありました。
「(前略)物事の原理原則やファクト、基礎的な知識をふだんから身につけ、アンテナをたてておくことが大事だということです。新しい情報が出てきたときに、この先価値ある情報になり得るのか、自分なりに仮説を立てるなど、シミュレーションする癖をつけておくことが重要です。」
「漫然と情報を見てからアクションするのではなく、仮説でよいからなんらかの答えを持って情報に接する。その上で仮説を検証する。このように情報を活用する癖、習慣を日頃からつけておくことが重要です。」
「メディアにはそれぞれ得意分野があることを理解しておくことも、情報の価値を見極める上では重要な要素のひとつです。」
「複数のメディアから情報を得るのは、内容が違うからという理由だけではありません。各紙により論調が異なっていることも、情報を立体的に捉える上で参考になります。」
「すべての情報にはバイアスがかかっていることを、心得ておかねばなりません。」
この他にも、業界地図を手元に置くと役に立つなど、具体的な方法も紹介されていました。
「第3章 メディアを活用して価値ある情報を見つける」では、ご自身が行っている方法について、次のように語っています。
「基本は毎日、歯を磨くように情報を取得する。特に意識はしていませんが、情報に触れることを習慣化することが大事だと思います。そして、できればその情報にどのような意味があったのか、時系列で追うこともセットにするべきでしょう。そうすることによって、情報が意図的に歪められているのか、価値があるのかどうかを見極める習慣ができます。」
……やっぱり日頃からの努力が大切なんですね。
そして最後の「第4章 活用できなければ情報に価値はない」では、情報の整理や活用方法が紹介されていました。なんと「情報の整理や保存にはメールを活用」しているそうです。気になるニュースはリンク先と気になる箇所をコピーし、新規でメールを作成して、本文の部分にペーストし、自分宛てに送信しているのだとか。メールだと検索機能がとても便利に使えるそうです。なるほど、いい方法ですね!
また「情報の価値をさらに高めたり、得た情報を活用するには、他者とのディスカッションが効果的です。」だとか。このディスカッションの場では、まずは自分から情報発信をするのが重要とのことですが、日本人はこれが苦手だそうです……確かに。私も苦手です。そのそも日本は意見を主張する場が少な過ぎるのが問題なのだとか。
「日本人が考えている沈黙は金なりとの考えは、英語圏で見た場合には、まったくの逆なのです。」
「知らないことを恥じる、知らないということを言えない、そのような空気が経営状況を悪化させてしまう危険性があると私は考えています。」
……確かにそうですよね! 日本人のディスカッション能力や、意見を主張する力を向上させるよう、教育方法や社会常識を変えていくべきじゃないかと思います。
経済や経営情報を中心とした「真実の収集・分析・発信」をする『情報の選球眼』を教えてもらえる本でした。投資家や経営者の方にはもちろん、一般のビジネスマンにとっても、とても参考になると思います。ぜひ読んでみてください。
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