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第1部 本

教育(学習)読書

読書大全(堀内勉)

『読書大全 世界のビジネスリーダーが読んでいる経済・哲学・歴史・科学200冊』2021/4/1
堀内 勉 (著)


(感想)
「世界のビジネスリーダーが読んでいる経済・哲学・歴史・科学200冊」を紹介してくれる『読書大全』。まさに最強のブックガイドです。
 第一部では、「人類の知の進化」の大きな流れをたどり、第二部では、その時代を形作っていった「人間の歴史に残る200冊」の内容を紹介しています。
 それにしてもタイトルが『読書大全』とは……大きくでたな……と微苦笑しつつ本書を手にして……内容の物凄い充実っぷりに驚かされました。
 本書の前半四分の一くらいの量を占める「第1部:人類の知の進化」は、なんと「人間の歴史に残る200冊」の紹介ではありません。この部分は、「人間の歴史に残る200冊」を理解するための前提知識としての「人類の知の進化」を教えてくれるのです。
「人類の知の進化を「宗教と神話」「哲学と思想」「経済と資本主義」という3つの軸に沿って見ていき、この「大きな流れ」を押さえることで、はるか昔の祖先から連綿とつながる人類の歩みを俯瞰的に捉えることができるばかりでなく、第2部で紹介する「人類の歴史に残る200冊」への理解が深まる」……まさにその通りで、この第1部を読むだけでも、「宗教と神話」「哲学と思想」「経済と資本主義」の流れを体系的に知ることが出来て、とても勉強になりました。
 それにしても、これらの膨大な「知」をこんなに簡潔に分かりやすく紹介できるなんて……もうこの部分だけでも、この本を読む価値が十分あります。てっとり速く「教養」を底上げたい人に、これ以上の本があるだろうかと思うほどの凄さ☆
 そしていよいよ「第2部:人類の歴史に残る200冊」になると、「人類の歴史に残る本」の「資本主義/経済/経営」「宗教/哲学/思想」「国家/政治/社会」「歴史/文明/人類」「自然/科学」「人生/教育/芸術」「日本論」の7章立てでの解説が始まります。
 もちろん、これらもただのブックガイドではなく、「資本主義/経済/経営」などの章ごとに、冒頭に「資本主義/経済/経営」にまつわる「知」がどのように展開していったのかの経緯が簡潔にまとめられていて、その後に紹介される名著への見事な導入になっています。
 そしてアダム・スミスの『道徳感情論』『国富論』から、ジャン・ティロールの『良き社会のための経済学』まで、「資本主義/経済/経営」分野での古典から現代の名著の内容が、簡明にまとめた形で紹介されていきます。
 このようにジャンルごとの古典的名著(現代の名著も含まれていますが)の概要を順番に読んでいくと、「近代経済学の父」と言われるアダム・スミスから始まる近代経済学とその後の資本主義が、現在の我々のビジネスとどうつながっているのかを知ることが出来る(「理解した」ような気持ちになれる)……すごく勉強になって、この「ブックガイド」を読むだけで、なんか自分の「賢さ」ランクをどんどん上げていけそうな気になって、わくわくさせられました。
 同様に、「宗教/哲学/思想」「国家/政治/社会」「歴史/文明/人類」「自然/科学」「人生/教育/芸術」「日本論」と続き……もう、私の「賢さ」ランク、爆上がりです(笑)。
 とは言っても、この本だけでは所詮「付け焼刃」なので、おそらくどんどん忘れていって、この後は毎日、「賢さ」ランク爆下がりになるのでしょうが……(苦笑)。
 それにしても、どんだけ幅広く、しかも深く「読み込んで」いるんだよ! と嫉妬まじりにツッコミたくなりました。私自身もかなりの読書好きなので、読んでいる本もかなり含まれていましたが、それらの本も、とても要領よく簡潔にまとまられていたと思います。
 この本は、自分の教養をお手軽に底上げしたいと思っている人にはもちろんのこと、読書好きで自分の教養はすでにそこそこあると内心思っている(笑)私のような人にも、お勧めします。すでにそこそこあるはずの教養を再整理できるだけでなく、読んでいなかった名著を知ることで、新たな発見も得ることが出来るからです。
 なお巻末には、次の二つもついています。
・巻末1:《人類の歴史と代表的書籍》年表(歴史年表に、ターニングポイントとなった書籍を挿入。その書籍の、時代における役割を理解できます。)
・巻末2:《人類の歴史に残る300冊》リスト(本書では、歴史に残る300冊を厳選し、さらにその中から200冊に絞って紹介しています。300冊の一覧表を見ることで、書籍における知の進歩を一望できます。)
 これ以上のブックガイドは出来るだろうか? と思わされるほどの最上級の『読書大全』でした。ぜひ読んでみてください。だんぜん、お勧めです☆
   *   *   *
 参考までに、ここで取り上げられている本のタイトルの一部を紹介します。……このタイトルだけで読む気が失せた……なんて思っている人は、ぜひ読むべきです(笑)。この本は、このような難しくて長い本を「うまく要約」して紹介してくれる本なんですから。
第1章 資本主義/経済/経営
道徳感情論/国富論/人口論/資本論/経済発展の理論/資本主義・社会主義・民主主義/論語と算盤/一般理論/隷従への道/貨幣論/ブラック・スワン/グローバリゼーション・パラドクス/21世紀の資本/21世紀の貨幣論/ゼロ・トゥ・ワン/HARD THINGS、他
第2章 宗教/哲学/思想
イーリアス/論語/ソクラテスの弁明/神学大全/社会契約論/純粋理性批判/精神現象学/精神分析入門/善の研究/存在と時間/自由からの逃走/正義論/ポスト・モダンの条件/これからの「正義」の話をしよう、他
第3章 国家/政治/社会
孫子/国家/貞観政要/君主論/リヴァイアサン/法の精神/永遠平和のために/戦争論/アメリカのデモクラシー/自由論/大衆の反逆/ひとはなぜ戦争をするのか/全体主義の起原/想像の共同体、他
第4章 歴史/文明/人類
歴史/戦史/三国志/近代世界システム/文明の衝突/銃・病原菌・鉄/サピエンス全史/暴力と不平等の人類史/21世紀の啓蒙/人口減少社会のデザイン、他
第5章 自然/科学
ユークリッド原論/種の起原/大陸と海洋の起源/沈黙の春/利己的な遺伝子/ホーキング、宇宙を語る、他
第6章 人生/教育/芸術
生の短さについて/自省録/エセー/民主主義と教育/幸福論/夜と霧/美術の物語、他
第7章 日本論
学問のすゝめ/文明論之概略/代表的日本人/武士道/禅と日本文化/日本的霊性/失敗の本質、他

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