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第1部 本
健康&エクササイズ
「なんとなく不調」から抜け出す! 「2つの体内時計」の秘密(八木田和弘)
『「なんとなく不調」から抜け出す! 「2つの体内時計」の秘密 (青春新書プレイブックス)』2021/11/16
八木田和弘 (著)
(感想)
テレワークやオンライン授業が普及する一方で、集中力が続かない、よく眠れない、気分がスッキリしない…といった不調を感じる人が増えています。それはもしかすると「体内時計」が乱れているせいかもしれません。体内時計の最新研究をもとに、本来のリズムを取り戻し心も体も元気になるヒントを紹介してくれる本です。
「はじめに」には次のように書いてありました。
「実は体内時計には、脳にある「中枢時計(親時計)」と、全身の細胞(生殖細胞などを除く)にある「末梢時計(子時計)」の2種類があります。この「2つの体内時計」にズレが生じると、先ほど述べたような「なんとなく不調」が起ってきます。
その典型的な例が「時差ぼけ」です。」
そして「序章」には、頻繁に徹夜をしたり不規則な生活を送ると免疫力が低下することも書いてありました。
「免疫細胞ごとに体内時計を持っていて、機能を発揮することができる時間帯が異なるのは意味のあることです。時間ごとに手分けをして調和しながら働くことで体を守り、最適な結果をもたらします。」
……そうだったんだ。
この体内時計は2種類のタンパク質でつくられているそうです。
「(哺乳類の)体内時計のシステムの中心になっているのが、細胞の核内にあるBMAL1、CLOCKという2種類のタンパク質です。この2つがセットになり、Per遺伝子やCry遺伝子などの時計遺伝子に働きかけることで、体内時計のリズムをつくっています。
(中略)私たちの体は、時計遺伝子や時計タンパク質の増減にもとづいて、「昼になった」あるいは「夜が来た」という概日リズムを感じているわけです。」
「実は、全身の細胞1つひとつに備わる体内時計を視交叉上核が束ねることで、秩序立った生理機能のリズムを維持しているのです。」
「(前略)すべての反応が共通の物差しのもとで、秩序立って進んでいくことによって、全体のバランスがとれた状態になるのです。このようにして、時間の物差しを使って統率しているのが、全身の細胞にある体内時計の大きな役割です。しかも、その時間の物差しが体中で共通なので、離れたところにある細胞同士も同じ時間秩序のなかで機能を発揮することができます。何十兆個もある細胞で成り立っている私たちの体が、全体としてうまく調和して快適に生きていけるのも、このためです。生命にとって重要な「時間秩序」をつくり出しているのが体内時計なのです。」
……なるほど。体のほとんどの細胞にある子時計と、脳の司令塔の親時計が同調することで、全身のリズムを整えているんですね。
この体内時計の調節する働きがあるのは、「光」「食事」「運動」の刺激(特に「光」)だそうです。「光」には体内時計のズレを元に戻す効果がありますが、「食事」には消化器系の末梢時計をズラす効果があるものの脳の中枢時計には作用せず、運動には、脳の親時計と末梢の子時計の両方を動かせる(ただし影響力は強くない)のだとか。
そしてこの体内時計は、整合性があることが重要なようで、シフト勤務などの場合には、必ずしも朝昼夜の時間と合っていなくてもいいようです。さまざまな実験・調査結果が紹介されていました。ちなみに「体内時計にやさしいシフトの3条件」は、1)正循環が基本(遅らせる方向へ)、2)頻繁なシフト変更は避ける、3)休日の過ごし方にも注意する、だとか。
さらに「4章 ベストコンディションをつくる24時間の過ごし方」では、次のことなどが紹介されていました。
・寝だめは出来ない(体内時計の観点からもよくない)。平日も休日も起床時間を同じに。
・朝、明るい光を浴びる(体内時計をリセット)
・朝昼は青い光でいいが、夜は暖色系の光にする(青い光は体内時計への影響力が強い)
・体内時計にはあまり関係ないが、ベジファースト(食事の際に野菜を最初に食べる)は生活習慣病のリスクを減らせる(血糖値上昇を抑えられるので)
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「規則正しい生活によって、つまり体内時計が整うことによって、注意力、記憶力、集中力などを含めた知的能力を最善のものに保つことができるのです。(中略)
大切なことは、体内時計を整えることは「よい状態を保ち続ける」ことにつながる、ということです。」
『「なんとなく不調」から抜け出す! 「2つの体内時計」の秘密』を教えてくれる本でした。健康に興味がある方はもちろん、いつも、なんとなく不調な方も、ぜひ読んでみてください。何か改善へのヒントを拾えるかもしれません。
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なお社会や科学、IT関連の本は変化のスピードが速いので、購入する場合は、対象の本が最新版であることを確認してください。
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