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第1部 本

社会

AIが人類を支配する日(前野隆司)

『AIが人類を支配する日 (人工知能がもたらす8つの未来予想図)』2018/11/16
前野隆司 (著))


(感想)
 AIにより社会と生活が大きく変わっていくとき、私たちはどうすれば幸福になれるのか……ロボット工学者の前野さんが予想する未来予想図です。
 第1章で、前野さんは、次のような8つの未来を予想しています
1)単純労働がなくなる
2)専門職もなくなる
3)格差が拡大する
4)日本が負け続ける
5)忙しさが加速する
6)ヒトが一番でなくなる
7)永遠に生きねばならない
8)人類が滅亡する
 ……うーん。ネット上に人類を凌駕してしまった巨大なAIが君臨して、私たち人間の未来は暗いのか……まさにタイトル『AIが人類を支配する日』が示唆するようなブラックな未来になっていくのかと思いきや……なんと本書の終わりに向けて、これらの予想は、「第8章 AIがもたらす8つの明るい未来」へと変貌をとげていくのです。
「おわりに」で前野さんは、次のように言っています。
「本書の結論は、「AI時代は、大きな変革期である。団塊の世代が得意だった勝ち残りゲーム型ではなく、これからの時代のあり方である調和的・共生的で幸せな生き方をすべきである。そして、そのためには、AIの恩恵にも自然の恩恵にもあずかりながら、創造性や感性を高めて生きていくべきである」ということです。」
 ……どう見ても暗い未来しか予想できないような8項目が、明るい未来へと逆転していく理由が、かなり納得できる感じがして、読んでいて気分も明るくなりました。
「幸せを感じる」要因には、次の4つがあるそうです。
1)やってみよう!
2)ありがとう!
3)なんとかなる!
4)ありのままに!
「4つの因子の高い働き方とは、AI時代の働き方でもあるといえます。AIが人間から仕事を奪うのは、単純労働から専門職まで、自動化しやすい仕事です。ということは、残るのは、みんなが「ありのままに」「なんとかなる」と「やってみよう」と思うような、個性と創造性のあふれる仕事なのではないでしょうか。つまり、幸せな働き方です。
 働き方改革も、「幸福度」を上げるが最初にあるべきです。」
 ……なるほど。確かにそうですね!
「これからのAIはインターネットを進化させるでしょう。森のように。あらゆる結合が深化します。ディープラーニングはさらにディープになり、人の無意識の領域とネット上の無意識とは、これまで以上に結合の度合いを深めるでしょう。
 そして、人と人とのつながりも複合化し、さまざまなビジネスとコミュニティーのクラスター(集団)が生じるでしょう。
 AIの進化によって、無数の個性的な小規模クラスターからなる日本(ないし世界)という新たな形態が可能になるのです。」
 森のような自然環境に包まれた都会で、全体調和型の共生社会がつくられていく……前野さんの描き出す未来が本当に来るといいな、と思わされました。
 AIの未来予想というよりは、AIと人間社会がどう共存していくべきかを考えさせてくれる本でした。未来は、AIと一緒に私たち自身がつくっていくものですよね。
 みなさんはどう考えるでしょうか。ぜひ読んでみてください。
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 なお社会や科学、IT関連の本は変化のスピードが速いので、購入する場合は、対象の本が最新版であることを確認してください。

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