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第1部 本

生活

断熱・防湿・防音が一番わかる(柿沼整三)

『断熱・防湿・防音が一番わかる (しくみ図解)』2013/4/13
柿沼 整三 (著, 監修), 遠藤 智行 (著), 荻田 俊輔 (著),


(感想)
 断熱・防湿・防音について、図版や写真を用いて解説してくれる本。断熱の基本的考え方の説明を通して、断熱材料には何が適切か、またどのような工法があるのかなどいった基礎知識を分かりやすく説明するとともに、居住性を高めるうえで欠かせない防湿、防音のノウハウもついても解説しています。
 ちなみに「断熱」と「遮熱」は違うそうです。「断熱とは、主に熱伝導抵抗を大きくすることで、室内外の温度差による熱移動量を小さくすることが目的」で、「遮熱は放射熱伝達による熱移動量を小さくすることを目的」なのだとか……こんな感じで、断熱・防湿・防音に関する基礎知識を学ぶことができます。
 そして防音には、遮音・吸音・消音・防振といったものがあり、これらの総称を「防音」というそうです。
 楽器を練習しているので、この「防音」について詳しく知りたかったのですが、防音材料や構造については、概説的な説明があっただけで、具体的な詳しい施工方法の説明はありませんでした。断熱や防湿に関しても、実践的な内容というよりは、基礎知識の解説が多かったので、この本は、断熱・防湿・防音についての入門書なのでしょう。
 防音については、「音のマスキング」として、次のような解説もあり参考になりました。
「多くの喫茶店では、BGMを流しています。これは、BGMがマスキングサウンドとして働くため、周囲の話し声が気にならなくなる効果をねらっています。」
 ……なるほど。「防音」については、建築(ハード)面ばかり考えがちでしたが、「BGMを流す」という、一見「防音」とは真逆にも思えるような、ソフト面からの対応も出来るんですね。確かに、しーんとした静かな喫茶店では、隣の席の会話がすごく気になってしまいそうですが、BGMが流れていると、会話が気にならなくなる……近所の家からのノイズが気になる時には、とりあえず、こういう対応をするといいのかも。
 また意外に参考になったのが、「8章 エコハウス」。「エクセルギーハウス」に関する次のような解説などがありました。(なおエクセルギーとは、エネルギーや物質の持つ資源性を具体的に表すものだそうです。)
「一般に、環境に配慮した住宅というと、自然エネルギーを利用して発電して電気に変え、その電気を例えばエアコンに冷暖房に使用しますが、エクセルギーハウスでは、自然エネルギーを直接使います。エクセルギーハウスは、太陽光や風力など質の高い自然エネルギーをより有益に利用しようという考え方です。」
 これ、具体的には、「夏は雨水を床下の貯水タンクに貯めて、蒸発で冷やされた天井から冷たい空気が自然の風によって室内を冷やす」+「冬は、貯水タンクに貯めた雨水を太陽熱で温め、温水が室内を循環」させるなど、雨水冷房、太陽熱温水暖房、天井冷放射パネル、小屋根通風扉を設けて自然の力をそのまま利用するものだそうです。……なんか電気代が節約できるうえに、地球温暖化を食い止めるのにもささやかな貢献をできそうな、素晴らしい方法のようですね。
 この他にも、「バウビオロギーハウス(鳥の巣作りに学ぶ住環境)」なども参考になりました。
 断熱・防湿・防音の他、シックハウスとエコハウスに関する基礎知識を学べる入門書です。建築に興味のある方、これから家を新築・改築する予定のある方は、読んでみてください。
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 なお社会や科学、IT関連の本は変化のスピードが速いので、購入する場合は、対象の本が最新版であることを確認してください。

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