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第1部 本
地質・地理・気象・地球環境
楽しい地層図鑑(小白井亮一)
『楽しい地層図鑑』2021/10/29
小白井 亮一 (著)
(感想)
フィールドでの地層・化石・鉱物の写真を数万枚も撮影してきた小白井さんが、選りすぐりの200枚あまりの写真を見せてくれる『楽しい地層図鑑』です。本当に見事な「地層写真」満載の素晴らしい本で、主な内容は次の通りです。
第1章 地層の基礎知識(思いのほかすごい世界)
(露頭の見方、地層塁重の法則、層理と葉理、不整合など)
第2章 地層をつくる岩石(思いのほかカラフルな世界)
(礫岩、砂岩、泥岩・頁岩、石灰石、チャート、火山砕屑岩など)
第3章 地層と化石(明らかになった過去の世界)
(化石とは、化石による地層同定の法則、地質時代、チバニアン、貝化石、アンモナイトと三葉虫など)
付録A プレートテクトニクスと地層
付録B 地質年代表
「地質調査では、野外で露頭(注:地下世界を垣間見ることが出来るガケや河床など)を見つけて、地層や岩石を観察することがその第一歩となります。」だそうで、本書の最初の記事は、「1.1 地層はどこに? 露頭の見方」でした。
ここで紹介されている露頭の地層のシマシマ、かなり分かりにくくて驚きでした。なにしろ「ほぼ直交する三方向の割れ目がバシバシと入って」いる写真で、割れ目が地層のシマシマなのかと思いきや……割れ目とは少し違う方向に地層のシマシマがあるのです。……うーん……分かりにくい……。
さらにその後の「傾きを実感する」では、「見かけの水平と本当の傾き」は違うことがあり、「露頭の方向によって、見える傾きが変わってくる」ことが解説されていました。ある方向では「傾いているシマシマ」が、他の方向では「水平に見えることがある」そうです……イラストで詳しく説明されて、ようやく「なるほど」と納得できました。ちなみに「本当に水平な地層は、露頭の向きにかかわらず水平に見える」そうです。一つの露頭を見ただけでは、その地層が水平かどうかの判断ができないんですね。……露頭を読み解くのって、かなり難しいことが分かりました。
自らの知識の少なさを思い知らされましたが(涙)、この『地層図鑑』では、他の地学の本で名前だけは知っていた地層の本物の写真をたくさん見ることが出来て、とにかく大興奮でした。
例えば「三波川変成岩の結晶片岩の片理」とか、「流紋岩の流理」とか、「不整合」とか、「砂岩泥岩互層」とか、「各務原市のチャート」とか、「褶曲」とか、「生痕化石」とか……とにかく凄い写真が満載です☆
こんな地層写真を撮影してまわるには、ものすごく時間がかかるはずなので、眺めるだけで圧倒されてしまいました。
しかも露頭の見方、地層塁重の法則、層理と葉理、不整合などの地層の基礎知識や、いろいろな岩石に関する解説も、すべてに美しい実例写真があって、とても参考になります。分かりにくい部分には、イラストによる説明もあって勉強になりました。
ちなみに三葉虫の化石の写真は、尾部と頭部が別々のものでしたが、「実は、三葉虫は脱皮するようで、そのためなのか、あるいは体節でバラバラになりやすいのか、少なくとも国内では完全なものはごくまれです。」なのだとか。……へえー、そうだったんだ。
地層がわかれば、日本の大地の歴史、地球史、生命の歴史が見えてくる……日本全国の地層や化石の美しい写真・約240点で、ゼロから面白さを解説してくれる本格的な地層の入門図鑑です。
地層はどうできる? 年代はなぜわかる? どうしてシマシマに? 「石灰岩」「チャート」「凝灰岩」って何? 化石はどんな地層で見つかる? そんな地層に関する素朴な疑問から、大地の成り立ちまで、分かりやすく解説してくれる『地層図鑑』。地学が好きな方は、ぜひ眺めてみてください。お勧めです☆
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なお社会や科学、IT関連の本は変化のスピードが速いので、購入する場合は、対象の本が最新版であることを確認してください。
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