ちょき☆ぱたん お気に入り紹介 (chokipatan.com)
第1部 本
数学・統計・物理
四次元の冒険 第2版(ラッカー)
『四次元の冒険 第2版?幾何学・宇宙・想像力』2007/9/15
ルディ・ラッカー (著), 金子 務 (監修, 監修), 竹沢 攻一 (翻訳)
(感想)
論理数学者で、SFの鬼才ラッカーさんが時空について考察している本で、内容は次の通りです。
第1部 四次元
(新しい方向、フラットランド、過ぎ去った世界、鏡の国、幽霊は超空間からやってくる)
第2部 空間
(世界を作っているもの、空間の形、別世界への魔法の扉)
第3部 方法
(時空日記、タイムトラベルとテレパシー、実在とは何か?)
*
数学者でSF作家のラッカーさんが、面白いイラストとともに「時空」について教えてくれる本だというので、興味津々で読み始めたのですが……もともと数学が苦手なせいか、読めば読むほど訳がわからなくなってしまう感じで……途中から「お手上げ状態」になりながらも、なんとか読み切った本でした(汗)。しかも1989年発行(これは第二版ではなく、元の『四次元の冒険』の発行年ですが)の古い本だから現在でも科学的価値があるかどうかも分からないし……サイトで紹介する必要もないか……と一時は考えてしまったほどでしたが、「二次元人になりきって、三次元を考えてみる」という発想がとても興味深かったので、やっぱり紹介させていただきます。
この本では、「四次元を理解しようとする」前に、「二次元で生きているものならば、三次元をどう理解していくのだろうか」をあれこれ想像しています。これがすごく「目からウロコ」で新鮮でした☆
「フラットランドは平面で、そこに住む動物は平面を這い回っているのである。(中略)フラットランドでは、下層階級は二等辺三角形で、上流階級はどの辺の長さも等しい正多角形である。辺の数が多いと、その社会的地位も高い。最上位のカーストは完璧な円と見分けがつかないほどたくさんの辺をもった多角形である。」
「フラットランドに関する初歩的な質問は、このような直線や多角形は一体どんなものを見ることができるのかというものである。そこでテーブルの上にさまざまな形のボール紙を置いて、テーブルの縁にまで目を下げてみれば、まさに一束の線分が見えるだろう。フラットランド人はどのようにして三角形と四角形を識別することができるのだろうか? 彼らは一次元的な網膜のイメージから、どのようにして二次元的世界像を作っていくことができるのだろうか?」
「もしフラットランドが厚さをまったくもたない本当の二次元であるなら、それは影や光のまだら模様のように非物質的なものであろう。この場合には二等辺三角形が君の手首を横切っても何の害も与えないだろうし、君の運動の自由を制限することもないだろう。」
……二次元(フラットランド)の人びとにとって、三次元のものは、せいぜい「輪切りや断片」としてしか見ることが出来ず、例えば球が自分の世界(平面)を通り抜けていくときにも、点→小さい円→円→小さい円→点のようにしか見えないのです。しかも……もしかしたら、それすらボンヤリしか見えないのかもしれません。私たちは「平面(二次元)に描かれた三角形」を「三角形」と明瞭に見ることができますが、それは「上空」から平面を見下ろす三次元的視点を持てるからで、そもそも「上空」の視点がない二次元人には、自分がどのような形をしているのか見えないはずなんですよね……。
そして「幽霊は超空間からやってくる」という章では、同じ発想で、「幽霊がはっきり捉えられないのは、四次元以上の空間のものだからではないか?」ということが考察されています。
なるほど……そうなのかも。と思って、なんだか面白くなってしまいました。
そして、私の個人的な妄想はどんどん拡大していき、「通常、四次元目と考えられている「時間」は、本当に「四」次元目でいいのだろうか?」という発想へと展開していきました。
というのも、二次元人たちは、もしかしたら自分たちを「形」ではなく「音」で識別しているのでは? と考えてしまったからです。そして「音」で識別しているなら、二次元人も、私たちとまったく同じ「時間」感覚で生きていても不思議ではないと思ってしまい……もしもそうなら、「時間」は一次元よりも前の次元として捉えるか、それとも、もういっそのこと別種の次元としてA、Bで表現する次元でとらえた方が、「多次元の人も含めて、みんな平等」感がするのではないでしょうか(笑)。
そしてさらに、「時間」は本当に四次元という「一つの」次元だけなのだろうか? とも考えてしまいました。もしかしたら私たちは、「時間が一つの次元に見えている」世界に住んでいる生き物なのかもしれません。「時間」では低次元な世界に生きている生物だから、そう考えてしまっているだけで、「時間が多次元ある時空」もあるのかもしれません。空間的に二次元のフラットランド人には三次元の私たちが、たまに現れる「空間幽霊」のように見えるなら、時間的に一次元の私たちもまた、「時間幽霊」をたまに垣間見ているのかも。例えば「量子」レベルで現れる「時間の不思議さ」は、実は「別次元の時間がぼんやり見えているもの」と考えれば、何も不思議なことはないのかも……なんて、自分でも訳の分からない妄想的な考察を、いろいろと抱かされてしまったのでした……。
見た目よりずっと難解な本でしたが、読者の頭を軟化して妄想を促してくれるという意味で良い本だったのかもしれません(笑)。興味のある方は、読んでみてください。
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なお社会や科学、IT関連の本は変化のスピードが速いので、購入する場合は、対象の本が最新版であることを確認してください。
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