ちょき☆ぱたん お気に入り紹介 (chokipatan.com)
第1部 本
ペーパークラフトの本(日本の作家)
紙工作(切り紙、ペーパークラフト、モビール、他)
段ボールで作る! 動く、飛ぶ、遊ぶ工作(Adolph)
『段ボールで作る! 動く、飛ぶ、遊ぶ工作 ―身近な材料で学ぶエンジニアリング (Make: KIDS)』2021/9/27
Jonathan Adolph (著), 田中 さとし (監修), 金井 哲夫 (翻訳)
(感想)
段ボール工作で、「動く」「飛ぶ」「遊ぶ」作品の作り方を教えてくれる本。使う道具や材料は、生活の中でたまりがちなダンボールや空き箱、100円ショップで手に入る道具など手軽に手に入るものばかり。しかも楽しく作品を作っていくうちに、カムや歯車の動きなど、エンジニアの基礎が実習で身についていくという素敵な本です(道具の中には、グルーガン(ホットメルト接着)が含まれますが、100円ショップでも買えます。こういう高熱になる道具が必要になる作品があるので、この本は小学高学年以上の方向けでしょう。なお材料のうち「木製ピン」は日本では手に入りにくいものですが、嬉しいことに、日本版では「割りばし」での代用の仕方がきちんと説明されています。)
ちょっと驚かされたのが、この本の「型紙」の少なさ!(笑)。作品のごく一部しか型紙がありません。「鉄棒するサル」「3枚ばねのブーメラン」「風力トラクターの円盤」などの形状が重要な部品と、絵心が必要な動物のシルエットの部品があるぐらいで、他は、その作品の「組み立て説明図」と「作品の写真数枚」をよく見て、自分で工夫して作ってね☆ というもの。例えば、表紙写真の作品「ロボットハンド」の材料と「組み立て説明図」は次のようなもの(この後、さらに詳細な部品のイラストや作り方説明の写真があります)。
日本人作家の本だと、全型紙と丁寧な作り方説明を掲載しがちですが……むしろ、こういうアバウトな方法の方が、作り手の創意工夫を育てるのかもなーと感心してしまいました。冒頭にも次のように書いてあります。
「どんなことでも、きちんとできるようになるためには練習が大切です。そしてエンジニアリングを練習するためには、簡単にエンジニアリングができる材料が必要です。それがボール紙やダンボールです。(中略)
つまり、何かを作るための材料は、すでにそろっているということです。何回もプロジェクト(工作)をやり直せるための材料があるかもしれません。
そこが大切なのです。エンジニアは、最初の1回で完全なものが作れるなんて、決して考えません。むしろ、優秀なエンジニアほど、何度も何度も作り直します。なぜなら作り直すたびに、もっといいものにできるチャンスに出会えるからです。エンジニアは、まず試しに実験的なものを作ってみます。これを「プロトタイプ」と言います。そこから科学的方法にしたがって、プロトタイプが計画どおりに動くかをテストして、うまくいかなければ調整をして、またテストします。うまくいかなかったとき、エンジニアは新しい何かを学ぶのです。」
……まさしく、その通り! 私自身の経験でも、「自分でちゃんと失敗」し、「うまくいくように様々な工夫」をすることから、大事なことをたくさん学んできたと思います。そういう意味では……すべてに型紙のある工作の本は、完成品を効率よく作ることが出来ても、構造や仕組みを学ぶのには少し弱いのかも……。
しかもこの本で教えてもらえる工作品は構造が簡単で分かりやすいので、試行錯誤しやすいと思います。さらに「テコや支点」「歯車」や「重力」「風力」など、作品を作る過程で、いろんなことも学べます。
作りたくなったのは、簡単なのに動きが面白い「マジックハンド」、クランクとカムが学べるオートマタ「空飛ぶプテロダクティル」、すごく簡単なのに実用的な「紙コップアンプ」、輪ゴムと木の棒で車を走らせる「ビッグホイール」、風力で車を動かす「風力トラクター」、さらにはピタゴラスイッチみたいな「チェーンリアクション」などなど。この「チェーンリアクション」は1回でうまくいくことは絶対にないと確信できるような仕組み(笑)。それだけに機械の微調整をすることで「学び」と爽快感を得られる作品だと思います。
なかでも一番作りたくなったのが、ペーパータオルの芯や紙皿で作る「ビー玉コースター」。ビー玉が遊園地のジェットコースターみたいに転がっていく仕組み! これ、絶対面白い☆
そしてダンボールで歯車の仕組みを学べる「手作りスピンアート」。ダンボールで陶芸の「ろくろ」みたいな装置を作るものですが、なんとダンボールのウネウネを活用して歯車にするというもの。これはメカって感じで本当に素敵です☆
他にも「ミサイルヘリコプター」、「空をすべるグライダー」、「パドルボート」とか、面白そうな工作がたくさん掲載されています。工作好きのお子さんにこれを渡したら、少なくとも一カ月はぞんぶんに楽しんでもらえそう。あまり工作好きではないお子さんでも、簡単そうなものを誰かと一緒に作ることで、工作力を高めてあげられそうです。きっと工作好きになってくれるはず。もちろん夏休みの自由研究にも使えそう。「本の型紙で作った作品」ではない、本物のオリジナル作品が出来ます。
とても楽しくて、エンジニアリングも学べる素晴らしい『段ボールで作る! 動く、飛ぶ、遊ぶ工作―身近な材料で学ぶエンジニアリング』。ぜひ眺めて、作ってみてください。お勧めです☆
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なお社会や科学、IT関連の本は変化のスピードが速いので、購入する場合は、対象の本が最新版であることを確認してください。
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